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第二章 第18話 ベネチアン城上空の戦い①【アンジェリカ・オリュンピアス】視点

  ◇◇◇【アンジェリカ・オリュンピアス】視点◇◇◇



 「き、貴様! 此の神聖不可侵にして、神々から唯一認められた此の世界に於ける王である余に向かって、何という無礼な言葉を吐くのだ!

 許さん、許さんぞ貴様!

 絶対に貴様を、地べたに這いずらせてやる!!」


 その狂気に侵された人間特有の、目が血走り口角から泡を飛ばしながら、【フランソワ王国】国王【シャルレ・フランク三世】の無様な言葉を吐き連ねるその姿は、最早人間のそれでは無いと私は感じてしまう。


 その無様な言葉を受けても、我が夫たる【ヴァン・ヴォルフィード】は、何か虫が騒いでいるかな?程度にしか感じていないらしく、「フンッ」と鼻を鳴らして更に煽り文句を紡いだわ。


 「いいから、サッサと掛かってこい!

 これ以上お前の無駄な言葉を聞く時間ほど、俺には時間が貴重過ぎるんだよ」


 そう言って我が夫たる【ヴァン・ヴォルフィード】は、早々に会話を切り上げてPSパワードスーツのコックピットに乗り込んだの。


 その態度と煽り文句に言い返せないのか、【シャルレ・フランク三世】は映像内で地団駄を踏みながら、大仰に王錫を大上段から振り下ろしたわ!


 何の仕草かと疑問に思う隙間も無く、玉座の間の映像が切り替わり、何かが湧き出して来る空間映像に変更されたわ。


 その映像は現実の光景に重なっていたらしく、空間が物理的に歪み空間を何処かと繋いだらしい事が、私の愛機である守護機士【アテナス】に搭載されている、様々なセンサーで把握出来たの。


 黒く空間が塗り潰されて行く様な状態から、何か悪意の塊の様な者達が飛び出し始めたわ。


 其奴らは明らかに各々が翼を持ち、何やら奇怪な言語を叫びながら此方側にやって来て、空中から押し寄せて来たの!


 だが、当然此の様な事も有ろうかと、準備に余念が無かった私達は、直ちに対空攻撃を開始したわ。


 ドカカカカカカカッ!!


 凄まじい発射音を響かせて、ベネチアン城に配備されていた対空掃射砲群が火を吹き、忽ち空から襲ってきた敵方の襲撃者共が撃ち落とされて行ったわ。


 地面に落ちた敵方の襲撃者共をよくよく確認すると、どうやら【グレムリン】・【リトル・デーモン】・【ガーゴイル】・【キマイラ】・【マンティコア】・【ハルピュイア】・【ストラス】等の、飛行タイプの魔獣が確認出来たの。


 どう考えても直前に【シャルレ・フランク三世】が振るった王錫の能力と思われて、奴が此の様な強硬な奇襲を行ったのは明らかなので、此方としては当然【フランソワ王国】に対し非を鳴らし、今迄の非道も合わせて堂々と宣戦布告すべきだろう。


 そんな事を私は考えていたが、その間にもドンドンと戦況は推移して行き、第一波と思われる襲撃してきた飛行魔獣共は比較的簡単に駆逐出来た様だわ。


 だが、黒く空間が塗りつぶされた様な上空の大穴からは、早くも第二波の飛行魔獣共がやって来ようとしていたの!


 第二波の飛行魔獣共は、明らかに第一波の飛行魔獣共よりもサイズが大きく、その瞳に宿る凶暴な灼光は此方への憎しみが透けて見える様だったわ。


 私の愛機である守護機士【アテナス】に搭載されている様々なセンサーで、第二波の飛行魔獣共を探査してみると、相手は【ガルーダ】・【ワイバーン】・【コカトリス】・【ワーム】・【ルフ】等の大型飛行魔獣共と判別出来たわ。


 それに対して、此方はベネチアン城での対空攻撃を止めて、攻撃は専ら小型ドローンと【大型揚陸艦】に乗っている【空軍】による対空魔法攻撃にさせ、地上側の設備等は防御魔法とバリアー等で人的被害を出さない事に重点を置く体制にシフトしたわ。


 でも流石に大型飛行魔獣は手強くて、中々一体一体の耐久力が有りすぎるので、仕留めきれずに落下した大型飛行魔獣が地面でのたうつ様に暴れ回る事態が頻出し始めたわ。


 その状態に業を煮やした【白虎軍団】は、直ちに地面に落ちた大型飛行魔獣にトドメを刺すべく、大型のバリスタや床弩を用いて心臓と思われる箇所に突き刺して行き、完全に息の根を止めて行ったの。


 それは海上でも同じらしくて、海上警備を兼ねていた【青龍軍団】も改修された海軍戦力で以って、【白虎軍団】と同じくバリスタや床弩、更には強力な【魔導砲】で海上に落ちた大型飛行魔獣にトドメを刺して行ったわ。


 次々と繰り出した飛行魔獣が討ち取られてしまった事に焦ったのか、どうやら奥の手と思われる代物を此方側に【シャルレ・フランク三世】は送り出して来たの!


 それは、余りにも巨大過ぎたらしく、開けた空間の大穴に手をかけて無理矢理這い出て来ようと、藻搔いている様に見えたわ。


 此れまでの飛行魔獣には、旗下の部下や軍団での対処を心掛けて来た、私とヴァンのPSパワードスーツ部隊は、どうやら本命の敵が現れる予兆と認識し、対強敵用の武装にそれぞれの機体を換装させ、やって来る本命の敵に備えたわ。

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