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第二章 第33話 新規部隊の特訓⑤

 かなり予定と変わった過程を経てしまったが、一応全ての訓練生と試合をこなし、試合をした当日からPSパワードスーツ操縦の為の特訓に移る事になった。


 先ずは、試合で疲労した状態を回復させると云う名目で、【命水アムリタ】と錠剤ナノマシーンを全員に服用して貰った。


 此の【命水アムリタ】と錠剤ナノマシーンを服用した事で、従来の身体能力を圧倒的に引き上げた上に、頭脳面でもナノマシーンが身体に入った事で記憶能力の改善が図れる。


 ただ、此の二つの効力については他の人々に秘密にして貰いたいので、服用して貰っている空軍に選抜した軍人と、今回のPSパワードスーツパイロットにも効能は敢えて説明していない。


 そもそも現在でも、新生ベネチアン王国に於いても公職に着いている者から、順々に配布して行っているが全国民に配布するのは当分先の話しになる。


 なので、とても【ドラッツェ帝国】軍人全員には配布出来ない。


 そういう訳で、此の二つは精鋭中の精鋭にしか与えられないのだ。


 当然の様に【命水アムリタ】と錠剤ナノマシーンを服用した彼等は、忽ち体力を回復した上に頭脳が明晰状態になり、その後のPSパワードスーツの概要説明や操縦方法のレクチャーも僅か数時間で、大凡の内容を全員が把握出来た程だ。


 概要説明と操縦方法のレクチャーが終わったタイミングで、ナノカーボンと【植物惑星】から供与された特殊素材で製作されたインナースーツを、全員に配布した。


 インナースーツを受け取った軍人達は説明を聞かされて、試しに隠蔽モードを試す事で実際に消えた様に光学迷彩出来た事に驚愕し始めた。


 「おいおい、本当にお前が消えている様に見えるぞ!」


 「そうなのか、俺自身が自分の手足を見ると消えている様に見えないぞ!」


 「ああ、然もインナースーツで覆っていない顔まで消えて見える・・・」


 「動いていても消えたままだぞ!」


 「・・・こんなに隠蔽出来るのか・・・、此れは凄いアドバンテージが取れるな、然も説明では此の光学迷彩は我々の乗る事になるPSパワードスーツにも施されているんだろう?

 敵である獣人達も、匂い等では気付けても見えないので混乱するだろうな・・・」


 「此れなら、獣人であっても一対一で対抗出来るぞ!」


 「うわっ、服装状態からピッチリとしたスーツみたいにもなるぞ!」


 「スゲー、殴ってもかなり威力を吸収してくれるし、伸縮しても直ぐに元に戻る!」


 そんな歓声を上げながら、士官達は喜んでいる。


 その後、彼等は訓練場に隣接している合宿所で就寝し、翌日からの特訓に備えた。


 翌日からの特訓は、熾烈を極めるモノになったのだが、彼等は俺の言いつけをキッチリ守り、全ての訓練内容に文句も付けずに愚直なまでに訓練を続けて行った・・・。


 お陰で僅か2週間程で、PSパワードスーツの実地訓練のみのカリキュラムに移行出来て、新生ベネチアン王国から連れて来た、ベテランパイロットとの対戦形式の訓練でもかなり付いていける様にまでになった。


 そんな彼等の中でも、逸脱している【バルト】大尉を俺はマン・ツー・マンで指導していた。


 彼には、そもそも他の士官に必要な訓練を課す意味が無いし、特訓初日からPSパワードスーツの実地訓練をさせ、一週間後には通常のPSパワードスーツの訓練を終えて、試作PSパワードスーツの【八咫烏ヤタガラス】3号機を供与して、空間機動訓練に移行した。


 当初は、初めての空中での機動訓練と云う事で、地面に足を着けない運動機動そのものが理解出来ず、戸惑っているばかりだったが、やがて反動を利用した足場に代わる作用反作用の理屈を体感で理解した【バルト】大尉は、3日間も経つと本当に自由自在に空間機動出来る様になった。


 その上で、【バルト】大尉には己が培って来た武術の技を、試作PSパワードスーツの【八咫烏ヤタガラス】3号機にフィードバックするべく、俺の乗る【八咫烏ヤタガラス】初号機との実地訓練を開始した。


 当然、空中と地上では使用出来る技は異なるし、逆に人体では不可能な推進力を利用した、PSパワードスーツ独特の技の開発に勤しむ事になった。


 「愉しい、本当に愉しいですよ、ヴァン殿!

 こんなに軍事訓練が愉しいなんて、今までに経験が無いです!」


 「嗚呼、その気持ちは本当に良く判るよ!

 だけど、此の特訓は全て対【フランソワ王国】軍への、切り札になるべく頑張っているんだ!

 必ず、他の士官達が戦闘出来る程に訓練を遣り遂げる前に、【バルト】大尉には地上戦闘での独自技を最低3つ、空中戦闘での独自技を最低3つ、身に付けて貰いたい!」


 「判って居ります!

 つまりそれぞれ、回避技・防御技・攻撃技を身に付けるのでしょう?」


 「その通りだ!

 どの様な状況でも通用する技を持つ事は自信にも繋がるし、当然敵に取っては脅威そのものになる!

 頑張って貰いたい!」


 「了解です!」


 正直な処、対戦形式の訓練で俺と張り合える程の実力を有する、【バルト】大尉の存在は俺にとって非常に有り難くて、お互いに切磋琢磨する事で双方がメキメキと試作PSパワードスーツの【八咫烏ヤタガラス】の習熟が進んで行った。


 そして、他の士官達のPSパワードスーツの習熟訓練が終わる頃には、俺と【バルト】大尉の習熟訓練も終わり、いよいよ【フランソワ王国】への作戦会議を行う段階となるのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うんうん、楽しい訓練模様!まぁ、こういうのも良いですよね。まれに、血反吐きながらの、地獄の訓練よりは、、えっ?そういうのもあるって!?、、どんな訓練になるのかな。(笑)
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