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第一章 第47話 国境の砦での戦闘⑩

 調整を終えた強化PSパワードスーツは、オプショナルパーツと武装を積載していて、如何にも重武装である事が見て取れる。


 (・・・こんな重武装は、今迄装備させた事が無いから、少し試して見るか・・・)


 そう考えて、俺は砦から少し離れた先日王国軍と戦った戦闘後の焼け野原に向かい、少し残っている焼け残った木や、大きな岩を目標にして、強化PSパワードスーツを肩に装着した光学兵器ブラスターの照準補正を行う。

 

 (・・・シュート・・・)


 そう心の中で呟いて、最小出力で光学兵器ブラスターを撃つと、問題無く照準した中央に光学兵器ブラスターから放たれた光線が突き刺さり、半径5センチ程の穴が空いて行った。


 「「オオッ」」


 と見物に来た、ラング団長と守備兵の司令官そしてアンジー達と俺の部下が、歓声を上げている。


 次に、俺は機動力を確認する為に、推進装置であるバーニアとアポジモーターを起動させた。


 フイーーン。


 かなり抑えられた高周波の音が上がり、俺は一気に強化PSパワードスーツを戦闘後の焼け野原を疾駆させた!

 強化PSパワードスーツの足を、一切接地させずにバーニアとアポジモーターのみで、方向転換と急ブレーキと急加速を繰り返し上昇下降をしてみて、オプショナルパーツと武装が問題無く取り回せる事も確認出来た。

 最後に、背後に装備させていた大型の刀で大岩に斬り掛かると、刀は刃先の高周波ブレードが起動して、ものの見事に大岩を切り裂いた!


 十分に満足した俺は、強化PSパワードスーツを歩ませて、見物していた全員の前に戻る・・・。


 俺が強化PSパワードスーツから降りて皆に近づくと、ラング団長達は歓声を上げて迎えてくれた。


 「凄いぜ! ヴァン! 此の超高性能な人形ゴーレムなら、如何に守護機士が強かろうと、簡単にはやられないだろうし、その間に王国軍を別部隊が追い散らしてしまえば、十分に勝機が見えて来る。

 よーし、作戦を練り直して勝ち筋を確実なものにするぞ!」


 「その通りだ! 最初は守護機士がやって来ると聞いて絶望してしまったが、此れなら遣り様次第で負けない勝負が掛けられる様になった!

 ヴァン部隊長、貴方の切り札である此の超高性能な人形ゴーレムは、我々の希望の光だよ!」


 ラング団長と守備兵の司令官が、感嘆しながら評価してくれたので、他の面々も頷いて納得した表情を見せて来た。


 (よーし、皆の士気も上がった事だし、罠の設置も始めよう)


 俺は、亜空間に保存していた、幾つかの罠をアンジーと部下達に指示して、焼け野原の土中に設置して、王国軍に気づかれない様に偽装して伏せさせて行った。


 その後、ラング団長達と守備兵の司令官及び幕僚達と、幾つもの手直しをした作戦案を練り上げた。



◆◆◆◆◆◆



 それから3日後・・・。


 漸く到着した守護機士【アテナス】は、専用のキャリアーに載せて運ばれて来て、周囲を王国軍で固めて国境の砦に攻め込んで来た。


 だが、此の為に様々な準備を整えて来た我々は、落ち着いた中で堂々と迎え討つ体制を敷いていた。


 しかし、そんな事を理解している訳もない王国軍は、司令官自らが拡声機能を持つ魔導具を使用して、国境の砦に対して降伏勧告を行って来た。


 「私は、偉大なる【フランソワ王国】に於いて、王国軍南方方面軍指令を務める【モズク】将軍である!

 大公国の国境を守る守備兵共に命じる!

 一刻も早く、我が軍への抵抗を諦めて、【フランソワ王国】に降れ!

 さもなくば、守護機士【アテナス】の天罰の火が、天から降り注ぐ事になるぞ!

 30分待つ! 賢明な判断を選択する様に願うぞ!」


 何とも傲岸不遜で頭の良く無さそうな、王国軍南方方面軍指令を務める【モズク】将軍の降伏勧告を聞き、我々は戦闘準備を改めて確認し、全員が頷き会った・・・。


 30分が経ち、苛立った様子の【モズク】将軍が、再び拡声機能を持つ魔導具を使用して、怒声を放って来た。


 「砦に立て籠もる守備兵達よ! 何とも間抜けな判断を選択したものだな!

 お前たちは、ワザワザ自らが滅ぶ選択をしてしまったのだぞ!

 守護機士【アテナス】の天罰の火を喰らって、あの世で悔いるが良い!」


 そう叫ぶと、かなり急ぎながら戦場になる場から逃げて行った。


 王国軍も全て去り、戦場に残るのは、専用のキャリアーに載せられたままの、守護機士【アテナス】のみとなる。


 やがて、徐々に重低音の駆動音を響かせながら、守護機士【アテナス】は上半身を起こすと、下半身をずらしながら専用のキャリアーの横に立ち上がった!


 (・・・やはり、大きいな・・・)


 守護機士【アテナス】の全長は、アンジーから聞いていた通り10メートル程だが、その内包している凄まじい能力からか、立ち昇る魔力の所為で15メートルは有りそうに見える。


 砦に居る守備兵達や、傭兵達が息を呑む音が、強化PSパワードスーツに乗る俺のレシーバーを通して聞こえて来る・・・。


 いよいよ、俺が此の惑星に降り立ってから、最大の戦いの火蓋が切られようとしていた!

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