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第二章 幕間 ある市井の少女の暮らしの変化⑥

 それからの1年間を私は存分に勉学に励み、その間にそれぞれが興味を持った各職種や、志望する分野での各オペレーターとして、専属教育を受けながら働き始めたの。


 私は、リンナ・リンネの双子姫付きの女官を志望して、お二人からの信任を受けてお側付きをしながら、共に歩むべく高等教育をベネチアン城で学んで行く事になったわ。


 結局母親は、一度も病棟から出ることは無くて、そのまま穏やかに過ごせる療養施設で生きて行く事になったの。

 だから私は、週末には療養施設であるサナトリウムに訪れて、穏やかに陽の光を浴びながらお爺さんやお婆さんと母親のような人々が、にこやかに笑いながら過ごしているのを確認し、安心しながらベネチアン城に隣接する女官寮にある単身用部屋に、現在は住まわせて貰っている。


 結局例の8階層の部屋は、段々と見晴らしが良い事が人気になり、希望する家族に喜んで譲ったわ。


 私一人では広すぎだったし、凄く良い物件なのは判っていたけど、間取りや景観が良すぎて一人では寂し過ぎたわ。


 此の一年間の間にも、ベネチアンはドンドンと変わって行ったの。


 先ずは何と言っても国名が変わった事ね!


 従来の【オリンピア大公国】から、新生ベネチアン王国に臨時的に変更されたのよ。


 そんな事が出来たのは、アンジェリカ様とヴァン様の活躍で、私の主人であるリンナ・リンネの双子姫とアンジェリカ様の出身国である、【オリュンピアス公国】からの全国民を此のベネチアンの郊外に疎開する事を成功させたので、国力に於いて【オリンピア大公国】の首都を含む他の地方都市を圧倒する力を得たの。


 そうして力を蓄えたアンジェリカ様とヴァン様は、堂々たる布告を【オリンピア大公国】全土に発し、各地方都市とその領主代理達と連携を取りながら、【オリンピア大公国】の首都に向けて進軍して行ったわ。


 当然首都側も、激烈な対応をして来るものと思われたのに、どうやら首都側はおびき寄せてから迎撃するつもりなのか、全く抵抗せずに首都決戦となったわ。


 詳しい戦況は判らなかったけど、結果としては首都に囚われていた地方領主達やオリンピア大公とその家族、そして膨大な数の首都の大公国民達を解放する事に成功したわ。


 彼等を保護した上でベネチアンに帰還して、アンジェリカ様とヴァン様は療養生活を囚われていた地方領主達やオリンピア大公とその家族を行いつつ、地方領主達達の親族をベネチアンに呼び寄せて、滞在する為の地方領主用の邸宅がドンドン建てられて行ったの。


 その動きと、実際にベネチアンが大陸に於いても、有数の人口を誇る大都市に成った事を見て、地方領主とその家族達は、十分に新たなる首都として問題無しと判断し、アンジェリカ様がオリンピア大公の正式な孫である事も考慮して、臨時とはいえ国家元首に成る事を全員一致で納得したわ。


 当然此のベネチアンの隆盛を見て地方領主とその家族達は、それぞれの地方都市にベネチアンとのインフラを繋ぐ目論見が有っての事だけど、当然新生ベネチアン王国にも利が有るので、寧ろドンドンとインフラ整備が奨励されているわ。


 此のようなベネチアンを中心とした新生ベネチアン王国の隆盛は、当然その中心に存在するアンジェリカ様とヴァン様の周囲に居る人々にも忙しい仕事を押し付けて来たわ。


 私の主人たるリンナ・リンネの双子姫は、その見目麗しい見た目と可愛らしい物言いから、新生ベネチアン王国の国民にとって非常に人気が有って、色々な式典やイベントにも積極的に参加されているの。


 その辺の大変さは、歳が近い私は良くお二人から相談を受けるので、心情込みで理解できているわ。


 だけど、お二人はそのお若い年齢にも関わらず、表向きは大変疲れていることを少しも表情に出さずに、頑張って居られるわ。


 私は、此のお二人のお近くで側仕え出来た我が身の幸運を喜び、そして恩返しして行く事を此処に誓うわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 結構、閑話が続きますね。でも、次の伏線も絡んでますからね。下地の技術向上編ですからね。旦那は、こういうの好きですよね。(笑)でも、こういうの考えるの結構大変なんですよ。
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