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侵入者にはご用心 9

 陛下に初めての足つぼマッサージをして3日後の深夜、悪夢の再来が...衣装棚の扉が独りでに開いた。

 キィーーーッ.........

 いや訂正すると独りでに開いたわけではなく、今回で4度目の登場であるソレイユ国王エドワルドがいた。


「相変わらずぼーっとしていないで何か言え」

「どちら様ですか?」

「そのセリフしか言えないのか!?」


 そういってもね...と、ジャスティーンは読んでいた本を閉じて椅子から立ち上がり「仕方ないな...」という雰囲気を前面にだしてエドワルに膝をついた。


「えっと...お部屋にお越しいただきありがたき幸せ?でいいでしょうか?」

「何故疑問符がつくのだ」

「では...この部屋にどのようなご用件でお越しいただいたのでしょうか?」

「相変わらず邪険に扱うとはいい度胸しているなお前は...」


 エドワルドは微笑しそれを見たジャスティーンは物凄い嫌な顔をした。


「今日もマッサージをしてくれ。この前と違うもっと優しい方法で頼む」

「はあ...では香油を使ったマッサージなどいかがですか?」

「香油とな...」


 ジャスティーンの提案にエドワルドは眉を顰め見るからに嫌な顔をした。

 それは多分他の側室からも性的な方を交えたマッサージをされているのだろうとジャスティーンは考え、しかし彼女自身マッサージはエロいことなどする気など一切無い。

 エドワルドが変な方に勘違いし、この部屋に2度と来ないならそれもいいかもなどと考えていたが、エドワルドは両腕を解き考えがまとまったのか、ベッドへ向かった。


「陛下...あのオイルを使用したマッサージですので服を脱いでベッドに横たわってください」


 これでエドワルドの反応を確かめたジャスティーンであったが、エドワルドは服を脱ぎ国王がいつ来てもいいように陛下専用のナイトガウンを身に着けベッドの上に寝た。

 マッサージを受けたいと、そういうことか...とジャスティーンは覚悟を決めた。


「陛下、ラベンダーの香りはお好きですか?」

「ラベンダーか...特に何も思わないが、どうしてだ?」

「ラベンダーは優れたリラックス作用があることで有名です。精神的な不安や緊張感を取り除いて、安眠へといざなってくれると人気だそうです」

「そうなのか...確かに王位を継いでから眠りが浅い気がする」

「国王という立場が陛下にとってプレッシャーなのかもしれませんね。執務もありますし問題は尽きないでしょうし...知らず知らずにストレスを抱えておられるのやもしれません。ではお体に触れてもよろしいでしょうか?」

「ああ、構わない」


 王の許しを得てジャスティーンは香油を手になじませてから足からマッサージを始めた。

 マッサージの基本動作は、「さする」「もみほぐす」「たたく」の3パターンをやさしくさすることから始まり、だんだんと力を加えていき、少なくとも同じ動作を最低3回は繰り返した。

 初めは老廃物が溜まりまくっていたエドワルドは相変わらず「痛い」と言ってきたのだが、ジャスティーンが老廃物の説明をしエドワルドは無言でその行為を受け入れ次第に慣れてきたのか自分の不健康に呆れたのか黙って痛みに耐えているようだった。

 その姿をみてジャスティーンは笑った。

 注意しておくと今回のマッサージは一切強い力を使っていない。

 優しくさすっている程度で痛がるエドワルドにジャスティーンはやはりこの人根拠はないが不健康なのだろうと確信した。

 ただいつもと違うといえば上半身のマッサージを終え首から上のマッサージをしていたら、エドワルドから寝息が聞こえてきた。

 これはラベンダーのお陰なのかそれとも素人ではあるがジャスティーンのお陰なのか判断付かないが、無邪気な寝顔を見てジャスティーンはエドワルドを起こすことが出来ず、そのまま明け方まで寝かせてジャスティーン自身は読書を続けた。


 今一番の心配はエドワルドが病弱な側室の元を非公式だけど頻繁に訪れていることが誰かにバレた場合のことをどう対処しようかと考え、他の者に知られる前にもう2度と陛下が来ないように頼もうと夜明け前にエドワルドを起こし、まだ完全に覚醒していないエドワルドを隠し通路まで連れて行った。


「お前のベッドを占領してすまない。ソファーにでも寝たのか?」

「いえ一睡もしておりません。しかし安心してください。今から寝ます。それとこの部屋に2度とお出でにならないでください!」


 一方的に言い終えたジャスティーンは隠し通路の扉を勢いよく閉め、ドアの前に荷物を置いた。

 ふぅ、これで2度とこの部屋に来ないだろうと安心したジャスティーンはベッドに横になるやいやな寝息をたてて深い眠りについた。

 




 しかしその願いが叶うことは無かった。


 



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