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第二章 第19話 ベネチアン城上空の戦い②

 空間に空いた大穴に手を掛けた本命らしき敵は、どうやら自身の余りの巨大さに中々此方側に出れそうに無く、何とか空間をもっと大きく開けるべく四苦八苦している様だ。


 何とも間抜けな話しなので、付き合っている此方としても半分馬鹿馬鹿しくなって来て、俺は[ヘルメス]に命令し母艦である【天鳥船アメノトリフネ】に有る行動を指示した。


 「[ヘルメス]奴等の開けた空間の大穴ごと空間周囲一平方キロメートルに渡って【閉鎖フィールド】で取り込んでしまい、此の次元空間から切り離す事で、被害をベネチアンに負わせない無い様にして、その後空間の大穴を更に広げて奴等の本命らしき存在を引きずり出せ!」


 [了解しましたマスター、直ちに【閉鎖フィールド】に奴等を取り込みます]


 その[ヘルメス]の返事を聞き、忽ち本命らしき存在と残りの飛行魔獣が【閉鎖フィールド】に取り込まれて行く姿を、他の皆と同じく大型パネルで一緒に観察する。


 どうやら【閉鎖フィールド】が安定して来た様なので、奴等の開けた空間の大穴を更に拡げる事で、奴等の本命らしき存在を引きずり出す事にした。


 今迄何とか空間の大穴を広げようと四苦八苦していたのに、いきなり他の空間に大穴ごと叩き込まれて、空間の大穴は自動的に広げられた事に相当驚いたのか、二の足を踏んだ様にゆっくりと様子を見ながらおっかなびっくり大穴から出現して来た。


 何だか、今回の本命のボスらしくなくて、口元に笑いさえ浮かび上がる俺に、アンジーが、


 「ヴァン! 気持ちは判るけど、気を引き締めて対処しましょうね!」


 と釘を刺してくれた。


 「ありがとうアンジー! あの何だか情けない仕草に思わず憐れみを覚えてしまったが、一応あれでも体長100メートルを越える怪物には違いないのだし、警戒しながら対応しよう」


 そう答えてから、俺の指揮下のPSパワードスーツ部隊に命令を下した。


 「あれ、と戦うのは【飛行ユニット】を装備したPSパワードスーツに限定する!

 他のPSパワードスーツ部隊は、【白虎軍団】と共に地上に落ちた飛行魔獣共を殲滅せよ!」


 「「「了解!!」」」


 その返事を受けて、最新式の【飛行ユニット】を装備したPSパワードスーツ10機が、アンジーの乗る守護機士【アテナス】を中核とした部隊となり、ベネチアン城の上空に構築された【閉鎖フィールド】に向かって飛び立った!


 「ヴァンよ! 漸く私の愛機【ボルケイン】の見せ場が来たのだな!」


 言葉の端々から、溢れ出すような喜びを噛み締めている【魔人ブレスト】が、ワザワザ名付けた己のPSパワードスーツを飛ばせながら、俺に語り掛ける。


 「その通りだよ、【魔人ブレスト】!

 此れから俺達は、【フランソワ王国】そして【聖教】の陰に隠れる【クライスト教団】が繰り出す、この世のモノでは無い怪物達と長い戦いを続けて行くのだ!

 今回はその初めての戦いとなる!」


 「判っているさヴァン!

 そもそも古代イスラフェルからの因縁が、全ての発端なのだし、私が【魔人】に成ったのも元はと言えば、此奴等と戦う為なのだ!

 武者震いで、体がどうにかなってしまう程、私は打ち震えているのだよ!」


 そんな言葉を受けて、【魔人ブレスト】は大丈夫そうだと確信し、他の部下に声を掛けた。


 「【ゲイリー】!

 今回の【飛行ユニット】を装備したPSパワードスーツ10機での行動は、練習こそ積み重ねたが初めての実戦となる。

 お前はリーダーとして、アンジーの乗る守護機士【アテナス】を常に護衛し、遠距離からの攻撃を心掛けよ!

 今回は小型ドローンが常に防御フィールドを展開してくれるので、敵の弱点を探りながら攻撃して行け!」


 「了解です!」


 コマンドリーダーとなった【ゲイリー】に命令し、いよいよ【閉鎖フィールド】に突入する段階となった我々は、己の乗る機体の状態を再度確認し、小型ドローンから突入して行った!


 突入した【閉鎖フィールド】は、思った通りかなり安定していて、直ぐに敵対勢力とのポジショニングが判り、十分距離が有る事を確認してフォーメーションを組む事にした。


 本命らしき敵とその周りを飛ぶ飛行魔獣共は、俺達の突入した【閉鎖フィールド】の反対側に居て、距離は凡そ700メートル程有るのだが、本命らしき敵が体長100メートルは有るので、正に指呼の間と行った近さだ。


 俺達の取ったフォーメーションは、基本【鋒矢の陣】なのだが、俺と【魔人ブレスト】の乗るPSパワードスーツは完全に陣から離れた形で、自由に飛び回りながら奴等を攻撃する、遊撃隊として機能させる事にした。


 【鋒矢の陣】の中心にはアンジーの乗る守護機士【アテナス】が配置され、最強兵器である【ブレスト・キャノン】の発射体制を取ったままチャンスを待ち続ける。

 その間周囲のPSパワードスーツは、遠距離攻撃で敵を牽制し続けるのだ。


 体制が完成したのを確認し、遊撃隊と成った俺と【魔人ブレスト】の乗るPSパワードスーツは、両脇から敵対勢力に躍り掛り、思う様に蹂躙して行った。


 そもそも俺達は、奴等が今回の結婚式を妨害して来る事を把握していて、最終的に此の【閉鎖フィールド】に奴等を閉じ込める事も想定していた。


 なので、遠近での攻撃方法も確立しているし、当然どの様な敵が現れようと対処出来る様に努力して来た。


 なのに、想定したよりも規模は小さいし、本命と思われるボスも想定よりショボかったので、思わず失笑してしまった程だ。


 まあ、余り気を抜かずに戦って行くとしようか。

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ、しょぼいといってもそれなりの敵ですからね。敵の戸惑っている表情とかあるといいですね。期待してます!
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