表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/620

第一章 第102話 新たなる流れ

 奇妙な形での【ソロモン】側との交渉も纏まり、いよいよ対【フランソワ王国】の話しが行われた。


 「以前に大公国の首都での決戦の際に、敵の海軍と海戦を行ったのですが、敵は人では無く【水棲魔物サハギン】だったのだが、もしかすると何らかの魔術か魔導具で召喚した魔物だと推測しているのですが、教えて頂けませんか?」


 そう言って参謀のミケルが尋ねると、【オリアス】が答えてくれた。


 「あの【水棲魔物サハギン】は、我々と同格の存在である【フォカロル】の仕業であると考えております。

 【フォカロル】は、ソロモン72柱が1柱にして41階梯公爵の位階にあるもので、主に海域の権能を持っていて、水棲魔物による30の軍団を使役します」


 「その【フォカロル】という者は、やはり【フランソワ王国】側に寝返ったソロモン72柱の内36柱の方ですか?」


 そうミケルが聞くと、頷きながら【オリアス】は答えてくれた。


 「然り、【フォカロル】は30の軍団を所有する等の軍隊寄りの権能を持つが、本来は人間を殺害したりしない存在なのに、【ソロモンの指輪】によって【フランソワ王国】側で使役されてからは、本人の望まない命令を受けている様だ」


 「・・・すると他の使い魔によって同様の事が海戦だけでなく、陸戦でも起こり得る訳か・・・」


 【オリアス】の答えに、ラングは懸念を口にした。


 実際に俺も同様の懸念を抱き、今後起こり得る状況が次々と脳裏に浮かんだ。


 「ん? とすると【ソロモン】側にもかなり戦争に有利な能力がある奴も居るのかい?」


 そうカイルが尋ねると【オリアス】が首肯して答えてくれた。


 「確かに幾人か居ますが、本人達はあまり戦いに積極的では無いので、期待しないで貰いたい」


 とあまり気乗りしない様子で答えてくれた。


 「ところで、肝心の【ソロモン】と我々との直接対話は可能だろうか?

 又、出来なかったとしても間接的、具体的に云うと通信機での遣り取りは可能だろうか?」


 「・・・申し訳無いが、【ソロモン】の封印されたクリスタルは常に【フランソワ王国】の兵士達が監視していて、とても其奴らの目を盗んで貴方方との会話を行うのは不可能です・・・」


 「とすると、現在【オリアス】殿と【ビフロンス】殿は、どの様に【ソロモン】殿と連絡を取り合っているのですか?」


 とアンジーが質問すると、【ビフロンス】が答えてくれた。


 「・・・かなり限定的ですが、【ソロモン】様の周囲100メートル圏内に近付いた上で、魔力を使用しない【思念】での遣り取りを主と使い魔としての立場なら出来ますので、それを使用することでかなり細かい意思伝達が出来るのですよ」


 「ふ~む、だとすると迂回ではあるが間接的な意思疎通は出来る訳か・・・」


 そういった遣り取りを経て、【ビフロンス】が【ソロモン】の近くで此方との情報通達を行い、【オリアス】が本人の希望通り俺の配下となった上で、【ビフロンス】に此方の意向を伝える方法を取る事になった。


 此れが、現在の【ソロモン】側との協力体制である。




◆◆◆◆◆◆




 そしてそれから一ヶ月後に例の獣人が、【フランソワ王国】と【ドラッツェ帝国】の100年戦争に介入して来たとの新たなる事態に推移したのが、今現在の状況である。


 「いよいよ、此方も行動を開始するとしよう!」


 俺がそう言って、国家の大計を決める改めて招集した全体会合の場で宣言すると、新生ベネチアンに於ける国家の重鎮達は皆同意の意向を示してくれた。


 「ヴァン親衛隊隊長の言う通りですな! これ以上我等が事態を静観していると、【フランソワ王国】は調子に乗って【ドラッツェ帝国】以外の国にも侵攻しかねない!」


 「大体、我等の国であった【オリンピア大公国】と【オリュンピアス公国】に対しての不当な行いに、此方が正式に抗議しているにも関わらず、完全に無視を決め込むなぞと無法国家にも程がある!」


 「そもそもが、【フランソワ王国】は此方で捕虜にしている自国の軍人をどうするつもりなのだ!

 かれこれ一年間も音沙汰なしとは常識を逸しし過ぎている!」


 「いっその事、我等の方から宣戦布告して、満天下に改めて【フランソワ王国】の不義を鳴らすべきではないですか?」


 「それが良い! 我等に正義がある事を広く世界に知らせるべきだろう!」


 「早速、文言を推敲して周辺各国に布告する手配を進めよう!」


 そんな激昂した重鎮達の言葉に、全体会合が興奮し過ぎない様に、アンジーが皆を鎮める様に言葉を此の場の全員に掛けた。


 「皆、興奮し過ぎないで下さい!

 我等にとって【フランソワ王国】が敵国なのは、此れまでの経緯もあって当然だけど、私達が激昂したまま戦争に突入すると、国民に不安を抱かせたままで戦う事になるわ。

 それよりも、心を落ち着かせて冷静な目で全体を見通し、淡々とすべき事をこなして行きましょう!」


 その冷静な心持ちで言われた言葉に、先程まで興奮していた重鎮達は落ち着きを取り戻し、席に戻りながら全員に謝罪を述べて着席した。


 そして全体会合は、今回の【フランソワ王国】と【ドラッツェ帝国】の大戦にどうすべきか? の会議が行われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 新たな章の始まりですね。章→Showですね(笑)この星を統治するまでの、長い道のりの第2弾ですかね。どんな展開になるのか楽しみです。また、閑話で登場人物や各種地名などの説明があると助かります…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ