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第一章 第34話 商会ギルドとの買い取り 【参謀”ミケル”】視点

 今度は呆れた事に、【黒コンドル】と【白飛鳥】の2羽の魔獣をお昼過ぎに狩って戻って来た・・・。


 (・・・副団長のカイルが、黒コンドルを狩った様だが、白飛鳥はヴァン殿が狩った様だな・・・。

 遠近の大型魔獣を、手練れの傭兵並みに問題無く狩れるとは、いよいよ普通の商人では無いな・・・)


 狩った2羽の解体処理を終わらせると、全員で昼食を軽く済ませて、ヴァン殿が指示して手隙の傭兵達と奥方達、そしてヴァン殿以外の女性陣が鳥料理の下拵えをしてくれる間に、ラング団長と僕はヴァン殿を伴って商会ギルドに向かう事になる。

 実は、例の【グレイト・ボア】【アングリー・バッファロー】【黒コンドル】【白飛鳥】の魔石と、様々な魔獣達の部位を買い取って貰う為である。


 ヴァン殿と相談して、買い取り額は半々にしようと、団長は提案したのだが、ヴァン殿は様々な経験を積ませて頂いたので、「此方の良いように配分してくれ」と言って来た。


 まあ、予想される買い取り金額は、かなりの高額になると思えるので、此の相談は後でも良いかと考え直し、商会ギルドの会頭への面談を受付嬢に申し込む・・・。


 30分程待たされる事になったが、ヴァン殿は興味深そうに魔石の買取表や、魔獣の部位のサンプルを眺めていて、判らない魔獣の部位を知りたいらしく、商会ギルドの職員を質問攻めしている・・・。

 やがて、応接室から客と思しき人物が退出して来て、我々は職員に導かれて応接室に通される。


 「お待たせしました、お久しぶりですね、ラング団長にミケル殿!」


 そう言いながら、商会ギルドの会頭である【サムス】は、資料を束ねながら本棚に整理し、テーブルの向かいの席に我々を座る様に促して来た。


 「嗚呼、随分暫くぶりだなサムス殿!」


 そう団長は応じて、ヴァン殿をサムス殿に新人の傭兵仲間であると紹介し、元々は公国の商人であったので今後は商会ギルドとの取引も担う事になると説明した。


 「ほう、見ればお若いのに【ギルド表】には、商会ギルド・傭兵ギルド・冒険者ギルドにも登録されておられる様で、中々素晴らしい人材の様ですな」


 「そんな肩書を越えた人材だよヴァンは! まあすぐに判るだろうさ」


 「それは楽しみですな、色々な人材が王都に行ってしまい、この街は段々と寂れて行くばかりなので、商会ギルドとしてもテコ入れが欲しいと、思っていましたよ」


 「そのテコ入れに持って来いの商材も持ってきたよ、是非確認してくれ!」


 「それはそれは、では確認させて頂きます・・・」


 そう言って、サムス殿はそれぞれの魔石ケースに入った魔石と、室内用の荷車に載せて来た魔獣の牙などを確認する。


 「此れは! 素晴らしい! 大型魔獣の魔石は傷一つ無い上に、十分な魔力が残っているので、このままでも使用可能だ!

 それに【グレイト・ボアの牙】、【アングリー・バッファローの角】、【黒コンドルの羽根】、【白飛鳥の羽根】ですか!

 非常に個体として大型の獲物だったのですね、然も色艶が素晴らしい!

 此れなら嗜好品として、飾りたがる王侯貴族や豪商の方々が、高く買い取られるでしょう!

 ところで黒コンドルと白飛鳥も全身手に入れられてるので?」


 「その通りだよ、羽根どころか全身を手に入れているので、中身を取って皮と翼部分は綺麗に残している。

 だから、専門業者が処理すれば、剥製として売れるだろうな!」


 「おお、これだけの大きな羽根の持ち主となれば、相当な大物だったでしょうから、滅多に獲れない黒コンドルと白飛鳥の剥製は、好事家の方々にとって垂涎の的になるでしょう」


 「その辺の手配と、好事家の方々との折衝を任せたいので、サムス殿にお願いしたいんだよ!

 是非、商会ギルドが仲介してくれないか?」


 「う~む、此れ程の大物を買い取る人物となると結構限られますし、剥製処理も時間が掛かりますな・・・、半年程掛かります上に、手数料として売れた際の3割を商会ギルドに納めて頂きますが、宜しいですかな?」


 「まあ、その位は時間と経費が掛かるだろうな・・・、ヴァン、妥当だと思うが此れで良いかな?」


 「ええ、構いませんよ、かなり良い取り引きだと思いますし、今後も継続して取引したいので、私としても是非サムス殿にお願いしたいですよ!」


 その言葉を聞いたサムス殿は、スッと顔を一瞬だけ鋭くしたが、直ぐに柔和な顔付きに戻り、ヴァン殿に向かい。


 「・・・ほほう、中々に目利きなお方の様だ・・・。

 此れは、今後はより素晴らしい取り引きが有りそうなので、商会ギルドは傭兵団【鋼の剣】とは、より親密にさせて頂きますよ」


 「大変有り難いお話しですね、色々と相談事もございますので、これからはよろしくお願いします」


 そうヴァン殿も言い、お互いに歩み寄って握手している。

 その姿を見て団長と僕も頷いて、続けてサムス殿と握手して、彼が呼んだ商会ギルド職員に導かれて、買い取りコーナーに向かい魔石の買い取りをして貰った。


 結局、グレイト・ボアの魔石は一万ギル(約100万円)、アングリー・バッファローの魔石は二個で二万ギル(約200万円)、黒コンドルと白飛鳥はそれぞれ二万ギル(約200万円)の値が付いたので、総計七万ギル(約700万円)となった。


 僅か、3日間の魔石売上としては上々で、ヴァン殿達の魔獣狩りは成功裡に終わったのだった。

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