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第一章 第88話 大公国首都決戦②

 【水棲魔物サハギン】とは、海に棲む半魚人のモンスターである。


 人間同様の完全な直立二足歩行をする者や、前屈した不完全な直立型の二足歩行をする者がいて、もりやトライデントなどの武器を持つ者もいる。


 温暖な塩水に棲む過激な捕食者で、スポーツ感覚で獲物を食い散らかす“海の悪魔”とも噂される存在だ。


 そんな奴等が、何やら服の様な海藻を纏わせた物を着込んで、圧倒的な速度で海中を進んで新生ベネチアン海軍の【青龍軍団】15隻の甲板上に千匹を越えた大群で現れた!


 然もよくよく見ると、奴等はもりやトライデントで武装している上に、奇妙な海藻を纏わせた服はかなり厚みがありそうで、そんな物を着込んでいる奴等の防御力はかなりありそうだ。

 

 いきなり懐に潜り込まれたので、当初は当惑していた【青龍軍団】の海兵と水兵の総数400人も、直ぐに臨戦態勢を整えると【水棲魔物サハギン】達に接近戦を挑んだ!


 新生ベネチアン軍は全軍同じくインナースーツで素肌を守った上で、それぞれの軍の特性に合わせた鎧や防御服を装備していて、武器もそれに準じている。


 新生ベネチアン海軍【青龍軍団】は、インナースーツの上に甲板上で動きやすい服装として各関節にサポーターを施し、海に落ちた際に膨らむ処置を施したジャケットを上着に着込んでいる。


 他の軍に比べると防御力は弱いし強力な武器は基本的に携行していない、つまり接近戦には相対的に向いていないのだ。


 当然人数も少ない上に、海に落ちたら【水棲魔物サハギン】達と違い、簡単には甲板上には戻れない。


 案の定、何とか防戦状態を維持しているが、かなり劣勢に追い込まれているのが、上空からも手に取るように判断できたので、凡そ50メートル上空の【大型揚陸艦】から俺は直ぐ様飛び出して、【マゼラン】将軍の乗る海軍の旗艦に向けて跳躍した!


 狙い済ました形で【水棲魔物サハギン】達が密集している所に突っ込むと、俺は周囲の【水棲魔物サハギン】達に向けて旋風脚を叩き込み、旗艦の甲板上に登ってきた【水棲魔物サハギン】達を次々と行動不能にして行った。


 当然、俺以外の親衛隊員達も順次他の艦船に、【大型揚陸艦】を接舷させて乗り込んで【水棲魔物サハギン】達に戦いを仕掛けて行った。


 幸い【青龍軍団】の海兵と水兵達は、【水棲魔物サハギン】達の持つもりやトライデントに突かれて怪我は負ってはいるが、大きな穴や腕や足が切り離される様な深刻な怪我は負っていない。


 しかし、やはり急造の艦船達は船体に穴を開けられたり、スクリューに何やら縄の様な物を巻き付かされたりして、航行不能な艦船が続出した。


 なので、無事な艦船の旗艦と5隻以外は放棄する事にして、直ちに航行不能な艦船の乗組員たちは【大型揚陸艦】に退避してもらい、航行不能な艦船には乗り込んできた【水棲魔物サハギン】達だけが残された。


 航行不能な艦船の乗組員達を【大型揚陸艦】に回収し終えて、無事な艦船の旗艦と5隻だけは保持した上で、新たに艦隊を組み直して【マゼラン】将軍は状況を整理する事に成功した。


 だが、【水棲魔物サハギン】達は乗り込んだ艦船を動かす事は流石に出来ないが、甲板上にある魔法を撃てる魔導具をどうやら使用出来る様で、上空に滞空している【大型揚陸艦】と無事だった艦船に対して攻撃魔法を魔導具で撃ってきた。

 つまり【水棲魔物サハギン】達に乗っ取られた航行不能な艦船と、奇妙な形だが敵対する事となってしまった。


 【マゼラン】将軍は、【水棲魔物サハギン】達に乗っ取られた航行不能な艦船が、事実上ただ海流に乗って漂いながら攻撃魔法を魔導具で撃っているだけなのを確認し、海流を計算した上で風上から集中的に攻撃魔法を先頭の航行不能な艦船に浴びせて行った。


 旗艦を含めて計6隻の艦船からの集中攻撃を受けて、先頭にいた艦船から順々に燃え上がり初めて行き、9隻の航行不能な艦船は船体を全て炎で焼かれて行き、終いには燃え尽くされて海の藻屑となって行った・・・。


 当然、【水棲魔物サハギン】達はそんな艦船と運命を共にする訳も無く、次々と海中に逃げ込もうと行動し始めたが、詳細な情報を収集し終えた俺は、【大型揚陸艦】と小型ドローンに命じて、収束した【ブラスター砲】で全ての【水棲魔物サハギン】達の弱点である、脊椎の根幹にある運動脳を焼き尽くしてやった。


 次々と海上に浮かび上がって来た【水棲魔物サハギン】達凡そ千体を、【大型揚陸艦】が【亜空間スペース】に放り込んで、敵対勢力を一掃する事に一応は成功したのだが、まさか予想していた海戦とは様相が全く異なった上に、【水棲魔物サハギン】と云う想定外の敵が相手だったり、自軍の艦船が乗っ取られて敵対せざるを得なかったりと非常に驚くべき結果となった。


 前哨戦と侮っていた海戦がこんな状況だったので、恐らく陸戦に於いても想定外の戦闘になるのは目に見えている。


 俺とアンジーは、改めて気を引き締めて首都決戦に挑む事を覚悟した。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんだろう、あっけないような、そうでないような。サハギンに対して【ブラスター砲】あの有名なスター〇〇で光による凝集爆発エネルギーを射出する武器ですよね。海に飛び込んだ相手に、、?光景が…
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