第二章 第15話 今後の【ソロモン】達との協力体制
【ソロモン】が俺の直接の配下となった事で、その使い魔達と【魔人ブレスト】も間接的な形で俺の配下となった。
【ソロモン】とアンジーに相談の上で、国家の組織に組み込まずに俺の直下の人員として運用する事にした。
そもそも彼等は人類では無い上に、正体が一般人にバレた場合の対処が非常に難しいので、当分の間は此の秘密の地下研究所を拠点として、俺の個人的な任務を受け持って貰う。
そして【ソロモン】が俺に話し掛けて来た。
「・・・《我が主》よ・・・!
一つ提案が有るのですが宜しいでしょうか?」
「・・・ふむ・・・、俺からも【ソロモン】と使い魔達、そして【魔人ブレスト】に依頼したい任務が有る」
「おお、早速我々を頼って頂けるとは、大変有り難いお言葉です!
先ずは《我が主》の依頼したい任務とやらを、承りましょう」
「実はな、今回のイベントの一つである俺とアンジーの婚姻式は、此の世界の王族や貴族の結婚では一般的な【聖教】の方式を採らず、過去の【星人】も行っていた自然を司る精霊への感謝を主軸とした方式で行いたいと思う。
是非その辺の事に詳しい【ソロモン】達に尽力してもらいたい」
「・・・成る程・・・、敢えて【フランソワ王国】の国教である【聖教】・・・。
そしてその裏に居る【クライスト教団】を揺さぶる事で、どの国家が我々新生ベネチアン王国に取って、味方になるか敵になるかの踏み絵を行うと?」
「いや、今の段階では其処まで決定的な対応はせずに、ある程度の我が国への感情の濃淡を見れれば良い。
それに、周辺各国の首脳陣以外の一般市民も相当数来訪するだろうから、その一般人達の我が国への感情も知りたいな」
「・・・ふ~む・・・、以前【ビフロンス】から教えて貰いましたが、《我が主》の超技術である【探査ブイ】や【ランドジグ】である程度は、彼等の言葉や行動で推察出来るのでは無いですか?」
「うむ、正にその点で協力して貰いたいのだよ。
実際の処、物理的な面では今【ソロモン】が言った、【探査ブイ】や【ランドジグ】である程度は判別出来るが、心情までは判別出来ない。
しかし、此の世界では魔法技術によって、人間の精神に働き掛ける事が出来るし、【ソロモン】達はその第一人者と言って良いから、是非その魔法技術を俺の持つ超技術と組み合わせ、システム化して医療技術者を始めとした職員に教授して貰いたい」
「・・・それだけでは有りますまい・・・、【ビフロンス】から教えて貰いましたが、予てから《我が主》が【亜空間収納】で捕虜としている【フランソワ王国】の軍人達が、《我が主》の所持する医療技術でも身体は兎も角、精神面で回復したいないとか・・・」
その通りである、俺が此の世界にやって来て以来、10万人に届く軍人達を【亜空間収納】で捕虜としていたが、殆どの軍人が俺の尋問を受けると精神異常を来たして、只々精神の檻に閉じこもってしまうのだ。
此れまでも有能な魔術師や、魔法研究者を招いて何とか当たり前の人間に戻したく思い、色々と手を尽くして来たが、結局不成功で終わって来た・・・。
そういった感じで今迄は医療技術の袋小路に陥っていたが、【ソロモン】達ならば其れ等を解決出来そうなので非常に期待している。
「とまあ、こういった形で魔法技術面での諸問題を【ソロモン】達で解決して貰いたいのだよ。
それとは別に、【魔人ブレスト】には最新型のPSのパイロットとして、養成して行きたいと考えている。
如何に、生身でPSと渡り合える戦士であっても、【ソロモン】達の国であった古代イスラフェルを滅ぼした怪物には敵すべくもあるまい。
現状では無理だが、何れは俺の持つ超技術と嘗ての【星人】の超技術、そして此の世界の魔法技術が組み合わされて、生み出されるであろう機動兵器ならば怪物にも対抗出来るだろう」
そう言って俺が喋り終わると、暫くの間【ソロモン】は黙って己の中で推敲している様だった・・・。
やがて伏せていた顔を上げた【ソロモン】は、俺に対して熱意の有る言葉で要求して来た。
「・・・其れ等の事を解決するには、《我が主》の所有する最大の艦船である【天鳥船】に連れて行って下さい!
未だ《我が主》は、幾つかの点で《我が主》の所有する超技術を此の世界に齎すことを、躊躇して居られます。
そういった面を判断するには、私の様な此の世界の出身であり、尚且つトップクラスの魔法技術を持つ者が適任で、私こそは適任者であると自負しております!」
この熱い思いを打ち明けられて、俺は一も二も無く頷いたのだった。