(Side Girl)
J K視点です。お読みください!
みんなで帰りの電車の中で、スマホの画面見せ合って。きゃははっておおはしゃぎしながら、スカートがめくれちゃうのもお構いなしに両脚をジタバタさせて、バカ笑いして。
けどその後の、徐々に友達が電車を降りていなくなって、私ひとりっきりになったときの、ああ、この静けさ……。電車はガタゴトうるさいはずなのに、人の声がないってどうしてこんなに淋しいんだろう。
ないわ、マジで。あー、怖っ。
この「沈黙」と「空白」に、待ってましたとばかりに「冷静」が顔を覗かせる。ふと、「なんのために生きてんだろ」とか「てかさっきって、あんなに笑うほどたのしかった?」とか「うち、本当は真理沙のことあんま好きくないかも。あの子、うちへのマウントすごくね?」とか……。騒いでる時には隠れてた気持ちが、頭の中に響く。渦巻く。
それは確かに自分の声なのに、自分のじゃないみたいに暗くて沈んで淀んだ声。
すると……魔が差す、っていうのかな。
ふーっと、あーこのまま駅のホームから飛び降りてみようか、なんて想像してみたり。そしたら明日から早起きしなくていーし、真理沙ともお昼食べなくていーし。
それに……私の「好きぴ」が、明らかにうちじゃない子を狙ってる姿に傷つかなくてもいーじゃん。やだよね、男子って。露骨に態度違うくてさ。
とか。
ああ、だめ、だめ! 考えるなー! って打ち消しても、あたしの制服のプリーツスカートがブワッと逆さまになってホームに落下していく姿が、脳内に何度も何度もリフレインする。飛び降りる、巻き戻し、また飛び降りる、はい、巻き戻し。ああもう、TikTokよりしつこいよ。
何、この現象。てか、何か名前がありそう。心理学的なやつ。空白現象? 違うか。
……はあ、ダメだ。誰かとバカ騒ぎしてなくちゃ。気を逸らさなきゃ。毎日楽しくってたまんないみたいでさ、私には向き合いたくないことが、いっぱいありすぎるんだ。
私はグループLINEを立ち上げた。用事なんかない。話題もない。だけど、私をひとりにしないで。ひとりにしないでいてくれるなら、返信くれるのは真理沙でも別にいいし。
誰か、誰か。無言、怖いよ。
後半は、男子視点です。
おたのしみに〜