表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サンゴとオニヒトデ  作者: 青海 嶺
3/26

3 環境保護と賭け事


 南国の青い海と青い空。

 陽光に輝く海面を船は沖合を目指して航行した。

 目的地まで、およそ二十分の距離。

 そこは、彼らがネイチャーガイドとして観光客を案内する定番のスポットだった。美しいサンゴ礁が浅い海底に広がって、海底ウォッチングにはもってこいの場所だ。

 ちかごろ、地球が暖かくなり、このへんの海の温度も上がったためか、オニヒトデが大発生、美しいサンゴを食い荒らすという食害が発生していた。

 食害から貴重なサンゴを守るため、オニヒトデを駆除するのは、ダイバー組合の大事な取り組みなのである。

 それを二度もサボっていた青年は、肩身が狭かった。今日はそれを挽回すべく、しっかり活躍していいところを見せなければならない。

 五隻の船は、美しい海の上をすべるように進んだ。

「二十人で五百匹かぁ」

 青年の呟きにやる気の無さを聞き取ったのか、ベテランのネイチャーガイドが青年をジロリと睨んだ。

「ひとり二十五匹見当だな」

「そんなに」

「なに、あっと言う間さ」

「そんなもんですかね」

「いまから弱気でどうするか。他の船には負けられないぞ」

 今回のオニヒトデ駆除隊は、船単位でチームになっていて、五つのチームが、互いにヒトデの捕獲量を競う賭けをしていた。

「一等になって祝杯をあげようぜ」

「おう」

 青年よりももっと若いダイバー二人が気勢を上げる。はためにも興奮が伝わってくる。

 よほど賭け事が好きなんだろう。

「そうだ。ビールを賭けようぜ。最初の一時間でたくさんヒトデを捕獲したほうが、ビール一杯ゲットで」

「のったぜ。今日はタダ酒が飲める」

「こっちのセリフさ」

 結局、ベテランのガイドと青年もその賭けに加わることになった。

「じゃあ三杯はタダで飲めるな」

「俺がな!」

 若者たちは陽気に笑い合っていた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ