再会
「おーい、静かにしろ。これからホームルーム始めるぞ」
中年の男の先生が入ってきた。この人が俺の担任なのか。始業式のときにクラスに指示を出しているのはわかったが、初めて顔をちゃんと見た気がする。(なんつーか、特徴ねえな、この先生)
「みんなはもう知ってるかもしれないが、このクラスに転入生が来ることになった」
「マジで!?」」「やった!」「可愛い子かな」「てか、男?女?」「赤城くんや財前くん、神坂くんみたいにカッコいい人だといいよね!」
クラスのあちこちから様々な声が聞こえてくる。カッコいい人の中に俺の名前があったのは気のせいだろうか。
「だから静かにしてくれ!転入生が入りにくくなるだろ」
クラスがしーんと静まった。
「じゃあ、野崎さん入ってくれ、あ、ついでに自己紹介も」
戸を開ける音がして一人の女子が入ってくる。(あれ、あの子朝桜の木の下にいた・・・)
「初めまして。隣りの市にある県立高校から転校してきました野崎愛梨です。この高校のことはあまり詳しくないので、いろいろ教えてくれたらうれしいです。よろしくお願いします」
色白な見た目、腰にまでかかりそうなロングの黒髪、二重でぱっちりとした目、モデルをイメージするようなすらっとした体型。非の打ちどころがない美少女だった。
「みんな、仲良くしてやってくれ。じゃあ野崎さんはあの空いている窓際の席に」
「はい、わかりました。」
俺の席は廊下側なので、反対側だが、俺は自分の席に移動する彼女をただ遠目に眺めていた。