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サンゴとオニヒトデ  作者: 青海 嶺
17/26

17 前世自慢

「おれ、実は昔、人間だったんだ」

 青年は(恐れ入ったか)という気持ちで、お仲間を見下したが、相手はちっとも動じなかった。

「ほー。それはそれは。たいそうご立派な前世をお持ちですなあ。うん、まあ、俺だって人間の死骸はずいぶん食べたからね。ってことは、俺だって、身体の何割かは人間だ。つまりは、お前と同じだな」

「そ、そうかな。でも、オレはね、ただ人間だっただけじゃないんだ、おれは、自然保護活動に人生を捧げていたんだよ」

 人生を捧げたとは話を盛りすぎだったが、駆除を頑張ったのは事実だ。結果的には命を掛けたことになるし。

 青年は(どうだ、今度こそ恐れ入ったか!)という気持ちで、またお仲間を見下したが、逆に憐れみの目で見られた。

「あー……、あの、クジラを守れとか、サンゴ礁を守れとか騒ぐ、いかれた連中の仲間かい」

(いかれたとはなんだ、いかれたとは!)

 青年は思わずお仲間を睨みつけたが、相手は、まるで憫笑するように体を膨らませてトゲをそよがせていた。

 トゲをそよそよ動かしながら、そのヒトデは周囲の仲間に呼びかけた。

「おーい、こいつ、人間だったんだってよ。面白いからこっち来てみな」

 忙しく食事をしていた周辺のオニヒトデたちが、食事を中断してワラワラと寄ってきた。





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