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Disputers~革命の日~  作者: Disputers
「革命軍」視点
8/8

第8章:戦に向けて

1か月後の、次の『会談』にて。アークが話を切り出した。

「本題の前に、私の新しい幹部たちを紹介しよう。ブラック・ダミーとマーキー・ファイヤーだ。2人は今まで、主力として活躍してくれたから、この際、幹部となった。ドローンの攻撃が特徴的だったから、たぶん存在は知っていると思うな。」

「...よろしく。戦いで黒い光線を発していたのは俺だ。」

「よろしく~!アークは青い炎だけど、私は赤い炎だったから気づいてくれているよね?」

「あぁ...あるな。では俺らからも、よろしくだ。」




1時間後、俺らは攻撃の計画を立てていたが、行き詰ってきていた。

「すぐに侵攻できるように、軍は予め前線に置いておくべきだな。」

「ただ、私らの場合は燃料がなぁ...。」

「それなら前線付近に補給基地をいくつか作ればいい。」

「いくら掛かると思っているの!」

「必要経費かと。」

「基地じゃなくて、普通にタンクを平原に置くとか良いんじゃない?」

「この辺か。前の反省を生かしてもう少しこっちに寄らせたいな。」

「経費は他に回したらいいと思っていたんだけどなぁ...。」

「ただ単に、石を敷き詰めて着陸箇所を設ける...とか?」

「あ~。俺らが初めて会った所もそんな感じだったな。」

「あの時のは許してないからな。」

「え~。でも一応クロッサスが講和しに来たけどね?」

「もうやめましょうよ...。」

「ああ、話が脱線してきてるぞ?」




ふいに、1階の裏口の方から爆発音がした。全員が身構えた。ゼータが叫んだ。

「奇襲だ!逃げろ!」

誰も怪我こそしていないものの、戦闘ができない人が多い。Taw-ya-kar独立政府の人たちはドローンに乗らないといけないが、母艦に置きっぱなしだ。スペードの戦車も外。ゼータのライフルも、クロッサスのビームも、同士討ちの可能性もあって使えない。


ーーまともに戦えるの、軽装備な俺らくらいじゃないか!


クロッサスが、機械(クロッサス)に乗り込みつつ窓から1階にある庭(スペードの戦車)を一瞬だけ見下ろし、冷静に叫んだ。彼もこの(革命軍しか戦えねぇ)ことに気づいていたようだ。

「正面玄関へ走れ!革命軍以外は戦えないからとにかく走れ!革命軍は逃げながら戦え!」




廊下に出ると、左手の遠くの方に機械兵が3体見えた。引き続いてクロッサスが大声をあげ続けた。

「急げ!下に降りるぞ!」

「いや...要らないな。」

マシューが金棒を振り上げ、床にたたきつけた。大穴が空いた。俺らは1階に飛び降りた。

「レーダーに反応あり!曲がった先に敵がいるぞ!」

「了解!」

俺は曲がり角の陰から回し蹴りを入れた。壁を蹴ったような鈍く重い感触。

「倒したぞ!このまま走り抜けろ!」


外に出た。ずっと指示を出し続けていたクロッサスの声は枯れかけていた。

「皆..者!スペ...ドの戦...に乗...逃げ...!我が...で...!」

クロッサスの声が掠れて聞き取れなくなった。それを察知したゼータが、意を汲んで続けた。

「今呼ばれなかった者はクロッサスの援助をしながら逃げよ!」


俺らはスペードの戦車に乗り込んだ。俺らのいた建物の前、50機は超える機械兵がいた。クロッサスは敵を焼き払いつつ、こちらに逃げてきた。だが、敵が100機、200機と増えていくのが目に見えて分かった。暴風で音が聞こえにくい中、ゼータが叫んだ。

「俺らも援護するぞ!」

ゼータとアレンが援護射撃をすると同時に、フランカールが地面に『マヨネーズ』を撒いた。クロッサスが猛スピードで、馬が駆けるが如く逃げつつ、敵に正確なビームを発射し続けていた。クロッサスが『マヨネーズ』を撒いた地帯を過ぎると(クロッサスの足は針のように細いので、『マヨネーズ』に足を取られることはない)、もう敵は追ってこなくなった。




次の月、俺らは再び集まった。雰囲気が嫌悪だった...俺を含めて。

「ったく...。もう少し戦力を持ってこなかったのかね?」

「君らだって兵士を連れてきていないじゃないか。今日も。」

「俺らは武器を持参している。」

「屋内では使えないだろ!」

「中では誰が戦っていたと思うんだ?」

「少なくとも外では我が一番活躍していたではないか。」

「中のことを話している!」

「おいおい、もうやめろ?」

「お前が言うな!」

「そうだ、貴殿は戦車に乗せられて逃げてっただけじゃないか!」

「そりゃ...母艦を動かすのも安くないからな。」

「ドローンだけででも来いよ。」

「いや無理だよ。着陸する場所もないし。そもそも私の炎を使ったら全員ベリー・ウェルダンのステーキになるよ?」

「そういう冗談を言える時か?」

「ふざけないでくれよ。」

「っていうかベリー・ウェルダンって何なんだ?」

「君も大概だ。空気読め。」

「いや、質問くらいしても良いだろう。違うか?」

「ベリー・ウェルダンは肉の焼き加減の一種で、中心まで火が通った状態のことだ。満足か?」

「あぁ。マーキーが何を言いたかったのかが分かった。それは冗談に聞こえるのも頷ける。」

「で、それでもドローンを持って来いっていうの?」

「クロッサスのようには動けただろうが。」

「俺はそれでも不十分だと思うけどな。」




そのとき、普段は静かなスペードが、地鳴りのような声を出した。普段の高くて軽い声とのギャップもあって、少し怖かった。

「あなた方、もうやめましょうよ!ここで仲間割れをしてどうするんですか?僕たちは何のために戦っているんですか?帝国を倒したいという気持ちはないんですか?奇襲を受けたのは誰のせいだとか話してますけど、帝国をさっさと倒そうともせずに、こんなところで無駄に時間をかけているから奇襲にも遭うんじゃないんですか?こんなんじゃまた奇襲されますよ?そもそも帝国に負けて一巻の終わりじゃないですか!Loe-Frize帝国も倒して、ここまで頑張ってきたじゃないですか!それを、こんなつまらない理由で無駄にするんですか?そうしたときに...」

「やめい!貴殿の言い分は分かった。奇襲の件はもうなしだ。」

「あぁ。俺も帝国を倒すという目的は変わらない!」

「私らも同じだ。」

「では、気を取り直して、作戦会議といこうではないか。」

「「「「「「「「「「応!」」」」」」」」」」


スペードのおかげで、結束力が高まった。しかし...スペード恐るべし。人は見かけによらず、という言葉を身をもって知った。まぁ、彼は元より、戦闘中とか模擬戦中とかも...。




 会談の帰り、俺はゼータとクロッサスに聞いた。

「なんであの時、ゼータじゃなくてクロッサスが指示をしていたんだ?」

「あぁ、それか。咄嗟に動いただけだ。あの状況で身分を気にしていられたか?」

「クロッサスの方が冷静だからな。あの時は救われたわい。」

「おかげで我の声が枯れてしまったが。あの後2日くらい声が掠れて出せなくなってたのだぞ?」

「それは...ドンマイだな。」


ーーやっぱり、笑いあえる仲間が一番だ。

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