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第1章9



「あ、あなたもここに座ろうと?」

そんな馬鹿なことを考えていると、同時に荷物をおいた人が話してくる。


「あ、すみません…別の場所に行きますね。」


「別にいいんですよ?一緒に座りましょう。」


「はい?」

僕、この人知らないんだけど…?

この食堂の中でフード被っている女性は知り合いじゃないんですが…


「あなたも今から取りに行くのよね?」


「え、あ、はい。」


「なら、色々教えてもらえないですか?私そんな詳しくないんですよ。」

まぁ、一年生ならそんなもん…でもなくない?(自分も一年生だけど)

普通に暮らしてても、料理注文するとかあるくない?


「…僕なんかで良ければ。」


「ありがとうございます。まずはどこに行けばいいのですか?」

そこから!?


「えっと、注文はもうしましたか?」


「…注文しないといけないのですか?」

まぁ、そりゃそうだよね…

僕は、さっき父さんと話していたところを指差す。


「あそこで、注文できます。多分そろそろ僕の父さんがくるんで…あ、来ました。」

ちょうど、父さんが厨房から出て僕に手招きしようとしたが、僕の隣を見て厨房に戻ろうとする。


「ちょ、父さん!?」

慌てて戻ろうとするのを止める。


「なんだ、俺はお前が選んだ子なら誰でもいいぞ!!」


「そういう関係じゃないよ!!」

何言ってんだこのバカ父さんは!!

さっきあったばかりの人だわ!!


「えっと、この方があなたのお父様?」

ちなみに、未だに名前も知らない。


「まぁ、そうです。」


「息子をよろしくお願いします。」


「何いってんだほんとに!!それよりも、この人はお客さんだよ!?」

ここに来た本命を言う。

ほんと、どんな勘違いだ。


「なんだ、お客さんか…ご注文は?」


「…なにがあるのですか?」


「だいたいあるぞ…何が食べたいとかあるなら言ってくれ。」

父さんが作れないものは、ほとんどないと思う。

僕が小さい頃、色々と作ってもらった記憶がある。


「なら…ペチャブのクリームスープ…」

??ペチャブ?

なんだそれ?


「ペチャブ?どんなやつだそれ…?もしかして…あんた異世界の人か?」


「異世界…あぁ、こちらの世界からみたらそうですね。」


「え、異世界の方だったんですか…」

通りで見たこともないし、知らない食材も言うわけだ…


「まぁ、そのペチャブ?というのはないが…クリームスープならある、それでもいいか?」


「…お願いします。」


「あ、父さん僕のハンバーグは…」

中にチーズが入っているやつ。


「一緒に持ってくるからまっとけ。」

そう言って厨房に戻っていった。


「えっと…このあとはどうしたらいいのですか?」


「えっとね、先に会計だね…お金、持ってる?」

この島でのお金の単位はフィンだ。

お金の価値は、だいたい日本円の10倍だ。

いつも大体、千フィンは財布に入れている。

日本円にして1万円だ。


「えっと…我が国のやつならあるのですが…」

異世界からここに来る場合、お金の変換などもできるが、この子はやってこなかったらしい。


「んーわかった、ここは僕が払うよ。」


「え!?そんな、申し訳ないですよ!!」

すごく慌てて首を振っているから、フードが取れそうだ。

中から、きれいなエメラルドグリーンの髪が見えた。


「いいよ、ここは安いし…初めてこの世界に来たんでしょ?僕からのお祝いだと思って受け取ってくれるかな?」


「うぅ…はい…ありがとうございます。」


「ほいよー持ってきたぞ。チーズインハンバーグと、クリームスープ…とおまけでポテサラもだ。」

ちょうどいいタイミングで父さんが戻ってくる。


「ポテサラ!?サンキュー父さん!!」


「ぽ、ぽてさらですか?」

どうやら異世界にはポテサラはないようだ。


「茹でたじゃがいもを主原料とするサラダ料理って言えばわかるかな?」


「じゃ、じゃがいもですか…?」

じゃがいももないのか…?


「そこのお二人さんよ、料理受け取ったらさっさと席いかないと後ろが詰まるぞー」

父さん、そんな目で見るな…


「とりあえず、席に戻ろうか。父さん、お代はこれでいい?」

きっちり190フィン払う。


「おう、熱いうちに食べろよ?」


「わかってる。行こうか。」


「は、はい。」

そう言って、僕達は席に戻る。


「すみません、本当に…」


「別に大丈夫だよ。さっきも父さんが言ってたけど、熱いうちに食べたほうが美味しいよ?」

そう言って、僕も食べ始める。

うん、すごい肉汁…流石父さんだ。


「…!!美味しいです…この、ぽてさら?も…」

異世界の方にも地球の料理は美味しいようだ。


「そういえば、名前言ってなかったね。僕は一途屋慎也だよ。」

改めて、自己紹介する。


「あ、私は…その…」

…何か言いづらいのか…


「いいよ、無理に言わなくて…ごめんね?」


「いえ、その…すみません…」

すごく申し訳なさが伝わってくる。

まぁ、言えない理由があるんだろうし、しゃあないよ。


「ここの席、いいでしょ?海が綺麗に見える。僕のお気に入りなんだ。」

ここは、海に一番近い席だ。

近くにはサンゴ礁が見えて幻想的だ。

夜ならもっときれいに見える。

父さんは昔からここで働いてたから稀にこさせてもらってここで食べたなぁ…


「はい…我が国にもきれいに見える場所もありますが…ここも負けていません。」

そんな風に話し合いながら昼ご飯を一緒に食べた。




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