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第二章 第12話 リンナとリンネへの報告

 リンナとリンネのベネチアン城に有る私室は、隣同士に存在していて周囲には、女性で構成された近衛兵が24時間体制で護衛している。


 俺とアンジーが、予定に無い形で朝から訪問したので、女性の近衛兵が慌てて俺とアンジーの訪問をリンナとリンネそれぞれの私室に伝えた。

 するとそんなに待たずほぼ同時に二人が私室から出てきて、リンナとリンネ二人共が予定に無い形で朝から訪問した俺とアンジーを当初は訝しんでいた様だが、二人してしっかりと俺とアンジーを眺めて、二人で頷き合ってから俺とアンジーを促して、リンナとリンネの私室の横に有る大きめの応接室に全員で向かう事になった。




◇◇◇【リンネ・オリュンピアス】視点◇◇◇




 私とリンナが、昨日のヴァン殿と救出メンバーの報告を受けて、故郷である【オリュンピアス公国】出身の女官達と【学校】で出来た友達と、以前から計画していたイベントである、新生ベネチアン王国の誕生祭や従来からベネチアンで行われていた豊漁祭を、より規模を拡大して行おうとしていたんだけど、まだまだ【オリュンピアス公国】の疎開民が落ち着いていないし、アンジェリカ姉様とヴァン殿が忙しすぎて実施出来なかったのだけど、ヴァン殿と救出メンバーのお陰で一段落着いたから、いよいよ始める為の事前計画を朝から連絡を取り合っていたの。


 そんな朝の一時に、私達付きの女性近衛兵が慌ててアンジェリカ姉様とヴァン殿の来訪を告げて来たの。


 こんな事は初めてだったので、ちょっと面食らっちゃたけど、待たせるのも悪いので私とリンナはパネルでのチャットを打ち切らせて貰って、身嗜みもあまり整えられずにお二人を出迎えたの。


 「・・・いらっしゃいませ、アンジェリカ姉様にヴァン殿!

 朝早くから前触れもなくお二人が来られた理由が思い浮かばず、混乱していますの。

 是非教えて戴けませんか?」


 そう聞くと、アンジェリカ姉様が随分と頬を赤く染めて、返事してくれたわ。


 「・・・朝早くから御免なさいね・・・、でもこの場では言えないので、何処かの部屋で4人だけで話せないかしら?」


 そんなアンジェリカ姉様の返事を聞いて、私はリンナとチラッと顔を見合わせて、お互いに心当たりが無いことを確認し、改めてアンジェリカ姉様とヴァン殿のお二人を観察したの。


 お二人が朝早くから来訪して来た事の理由が全く思い浮かばず、リンナと私は訝しみながら暫くお二人の様子を観察して見たら、何だかお二人に共通点が有る事に気づいたの!


 アンジェリカ姉様とヴァン殿のお二人は、朝からシャワーを浴びた様で何だかのぼせた様に顔を上気させていて、然も何だか二人で同時にシャワーを浴びて来た様に見える・・・。


 (ん、二人で同時にシャワーを浴びて来た様に見える?)


 その点に違和感を覚えて、私は再度リンナと顔を見合わせて、リンナもその点に気づいている事を確認し、二人で頷き合ってからアンジェリカ姉様とヴァン殿のお二人を促して、私の私室の隣に有る大きめの応接室に全員で向かう事になったわ。


 応接室に入り、室内にある冷蔵庫から朝の飲み物として常備している、冷えたロイヤルミルクティーをそれぞれのグラスに注ぎ分けて、全員でソファーに座りグラスに口をつけたの。


 暫くの間、全員何も言わずに冷えたロイヤルミルクティーを飲み、奇妙な緊張感が高まって行ったのだけど、やがてアンジェリカ姉様が意を決して私とリンナに話し掛けて来たの。


 「・・・いきなりの来訪で二人共驚いたでしょうけど、どうしても貴方達には事前に伝えなければいけないと思って、不躾だけど真っ先に知らせに来たの・・・」


 其処まで話してくれたのに、アンジェリカ姉様は、又、黙ってしまい、赤く染まった頬が更に赤みを増させながら、顔を伏せてしまったわ。


 その様子を隣で見ていたヴァン殿が、優しくアンジェリカ姉様の肩を抱きながら、私とリンナに向き直り、多分アンジェリカ姉様が続けて述べるつもりだった言葉を代わりに言ってくれたの。


 「アンジーに代わってリンナ公女とリンネ公女に報告するよ。

 俺とアンジーは昨夜にお互いの想いを確かめ合い、俺からアンジーにプロポーズをして、アンジーから心良い返事を貰えたんだよ。

 つまり、俺達は結婚する事に成ったんだ!」


 そう一息にヴァン殿は言い放つと、やっぱりヴァン殿も恥ずかしかったらしく、再度グラスに冷えたロイヤルミルクティーを注いで、一気に飲み干したわ。


 正直な処、私とリンナにとってはアンジェリカ姉様とヴァン殿のお二人は、共に想い合っているのが傍から見ていてあまりにもわかり易くて、まさか今迄プロポーズして無かった事に驚いちゃったわ。


 まあ、考えてみたらアンジェリカ姉様とヴァン殿のお二人は、どう考えてもお硬い気性の持ち主過ぎて、日頃から恋愛事を囁き合う関係には見えないわ。


 そんな二人が意を決して、結婚の約束を交わしあったのだから、物凄く画期的な事だわ!


 私とリンナは、アンジェリカ姉様とヴァン殿のお二人よりも年下なのに、何だか微笑ましくてほぼ同時に拍手をお二人に送り、祝福の言葉をかけて上げたの。


 「「おめでとう! アンジェリカ姉様にヴァン殿!

 お二人のお幸せを祝福しますわ!」」


 そう言ってお二人をお祝いすると、アンジェリカ姉様とヴァン殿は頷いて、


 「有り難う二人共」


 「・・・リンナにリンネ・・・、祝ってくれて本当に嬉しいわ・・・」


 と返してくれたの。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 妹視点、、姉に対する思いもあるだろうし、まぁ、気づきますよね。ある意味、複雑な気持ちもあるでしょうけど、、
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