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第二章 第53話 【ドラッツェ帝国】対【フランソワ王国】⑱

 ズドドドドドドドーーーー!!!


 その凄まじい攻撃魔法と魔法銃による一斉射撃は、圧倒的な攻撃力となって敵集団の中心に凄惨な被害を齎した!


 だがその凄まじい攻撃を受けて、被害甚大にも関わらず、敵集団は此方に向かって雲霞の様に押し寄せて来る!


 「放てーーー!」


 【ドラッツェ帝国】軍の1列目に居る各部隊の中級指揮官による、単純明快な攻撃指示が配下の兵士達に飛び、兵士達はカートリッジ分を己の持つ魔法銃で魔法弾を撃ち放つと、交代して後列に控えていた射手と入れ替わり、カートリッジの交換と予備分を補給要員から受け取り、前列の射手が己の持つカートリッジ分を撃ち終わったら交代して、先程と同じく魔法銃で魔法弾を撃ち放って行く。


 此れを五回程繰り返すと、【ドラッツェ帝国】軍とほぼ同数の10万匹程が召喚されたと思われる敵の獣共は、殆どが駆逐されて行き、敵の獣共を指揮していた司祭風の男も、持っていた魔導具らしき奇妙な笛ごと捕獲した。


 敵の獣共は数だけは大量では有ったが、結局それ程苦戦する事無く殲滅する事に成功した。


 ただ、此の敵の獣共はやはりこの世のものでは無いらしく、殺した敵の獣共は暫くすると泡状になってそのまま空気に晒されていると溶けて行く。


 恐らくは、敵の獣共にとっても此方の次元に出現するのは、相当なリスクなのだろう・・・。


 少しでも傷付く事になると、身体を維持する事も無理になるという事なのか・・・。


 此の事を解明する為にも、生き残った敵の獣共を指揮していた司祭風の男には、様々な事情を吐いて貰うとしよう。




◆◆◆◆◆◆



 ◇◇◇【ドラッツェ帝国】軍人 第3軍第五分隊所属 小隊長ドルツ曹長 視点◇◇◇

 


 此の【ブレエン要塞】に駐屯し始めてから2週間が過ぎた・・・。


 その間、敵の獣共を召喚して襲い掛かる攻撃は5回に及び、その都度撃退して行く度に、段々と奴等に対しての此方も戦術に熟れて行き、最近の戦闘では【ブレエン要塞】の城壁から、固定設置した魔導砲での効率射撃での対処を専らとして、後は小型ドローンでのビーム攻撃で撃ち漏らしを殲滅するといった具合となっている。


 つまり、殆ど戦闘に従事する人員は居なくなり、我々は【ブレエン要塞】をより堅牢な要塞にする為の工事に尽力している。


 敵の獣共との戦闘の度に、捕虜にした敵も増えて来て、それぞれを拷問や魔法での尋問が行われたお陰で、どうやら全容が見えて来た。


 あの【聖教】を隠れ蓑にした【クライスト教団】こそが、敵の獣共を召喚して居る主犯であり、【フランソワ王国】軍はあまりにも失った兵力が多過ぎた為に、国内の成人男性を無理矢理徴集して強引な訓練を課して、何とか新たな【フランソワ王国】軍として編成しているらしい。


 つまり、時間稼ぎの為の攻撃を【クライスト教団】が、【フランソワ王国】国王【シャルレ・フランク三世】から請け負っていて、【クライスト教団】は信者を生贄として【召喚魔法陣】を作り、己の司祭達に命令して異界の獣を召喚しているらしい。


 全く胸糞悪い話しだが、此の世界でもメジャーな宗教である【聖教】は、こんなとんでもない”闇”である【クライスト教団】などという組織を内包しているとは、一般的な信者は知りもしないだろう・・・。


 此の【ドラッツェ帝国】と【フランソワ王国】との諍いが始まってから約百年が経ち、巷では百年戦争と呼称され始めていて、半ば常態化していたのだが、此処一年の戦況は実に目まぐるしく変化していて、非常に緊張感が増した戦闘が繰り返されている。


 それも此れも、他国から参戦してくれている【ヴァン・ヴォルフィード】殿のお陰だ。


 彼は、【星人ほしびと】として様々な超技術を提供してくれているのとは別に、我等と同じく戦場に立ち、最前線で戦い続けているのだ。


 正直、他国の者が聞いたら「何の冗談だ」と、言われかねない様な話しだが、実際のヴァン殿を見てみれば、直ぐに真実だと判るだろう。


 ヴァン殿というお方は、年齢は丁度20歳だそうだが、とてもそんな若僧とは思えない程の面立ちをしていて、面と向かえばとてもでは無いが、余程の歴戦の強者でない限り、気圧されない軍人は居ないと想像できる。


 本人は、体内に【魔石】を持たないので、一切の魔法を使用出来ない事を残念がって居られるが、魔法など使用出来なくても、その凄まじいまでの戦闘力は、一人の軍人としても尋常では無い上に、彼の愛機であるPSパワードスーツである【八咫烏ヤタガラス】初号機が一旦戦場に出れば、その縦横無尽の働きと戦闘指揮能力は、其処らの将官を遥かに凌ぎ、恐らく現在の【ドラッツェ帝国】軍内では最強の軍人だろう。


 彼のような武人を何れ伴侶とする新生ベネチアン王国の【アンジェリカ・オリュンピアス】女王は、事実上最強の武人と最高の技術者を相棒とする事が出来る訳だ。


 将来の繁栄が正に確約されたも同然であり、絶対に新生ベネチアン王国とはこのまま同盟関係を我が国家である【ドラッツェ帝国】には維持して貰いたいものだ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 戦闘シーンは、迫力があります!普通なら、うん万匹の魔物って、脅威以外ないですよね。もし、一列に2m間隔で、1000匹いたとして2Km四方の大群でっせ!いやいや、あり得んでしょう。こういう背景…
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