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サンゴとオニヒトデ  作者: 青海 嶺
16/26

16 満腹

 空腹に耐えられずエネルギー切れになるまえに次の珊瑚礁まで移動できなければ、それは即、死を意味するのだろう。

 オニヒトデは海流の水の流れも利用しつつ、なるべく体力を温存しながら、隣のサンゴの群生を目指した。


 なんとか次の珊瑚礁に辿り着き、オニヒトデは思う存分サンゴを食いまくった。

(あー、食った食った)

 人間ならゲップの一つもするところだ。

 とりあえず満腹して、人間らしい気持ちを取り戻した青年は、ふと周囲を見回した。お仲間のオニヒトデたちが、かなりの勢いでサンゴを食い散らかしている。このままでは、この珊瑚礁が死骸の山に変わるのもそう遠いことではない。

 青年は思わず、近くの仲間ににじり寄って話しかけた。

「おい。やめようぜ、そんなにサンゴを食べるのは」

「何言ってんの? オレはハラペコなんだよ。だいたい、食べなきゃ死んじゃうだろ」

「まあまあ。とにかくサンゴは大事なんだからさ、別のものを食べてしのごうよ」

「お前、馬鹿か? 気はたしかか? サンゴが大事って意味がわからねえ。自分が生き延びることより大事なことなんて、この世にあるか?」

 そう言われてみると、返す言葉がなかった。

「だいたいお前だって、さっきムシャムシャ食ってただろう。サンゴを、さも旨そうによ?」

 その通りだった。青年は満腹だった。





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