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ガイア物語  作者: 春名 菜子
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彼は赤い方程式を解くことができるのか…?


プロローグ


 西暦二四四〇年、アメリカ航空宇宙局は地球外生命体の発見を全世界に発表した。

 世界中がどよめきをあげた。

 だが、翌日、合衆国はその発表を撤回、お粗末な結末に終わった。予算の削減を恐れたアメリカ航空宇宙局職員がでっちあげた嘘であったことが判明したのだ。

 一連のドタバタ騒ぎはこれで終止符をうったかのように思えた。

 しかし、たった一日のうちに、その誤報は世界中に多大なる影響を与えた。

『宇宙人が攻めてくる』という報道に市民は暴動を起こし、一時、通信回線はパンク、交通手段もストップした。そんな中で一番深刻だったのが、『地球外生命信仰』という、新興宗教の発生であった。

 『地球外生命信仰』こそが、二四〇〇年代を象徴するできごとであった。

 その約一〇〇年後、二五五〇年代から、世界中で地球統一化の動きが盛んになる。元を正せば、二四四〇年におきた地球外生命騒動が発端であった。当時は誤報という結末に終わったが、宇宙人との遭遇が無いとは言い切れない。そんな夢みたいな話に向かって、統一化の動きは大きくなっていった。

 発起人はヨーロパ連合。二〇七五年にヨーロパ諸国を統一した連合は、アメリカ合衆国と、経済力、軍事力を二分する超大国となった。今度はそれを地球規模でやろうとしたのだ。アジア、アフリカの小国は続々と加入。二五九五年、最後にアメリカ合衆国を加え、連合『パンゲア』が完成した。

 西暦二六〇〇年を統合暦元年とし、新政府が発足、地球を四つの自治区と、一つの共有区とした。

 前ユーラシア大陸を『ユメア』、アメリカ大陸を『アメガン』、アフリカ大陸を『アリカナ』、オーストラリア大陸を『オラトリア』、そして共有区の南極大陸を『ネイション』と改めた。

 新政府を改めてパンゲアを命名し、各自治区から選出された代表者によって議会が構成されることとなった。


 統合暦一七〇年、地球規模での飢餓に陥ると、地球外でのエネルギー補給が期待された。

 火星への殖民計画が正式に発動され、中継点となる宇宙ステーションが次々と建設された。約一億近い人類が新たなる希望を胸に、広大な宇宙へ散らばっていった。

 しかし、当時は画期的な試みとしてもてはやされていた殖民計画も地球が飢餓状態から脱出すると、人々の記憶から忘れ去られた。

 

統合暦八〇〇年、人口過多の地球に頭を悩ましていたアメガンは、忘れ去られようとしていた火星に、再び目をつけた。

初代の殖民から、ろくな援助を受けていなかった火星は、そのころには立派な現地国家が成立していた。地球からはほぼ独立し、自給自足が成り立っていた。

アメガンは密かに、他自治区と密約を交わし、火星と宇宙ステーションの運営権利を獲得した。もともと、パンゲア内で決めた殖民計画だが、目的達成後の処理に困っていた議会はアメガンの申し出を快諾したのだった。

アメガンは火星を流刑地とし、統合政府の警察機関兼検察機関であるタクラマカンから犯罪者と認定されたものたちを次々と送り込んだ。その数約五〇〇万人。

地球上に、犯罪者はいなくなった。


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