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第一章 第32話 【アングリー・バッファロー】の調理と風呂の設置

 我々全員分の冒険者ギルドでのクラスを取得し、拠点ホームに戻ると、午前中に狩った【アングリー・バッファロー】2頭の血抜きと、解体処理が傭兵達とその家族の手で終わっていた。


 「おお、面倒事を済ませてくれて有り難う!」


 俺達とラング殿は中央の建物に入り、幾つかの重要書類を金庫に預かって貰い、俺達は割り振られている長屋に向かい、荷物を下ろすと全員で厨房に向かう。


 「嗚呼、後処理までしてくれたんですね、有り難うございます!」


 「いえいえ、この後に新しい料理法を教えて頂けるんですから、当然ですよ!」


 ラング殿の奥方の【ヤステさん】が、代表して言ってくれたので、俺は張り切って腕捲くりして亜空間から出した専用の包丁を握る。


 「それでは、早速始めますね!」


 解体されたアングリー・バッファローの骨を、幾つかの部位に分けて、その内の大腿骨部分を寸胴と呼ぶ深底の鍋でゆっくりと煮詰めて行き、その横では牛の尻尾部分と幾つかの内蔵部分も別の鍋で煮詰める。

 そして、今日の主役であるアングリー・バッファローの舌の部分を、専用包丁で薄くスライスして行き、骨にへばり付いている肉片をこそぎ落とす。


 その間にも、奥様方には他の肉の部位は、今迄の従来通りに処理して貰い、保存して行く・・・。


 色々と、街の商店で見つけた香辛料を工夫して、幾つかのソースとタレを作り出して、肉片を漬け込んで置き、俺は男女それぞれのシャワールームに向かう。


 此の世界では、基本的にシャワーで身体を洗うのが一般的なのだが、やはり俺としてはいい加減、風呂に入りたくなって来たのだ!

 此の世界でも、王侯貴族や東方の国家群では、風呂で一日の疲れを取る文化が有るのだが、まだ東方との交流が進んでいない此の世界では、一般的では無いらしい。

 しかし、何れは一般的になるに違い無いので、俺が文明の針を少し進めても、問題あるまい!


 早速俺は、シャワールーム内に設置しても問題無い空間に、亜空間から引っ張り出した金属製の風呂桶を男女それぞれに設置した。


 そして、その屋外の脇にお湯を沸かす器具を設置して、自由にその沸いた湯を金属製の風呂桶に流し込める様に蛇口と管を配分した。


 すると、興味が湧いたらしいラング殿達に、風呂の説明をしていく事にした。


 「俺達庶民には珍しい物だが、王侯貴族や豪商では段々と普及している此れが、風呂という物だよ!

 もう少ししたら、ごく一般的に普及するだろうから、今の内に俺達自身で楽しもうぜ!」


 そう言って、俺はお湯を沸かす器具にゴブリンの魔石をセットして、スイッチを押して湯を沸かし始めて、其の湯を金属製の風呂桶に流し込む。

 十分にお湯を溜めれたので、試しにラング殿から入浴して貰う事にする。


 「・・・噂では聞いた事があるが、風呂なんて始めてだぜ・・・!」


 そんな感想を述べながら、2人は入れる金属製の風呂桶にラング殿は、ゆっくりと浸かって行くった・・・。


 「あああーーー、こりゃあ良いぜ! 疲れがお湯に溶けて行くようだ!」


 暫くの間目を瞑り、吐息と共に吐き出した言葉は、本当に気持ち良さそうだ。

 女性用の風呂の説明は、経験の有るアンジーに任せていて、向こうからは子供達の騒ぐ声も聞こえて来る。

 そして、順番に風呂に浸かって貰った後は、着替えた全員が食堂に集結するタイミングで、俺は今夜の料理である【焼肉】と【牛のテールスープ】の準備を終える。

 

 仲間達と一緒に、それぞれのテーブル席に七輪を用意して、その網上で牛タンとカルビを焼ける様にして、全員に食べ方を指南して行く・・・。

 

 七輪の中に有る炭の火力を程々にして、全員、先ずは牛タンを食べ始めた。


 「うわっ、美味え! アングリー・バッファローの舌ってこんなに旨いのかよ!

 此れまで、単に煮込んでただけで、あまり旨く感じなかったんだが、焼いて塩を付けるだけで美味すぎる!」


 「塩も良いけど、目の前に用意しているレモン汁でも、美味しいから試してくれよ」


 「どれどれ・・・、おう、此れも肉がジューシーで美味しいな!」


 と目の前に居るラング殿が答えてくれて、他のテーブルでも歓声を上げて傭兵達が呻きながら、頬張っている!


 すると、奥方達と子供達の席でも歓声が上がる!

 其処では、子供用に甘目に味付けした焼肉のタレで、カルビを食べ始めたのだ。


 子供達にとっては、今迄の肉料理とは只々塩辛いもので、あまり好きじゃなかった様だが、此れなら子供の舌でも美味しく感じるだろう。


 そして、【牛のテールスープ】の芳醇で豊かな味わいに、みんな喜びの声を上げて、今日は酒も飲まずに、そのままデザートで閉めて満足行く食事を終えて、全員でディスカッションを始める事になった・・。


 明日も他の傭兵部隊と一緒に魔獣狩りに行くのだが、あまりに美味しい料理を食べた所為なのか、今度は鳥料理も食べたいので、魔獣でも鳥の大型種を狙おうとの方針となる。


 (ふ~む、鳥料理ならば唐揚げなどをする為に、油が必要となるな・・・、大量に仕入れる必要が有る)


 と考えたので、相談してみると業者に頼む必要が有るので、明日早くに連絡を入れて貰う事になった。

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