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第一章 第76話 大公国内乱㉒

 進軍を開始した俺達、新生ベネチアン軍は陸路と海路から大公国の首都に向かう。


 ベネチアン城とは完全な通信状態を、24時間フルタイムで連絡出来る様にしているので、特に政治委任せずにそのままで俺とアンジーが共同で執り行っている。


 何故、俺が政治面でもベネチアンの運営に参加しているかと言うと、アンジーが政治的な代表なのは全てのベネチアンの住民に周知していたのだが、色々と俺の持つオーバーテクノロジーを利用したインフラ整備や軍事改革に積極的に参画し、重機の扱いや人形パペットの運用方法を様々なレベルの民衆に教授していた為に、「あの人は、一体誰なんだ?」と不思議がられたので、色々と誤魔化すのも面倒臭くなって来た事もあり、全ての人民に俺は自らが【星人ほしびと】である事を明らかにした上で、


「アンジーの為に俺は全面的に協力して必ず【オリュンピアス公国】と【オリンピア大公国】を元の領主に取り戻させた上で、更に発展させて見せる!」


 と堂々と宣言した為に半ば俺の存在は、ベネチアンの民衆と【オリュンピアス公国】の疎開民にとっては、事実上アンジーと同等の政治指導者と考えられてしまったのである・・・。


 そして此の世界の伝承に於いて過去5回の【星人ほしびと】の降臨では、全てのパターンで必ず【星人ほしびと】が手を貸す事で追い詰められていた人々は、復興を果たした上に代表たる王家と【星人ほしびと】は血統的に結ばれて後の繁栄も約束されるのである。


 つまり、【星人ほしびと】である俺がアンジーに肩入れした時点で、公国民にとっては事実上俺の存在は国家の代表にしてアンジーの婚約者と見られているのだ。


 まあ、俺としても無責任に此処まで関わっているのに、放り出す訳には行かないし、アンジーとの個人的な繋がりと仲間たちとの思い入れは相当強いので、アンジーから俺が嫌がられない限りは手助けして行きたいと思っている!


 そんな事を思いながら、PSパワードスーツと守護機士【アテナス】の移動基地ベースキャリアーである【ホメロス】の執務室で、俺は横に座るアンジーと一緒に様々な懸案事項を処理し終えてから、画面に映り込んで来たベネチアンに残って貰っている【リンナ】と【リンネ】の双子姫と会話する。


 「【リンナ】に【リンネ】もお疲れ様! 本当なら二人にはベネチアンに新設した【学校】に通って貰いたいんだけど、私が此の進軍に付いて行かないと守護機士【アテナス】は動かせないし、正統な立場での主張を現在の大公国首脳部に叩き付ける人材は、現状私しか居ないからしょうが無いわ!」


 「判ってるわよ! 私達二人でも今なら十分に姉様の代わりに、ニコニコ笑って公国民に毎朝ニュース内容を喋る事位出来るわ!」


 「それに周りの色んなスタッフの人達が、凄く面白いニュース内容だけを私達に扱わせてくれるから、結構楽しいわよ!」


 そんな和気藹々とした話題を、此のプライベートの時間に双子姫は教えてくれた。

 

 少し此の状況を整理すべきだと思うので説明すると。


 先ず今現在俺とアンジーが居る【ホメロス】と云う移動基地ベースキャリアーとは、国境の街【ドラド】の工場で建造された、初の試作型【陸上運搬船】である。


 【陸上運搬船】とは、攻撃力こそ無いが船体は全長50メートル横幅30メートルに達する、今迄の陸上を進む魔導具等とは一線を画す巨大な存在で、他との違いは先ず常時地面から浮上している点だろう。

 つまり【ホメロス】は、陸の上を浮上しながら進む運搬船なのだ。

 そしてその推進には、此の惑星を覆っている大気に遍く存在する魔力マナを利用する、画期的な魔導具【魔力発動機】で推進力を得ている。

 【ホメロス】は、4つの【魔力発動機】を船体の四隅に設置していて、その四隅を支えながら且つ方向を指定して移動する事が出来るのである。

 決して【大型揚陸艦】や小型ドローンの様に、素早い動きで空を飛ぶ訳では無いので、機敏に行動する事は出来ないが、かなりの量と重さの物体を運搬出来る上に、全体を【保護フィールド】所謂【バリアー】で覆う事が出来るので、防御力はかなり高い。

 然も、居住空間がそれなりに確保出来ているので、50名程の人数が寝泊まり出来ている。


 そんな【ホメロス】から、留守を任せている【リンナ】と【リンネ】の双子姫と会話していたのだが、会話内容のニュースとは、現在ベネチアンで試験放送を行っているTV放送に於ける、定時放送枠内のニュースの事である。

 毎朝7時と夜の19時に放送される定時放送枠内のニュースは、当然担当のアナウンサーが出演する時事問題のニュースとは別に、ベネチアンで起こる様々なほっこりとした気分になる話題や、新しく設置された【学校】【デパート】【リラクゼーションスポット】等を紹介するコーナーで、此の担当に【リンナ】と【リンネ】の双子姫を採用し、公国民への連帯感を高める事に一役買って貰っているのだ。


 二人も、公国の為に頑張りたいという事で、非常にやる気を持って取り組んでくれている。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔法と科学の融合。【魔力発動機】やっぱ出てきましたね。航宙軍もそうですが、魔法と科学、この組み合わせは色々な可能性をもってますからね。まぁ、現代の科学でも未知なるエネルギーが存在すると言わ…
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