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侵入者にはご用心 8

本日もマッサージのお話です。

 本日も侍女のお仕着せを着て図書館へと向かい新しい本をたくさん借りてきたジャスティーンはその本を読んでいると悪夢の再来が...衣装棚の扉が独りでに開いた。

 キィーーーッ.........

 いや、訂正すると独りでに開いたわけではなく2~3週間前にこの部屋に訪れたことのある...今回で3度目の登場であるソレイユ国王様がいた。


「おい、ぼーっとしていないで何か言え」

「どちら様ですか?」

「貴様は俺を馬鹿にしているのか!?」


 そういってもね...と、ジャスティーンは読んでいた本を閉じ椅子から立ち上がり「仕方ないな...」という雰囲気を前面にだしてエドワルに膝をついた。


「えっと...国王陛下、このような部屋へようこそ光栄にございます...で?」

「『で?』とはなんだ『で?』とは?」

「ですから、ご用件はなんですか?本日も非公式の訪問でいらっしゃいますよね?」

「ああ...そうだが、そう邪険に扱うな」


 エドワルドの言葉にジャスティーンは頭を抱えた。

 非公式の訪問で何たわごとを抜かしている!?と、隠し通路に押し返してやりたい騒動をジャスティーンは抑えた。

 それはエドワルドから溢れんばかりの疲れたオーラが前面に出ていた。


「すまないが今回は違うマッサージとやらがないか聞きに来た」

「この前と違うマッサージをご所望ですか...」

「この前のはハード過ぎる。もっと穏便で効果覿面の方法はあうるか?」


「そうですね...」とジャスティーンは本日借りてきたばかりの付属品付きの書物を手にしてエドワルドにまたラフな恰好とヘッドに腰掛けてもらい本と共に付いていた手のひらに収まる長細い棒を持ちジャスティーンは床に膝をつきエドワルドの足をまずは手に取り足首を指圧し、それから足の両サイドも親指と人差し指を挟むように指圧した。


「気持ちいいな」

「それはようございました。これも遠い東の国が発祥の足つぼマッサージというものです」

「足つぼマッサージとな」

「はい。まずは足を指圧してから足の裏にあるツボをこの専用の棒を使い押していきます。この棒を使わなくても親指で押してもいいそうなのですが、棒が付属についておりますし折角ですので使わせていただきます」

「それよりツボとはなんだ?」

「ツボというのはこの本によると『経穴』のことを言うそうです」

「もっとわからん!」

「まあ私も専門家ではないので詳しく解説できませんが、東の国では人間の全身にツボが670種類あると考えられているそうです。そのツボの一つ一つに名前があり体の各器官に関係していて、そのツボというところを刺激すると疲れなどの回復効果が見込めるとあります。実際のところ私にはわかりませんが、足の裏は「第2の心臓」と呼ばれ、ツボは体全体につながっているそうです。足うらのツボを刺激することで、 血行が促進され症状を緩和改善することができるとこの本には書いてあります」

「ほう、なるほど...しかし足が温かくなってきたきがするな」

「それは血行が良くなってきたのかもしれませんね」


 両足とも同じぐらい指圧し、今度は足つぼ専用の棒を手に持ちエドワルドの足の裏を本を見ながら軽く5秒押しを2~3回繰り返しを次々に押していくとエドワルドから悲鳴が上がった。


「い、いたいたいたいた痛い!!」


 暴れだそうとするエドワルドにジャスティーンは力いっぱいツボを押してエドワルドを動けないようにして、次々とツボを押して行った。


「いたーーーーーい!!」

「あ、陛下そこは目がお疲れのようですね...あ、今度は肩で、次は胃に肝臓と十二指腸に、あ.......」


 急にジャスティーンの言葉が途切れ、でもツボを押す力と痛みは持続していて、エドワルドはもがきながらもジャスティーンに聞いた。


「いたーーー、こら!今押しているツボはどこの器官だ!?一番痛いぞ!!」

「.....................生殖器です」


 エドワルドとジャスティーンは黙り込み、それでも5秒押しをすでに5回ほど念入りにしているジャスティーン。


「陛下...」

「な...なんだ?というか本気で痛いから押すのを止めろ!」


 エドワルドの願いを聞くことにしたジャスティーンは手を休めた。


「は...助かった」

「陛下、不健康にも程があります。お仕事がお忙しいのはわかりますが、少しはお休みになられたほうがよろしいかと...それに健康管理も立派なお仕事の内です」


 病弱なジャスティーンに言われたくないセリフを言われたが、恥ずかしい姿を見せてしまったエドワルドは何も言えなかった...というか、宰相であるライモンに常日頃から言われているセリフなので余計反論できなかった。


「と、いうわけでもう片方の足も始めますか」

「え!?」


 エドワルドがジャスティーンの言葉を理解する前にジャスティーンは彼の足をがっちりと掴み同じように足つぼを再開した。

 ジャスティーンの部屋の周りは空室でソレイユ国王エドワルドが泣こうが喚こうが助けは来なかった。


「はぁ...はぁ...」

「ふーーー達成感...いえ私はソレイユ国のためにお仕事が出来て嬉しいです」


 エドワルドの苦しむ姿を見れたジャスティーンの行動は日頃の鬱憤を彼で晴らしたような気がすると感じたエドワルドはジャスティーンから足つぼ用の棒を奪い取った。


「今度は俺がお前に足つぼマッサージしてやる」

「え、陛下自らですか?恐れ多いので遠慮します」

「ダメだ、ベッドに座り素足を出せ!」


 非公式とはいえ王様の命令なのでジャスティーンは指示に従った。

 エドワルドはジャスティーンの小さな足にときめいた。


「小さいな...子供のようだ」

「まあ子供より大きいつもりですが?」

「くくくっ、それは失礼した。お前も一応レディーだったな」

「今思い出したように言われても嬉しくもなんともありません」


 などとやり取りをしながらエドワルドはジャスティーンに足つぼマッサージ足を施すも「あ、そこ気持ちいですね。もっと強めに押してください」と言われ結構な強さでツボを押しているにもかかわらずジャスティーンは一切痛がることはなかった。

 この時エドワルドは確かに痛いからと言ってそれが疲れているとかの根拠は無いが、この女は絶対に病弱じゃないことだけはわかったという変な確信を持った瞬間だった。



 初めての足つぼマッサージの体験を終えた後、本日も有無を言わさずエドワルドは隠し通路に誘導され側室の部屋から追い出されるというこの状況に相変わらず納得できないエドワルドであった。







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