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第一章 第35話  お風呂と鳥料理の摘まみ食い 【リンナ・オリュンピアス】視点

 ◇◇◇【リンナ・オリュンピアス】視点◇◇◇


 アンジェリカ姉様とリンネと共に、黒コンドルと白飛鳥の解体された肉類を、【保冷庫】の中に吊るし終わり、子供達と一緒に干していた洗濯物を取り入れて、奥様方に洗濯かご毎手渡す・・・。


 ここ3日間程の生活習慣なんだけど、凄く楽しいの!


 公国では、私とリンネは両親の命令で、凄く厳重に守護されていて、公都だと云うのに簡単には街中へ出る事も叶わなかったの・・・。


 何故なら、以前に私達が5歳くらいの時に、私達を狙った誘拐騒ぎが有り、後一歩の処でアンジェリカ姉様と親衛隊の活躍で、事なきを得たんだけどそのまま誘拐されてしまってたら、どんな扱いを受けたか考えると身体が戦慄いてしまうわ。

 現在の私達の状況から推測すると、誘拐されかけて犯人が向かおうとした方向から、恐らく王国が裏で糸を引いていたんじゃないかしら?


 とすると、王国は7年前には既に公国と事を構えるつもりだったのかも。

 昨日の夜に、この考えをアンジェリカ姉様とリンネ、そしてアンナとミレイにも話したら、その可能性は高いという結論になったわ。

 でも、いざ王国の魔の手から逃げ出して、一時避難の場所とは云え警戒しないで、他人と触れ合える場所は私やリンネにとって、とても気分が良いものだわ。

 

 そんな事を考えながら、傭兵団【鋼の剣】の拠点ホームに新しく出来た、【風呂】に子供達と共に向かったの。

 アンジェリカ姉様が、ヴァンさんから風呂の使い方を良く教わっていたので、子供達にルールとマナーそして、シャワーとの違いを教えてくれたの。

 当然、私とリンネも公国では、3日に1度の割合で風呂を使用してたけど、傭兵の方々は現在魔獣狩りに従事しているから、汚れ落としや病気にならない為にも、清潔に身体を保つのは必須なんだって。

 そう考えると、毎日身体を酷使していないから、シャワーで済ます事の多い貴族達の方が、不潔なのかも。

 女の子と私達、それにアンジェリカ姉様達は、全員で身体を洗ったら交代交代で、湯船に3人ずつ入ったの。

 昨日も思ったけど、ヴァンさんが用意したこの金属製の風呂桶は、物凄く綺麗で滑らかな浴槽なの。

 下手な貴族が利用している風呂桶は、場合によっては木桶だったり狭かったりと、非常に不便なものだってアンジェリカ姉様に教えて貰ったわ。

 そう考えると、まるでこの金属製の風呂桶は、王侯並みの贅沢な代物だと思うわ。

 実際に私達、公爵家が使用していた浴槽よりも立派だもの。


 そんな事を考えながら、アンジェリカ姉様とリンネと一緒に入って居ると、離れている厨房の方が騒然として来たの。

 あっ、これはもしかしてヴァンさんが帰ってきて、一昨日と昨日の時と同様に、また美味しい料理が作られているのに違いないわ!

 

 案の定、急いで風呂から出て着替えを済まし、厨房に向かうと其処は人だかりになっていて、その中央にはヴァンさんが居る。

 ヴァンさんの前には大鍋が有って、その大鍋には大量の油が結構な高温になっているわ。

 そしてその高温の油に、何かをまぶした一口大の肉片が次々に放り込まれて行き、ある程度の時間つけていたら、程良く色が変わって行き、大皿に紙で出来たシートを敷いた上に、ドンドンと油を切った肉片を載せて行くの。

 そうしたら人だかりの前列から、次々と手が伸ばされて、色の変わった肉片はそのまま摘まみ食いされて行ったわ。

 熱々の肉片を摘まみ食いするのだから、ハフハフ言いながら口の中で冷ましながら食べるんだけど、次の瞬間、雄叫びの様に「旨いぞー!」と大声を良い大人が発しているわ。

 

 (そんなに美味しいのかしら?)


 と興味が湧いて、ヴァンさんに許可を取ってから、風呂上がりの私達と子供達は、十分に冷めて火傷しないと思われる、その肉片を摘まみ食いしてみる・・・。


 (・・・うわっ! なにこれ肉汁が口内に溢れ出して来て、スッゴク美味しい・・!)


 私達と子供達は、一旦黙り込んだんだけど、次の瞬間には爆発する様に歓声を上げたの!

 みんなが大騒ぎする中、ヴァンさんと奥様方は他の料理も準備し始めて、食堂に数々の料理を並べ始めたの。

 

 「さあ、みんな夕食の準備を手伝ってくれよ」


 そうヴァンさんが言われたので、全員大人しく言う事を聞いて、お皿やフォークやナイフそしてコップをテーブルにセットしていったわ。


 準備が整ってから、団長のラングさんが本日商会ギルドに魔石等を買い取って貰い、七万ギル(約700万円)+αで売れたと説明してくれたの。

 +αとは、黒コンドルと白飛鳥の剥製が売れた際に貰えるらしいんだけど、あんなに大きい鳥の魔獣の剥製を買う人も居るんだね。

 私が見た事の有る、公国の剥製は大きくても2メートル位だったんだけど、大公国には凄いお金持ちが居るんだね。

 その金額を聞いた傭兵の方々は、「オオッ!」とどよめいたから、結構良い金額で売れたんだろうね。


 その興奮は、その後食べた料理の美味しさで、更に盛り上がってみんな嬉しそうだったわ。

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