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2 オババのへらずぐち
港の駐車場の隅に軽トラを停めた。
駐車場の横の建物の影にベンチを出して、そこから通行人を監視している別のオババが言った。
「お前もヒトデの駆除かえ」
「ああ。そうだよ」
「しっかり稼ぐのだぞ」
「おう。任せとけ」
「言うことは頼もしいんじゃがのー」
「ほっとけ」
集合場所にはもう今回の参加者が集まっていた。
「お前で最後だぞ」と組合長。
「いやいやどうもー、遅くなってエライすんまそーん」
青年はいそいで潜水用のウェットスーツを着込んだ。
みなは忙しく潜水とヒトデ駆除の道具のチェックをしていた。
青年は、組合長の指示の下、注射器と酢酸入り薬剤の数を数えた。
酸素ボンベも、ヒトデを回収する金網製の籠も、ロープも、必要なものはすべて揃っていた。
二十人のダイバーと船を操る船乗りとが、五隻の小型船に乗り込んだ。このチームで、今日は五百匹のオニヒトデを捕獲、駆除するのが目標だ。
船団は、意気揚々と出港した。