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第一章 第90話 大公国首都決戦④

 いきなり湧き出して来た者達は、手に手に棍棒や槍状の木製武器を掲げて、それぞれの入城門に殺到して来るのが小型ドローンから送られて来る映像で確認出来た。


 「想定していた状況となったぞ。

 各軍の軍人は各々の武器を対住民用の、殺傷能力の無い【麻痺魔法】に切り替えて、此れより【大型揚陸艦】から発射される【大規模鎮圧魔法】で撃ち漏らした、対民間人に対して各個で攻撃を行え!」


 此のアンジーの命令を聞いて、各軍団は適切に武装を殺傷能力の無い【麻痺魔法】に切り替えて、隊列を迎え撃つ形の半包囲に組み直し、入城門から出てくるであろう人々を待つ・・・。


 首都の街路をそれ程早く無く、歩くよりもやや早い程度の速度で人々は、誰かの命令を受けているような様子で、集団が綺麗に分断されて行き、各入城門に向かって行く。


 そして各入場門が誰かの指示であるかのように、鉄製の入場門がゆっくりと降りて行き、降りたと同時に人々は統制されている様に、各門に配備された軍に対して声も上げずに襲い掛かって行った!


 だがそれは想定通りの行動なので、【大型揚陸艦】が照準していた【大規模鎮圧魔法】が、北門と南門そして俺が居る海港と繋がる大手門の三箇所に撃ち放たれた!


 【大規模鎮圧魔法】・・・・・・それは魔法と称しているが、実態は【広域暴徒鎮圧用ナノマシン】の散布で、散布されたナノマシンは対象者の口内或いは皮膚等から、体内に吸収されると直ぐに対象者の運動中枢を司る部位に入り込み、直ちに攻撃や歩く等の動きを封じるが、新陳代謝や呼吸等の生命維持は問題なく行われる様に計らう、超技術である。


 【大規模鎮圧魔法】が撃たれた事で、大半の人々はそのまま寝転がって動けなくなったが、流石に全員が鎮圧出来る筈もなく、撃ち漏らした人々には各軍団からの【麻痺魔法】が飛んで行く。


 俺も自分自身は魔法が撃てないが、【PS(パワードスーツ)】の手に持たせている、スナイピング・ライフルの銃弾には【麻痺魔法】のカートリッジを装填しているので、問題なく次々に人々を麻痺させて行った。


 しかし、やって来る人々の数は半端無いモノで、どう考えても首都に住んでいた住民20万人を越えていて、恐らく倍の40万人は居ると思われた。


 (こんな人数をどうやって地下水路などという、非常に狭い場所に閉じ込めていられたのだ?

 もしかすると、探査やセンサーが拾いきれていない地下には、とんでもなく広い空間が此の首都には存在するのか?!)


 思わず思い描いてしまった想定外の想像に、身震いしてしまいそうになりながら、俺は[ヘルメス]に脳内から命令を下す。


 ([ヘルメス]! 小型ドローンに配備している【ランドジグ】を、地下水路の入り口から隈無く地下に入り込ませて、徹底的な探査を行え!)


 [了解です。 恐らく此の首都の秘密が其処に有ると思われます]


 やはり此の状況から、【探査ブイ】が探査を行えなかった地下にこそ、今回の非常に不可思議な事態の元凶が存在すると、[ヘルメス]も推察したのだろう、説明を受ける事なく直ぐに了解してくれた。


 俺と親衛隊そして他の陸戦軍の【白虎軍団】と海軍の【青龍軍団】の海兵達は、武器を交換しながら【麻痺魔法】を民衆に浴びせ続けて、全ての弾倉を撃ち尽くしたら交代交代で補給に戻り、その間は小型ドローンを操る空軍が全力でサポートし続けた。


 しかし、余りにも多過ぎる人々が横たわって行くので、【大型揚陸艦】は何とか無事に人々を回収する為に、【時間凍結】を施した上で【亜空間スペース】に麻痺した人々を回収して行った。


 二時間もの間、【大型揚陸艦】からの【大規模鎮圧魔法】と各軍団が撃ち続ける【麻痺魔法】によって、漸くほぼ全ての民衆が動きを止めて回収されたので、各軍団は補給を受けて体勢を整えながら、次の事態の変化に備え始めた。


 俺やアンジーと各軍団の指揮官は通信機を通して協議を行い、俺とごく少数の精鋭だけで問題の地下水路に侵入する事が決まった。


 当然俺にしても無茶をするつもりは無いので、【ランドジグ】が探査したデータを元に、【PS(パワードスーツ)】10機と小型ドローン5機を引き連れて、行ける範囲まで向かう事になった。


 安全を確保しながら、【ランドジグ】が指し示す順路を通って行き、何故か気温が高くなる地下水路に訝しみながら、ドンドンと進んで行った。


 進めば進む程に気温が高くなって行く事と同時に、如何に地下水路とは云え明らかに湿度が上がっていく事態に、此の地下に此の事態の元凶が潜んでいることに確信を抱きつつ、俺は慎重に隠蔽インビジブルモードでゆっくりと進む事にした。


 やがて、地下水路にも関わらず奥に進むほど光が差し込んで来るので、より慎重に進んで行くと奇妙にドクンドクンという一定の振動音が響いてきた・・・。


 そして、最早蒸し暑いと言える状態の地下水路を突き進むと、地下水路では有り得ない木造の門が見えて来た。


 周囲の壁も木造な上に、隙間だらけなので其処から中から漏れる光が見えている様だが、そもそも地下で光というのが意味不明過ぎる。


 そして、中に居ると思われる元凶に気取られない様に、探査を魔法を一切使用しないでセンサーのみで行うと、どうやら植物が中では蔓延っている事が判った。


 持ってきた【ランドジグ】を大量に放出し、一旦、帰還して対策を練らないと闇雲に突っ込んでも対処出来ないと判断した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 幕間の用語説明にあった【ランドジグ】を確認して、いやぁ~どんな状態なんですかね。人として生きているのか、凄い状況を想像していたんですね。流石に、今までにない構想ですね。
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