盗賊の砦・地下一階②
上から目線ってのは見下されているみたいで、気分は当然宜しくは無い。連中は4人いて、その中の1人は明らかに雑魚とは一線を画していた。
つまりは中ボス級、ってか名前がオレンジ表示である……ユニーク種らしいが、名前を“影渡り”のルスカと言うらしい。戦略的に有利な地点も取られてるし、参ったね。
つまりは、ヤバくなったら秘密の通路に逃げ込む作戦も使えない。
しかも部下の1人が、命令に従って仲間を呼びに走り去っていく気配。もう罠に引っ掛かるなよとの声は、お優しき同僚かららしいけど。
つまりは一番下っ端が、罠に掛かって満身創痍らしい。やや冷静さを取り戻した俺は、海月モドキに“妖怪”塗り壁モードへの変形の電波を飛ばす。
上手く行ったかは不明だが、どちらにしろここを突破しないと話にならない。
さてさて、それではこちらも本気を出そうか……SPも充分に貯まったし、小休憩のお陰で魔力も戻って来ている。天使のベールはいいな、良い拾い物をしたよ。
相棒のファーに本気モードを告げると、悪巧みな笑顔が返って来た。盗賊達にすら無視され、プライドが傷付いたのか……或いはわが仔の捕獲計画を聞いて、静かに怒っているのかも。
どちらにしろ、彼女の反撃は派手だった。
水晶玉の乱舞で、複数個所で派手な爆破が巻き起こる。それに合わせて、俺も両手棍スキルの《乱撃》を披露。広範囲に振り下りるダメージに、近付いていた敵の群れは哀れな姿に。
次の策は決まっていた、上の連中を何とかしないとね……ファーの真似をして、ベルトのポーチから水晶玉を投げ込んでやる。慌てる連中に、両手棍での打撃もプレゼント。
棍棒の長さのお陰で、前にいた盗賊の脛の辺りに攻撃が見事ヒット!
あまりの痛さに、もんどりうって転げ回る雑魚の盗賊A。情けない事に、そいつはそのままトラップ部屋に転落して来た。
狙っていた中ボスUM盗賊は後ろに下がっている、さすがに注意深いな。
それでも水晶のダメージは与えた様子、そして冒険者の身体能力なら、2メートルの段差程度は簡単に超えられる。今行くべきか、もう少し慎重に敵を減らすべきか……?
ええぃ、男は度胸……行ってしまえ!!
爆裂玉を取り出して、段差の上へと放り投げて改めて隙を作ってから。ファーに声を掛けて、この底辺の部屋からの脱出を告げる。
ファーもネムも空を飛べるので、脱出は何でも無い作業だったりする。実は、滑り台の仕掛けに嵌ったのも俺一人……ネムなど律儀に、後をついて自ら落ちて来てたのだ。
頼りないご主人で御免よ、ここから是非とも挽回せねば。
喧騒は上手い事伝播していて、二つ名を持つUM盗賊も、幸いにもこちらから注意を逸らしてくれていた。お蔭で懸垂の要領で、無事にトラップハウスからの脱出に成功。
両手棍は邪魔なのでいったん収納、武器を持たずの上がり際に攻撃されるのは充分承知。通路を転がって移動しながら、ファーとネムの援護に期待しつつ。
自身は手甲に収納していた投げナイフを、手近な敵に投げつける。しかし投擲技を使うのも久し振りだな、まぁ水晶玉の投げ付けにも投擲スキルは適用されてるっポイし。
無駄ではないと信じたい、今も急所に刺さって雑魚盗賊Bは悶絶しているし。
しかし人の形の敵って、やはり感情が豊かと言うか急所がてんこ盛りと言うか。お蔭で武器を取り出す余裕が出来た、ってか雑魚盗賊Bはネムにたかられて既に戦力外。
これで残ったのはボスだけ……と思ったら、報告に去って行った雑魚Cが慌てた様子で戻って来た。どうやら海月モドキは見事に役目を果たしてくれた様子。
まだ分からないが、増援の気配は感じられない。
「ルスカ様、なんか黒い壁が通路に出来てて、階段を上がれなくなってるんですが」
「なんだそりゃ、使えない奴らめ……さっさとそのガキ倒して、竜の仔をひっ捕えろ!」
向こうは揉めているみたいだが、こちらは敵の動向を確認出来て一安心。やはり報告には行けなかったみたいで、これで増援の可能性はほぼ無くなった。
後はここにいる戦力を確実に倒すだけ、トラップハウスでは出来なかった強化魔法をそっと自身に掛けつつ。盗賊UMからは目を離さない、コイツはかなり手強そうだ。
両方の手に違う武器を持っていて、どうやら二刀使いらしいのだが。
命令された雑魚Cが、慌てた感じで突っ込んでくる。取り敢えず《硬化》の呪文は掛け終えた、多少の安心感を得て迎え撃つ構えを取って。
コイツも碌に武器を扱えないみたい、盗賊団って連中、本当に実力はピンキリみたいだ。などと油断していると、死角から突然ナイフが飛んできた。
盗賊UMのルスカの仕業らしい、さすがに避けれずにダメージを喰らってしまったけど。雑魚盗賊Cとのコンビプレーは全然なっていない、この隙に全く付け込めない体たらく振り。
俺と相棒を見習えと言いたい、いや余計なお節介か。
邪魔でしかない雑魚盗賊を上手く利用して、こちらが逆に呪文の詠唱の隙を作ってやる。闇魔法の《Dジャッジ》は、ルスカにはレジストされたが雑魚には覿面に効果があった。
コイツはネムに任せて、俺はボスに張り付く事に。短刀と鉈の二刀流で攻め立てるボスUN、スピード感が半端じゃない。こちらの攻撃も、短刀で巧みに逸らされる技巧派の技。
やっぱり強いな、さすがレア級認定だけはある。
それにしても、さっきの闇魔法レジストが少し気になる……コイツの二つ名は確か“影渡り”とか何とかじゃなかったっけ?
ひょっとして闇属性なのかも知れない、そっち系の技能も持ってるとか?
考えた先から、向こうは先手を取って来た。しかも予測していた闇系の魔法、俺も持っている《Dタッチ》の呪文だ。モロに喰らってしまったが、慌てる事は無い。
目潰し攻撃は何度か喰らった経験があるし、隙さえ作らなければ何とでもなる筈。
手甲を前面に押し出し、防御の構えでこちらも呪文を紡ぐ。何度か鉈の攻撃を弾く感触、何故か腕輪の攻撃反射の効果も発動した感覚が伝わって来る。
反撃の《フラッシュ》の目潰し返しは、敵のいる方向に勘頼みで放ったモノ。ところが相手の短い悲鳴が聞こえて来て、幸いにも効果はあったみたいだ。
瞼をしぱしぱさせてみる、ようやく薄ぼんやりと視界は戻って来た。
相手の隙を見逃したくない俺は、短槍で無理やり攻撃に転じる事に。残っていた雑魚盗賊は、意外とあっさりネムが始末してくれていた様子。
ファーがちゃっかりネムに騎乗していたので、相棒の稼働率は相乗効果で軽く2倍以上かも。頼もしい相棒を持つものとそうでない者の違い、見せつけてやろうと攻撃を激化させ。
二刀流の敵UM盗賊は、その勢いに防戦一方。
……に見えたのも束の間。急に盗賊UMの姿が揺らいだと思ったら、地面に飲み込まれるように消えてしまった。
なるほど、これが奴の奥の手らしい。
奴の二つ名の“影渡り”の異名は伊達では無いようだ。どこに行ったと慌てる俺と相棒ズ、定番だと自分の影から出現するパターンかっ!
その予想は大外れ、突然背後から威圧感を感じて。
ファーの指差し合図が無ければ、首筋をバッサリやられていたかも。大慌てでの手甲でのガードは辛うじて間に合って、危険な一撃は防ぐ事に成功。
続いて行使された《闇の断罪》と言う二刀流のスキル技は、避ける間もなく喰らってしまったけど。結構な威力に、こちらの体力は3割程度持って行かれる。
普通に強いな、手下がいない方が実力を発揮しているルスカ某。
しかも毒ダメージまで、いつの間にやら付加されてるしっ! 何なのコイツ、ひょっとして盗賊団の四天王とかって、嫌な設定持ちなんじゃあるまいか?
試しに尋ねてみたら、良く分かったなと厭味ったらしく答えてくれた。ちなみに怖い大ボスの頭領が普通にいて、その下に四天王的な存在がいるらしい。
その内の1人“影渡り”のルスカは、近接戦の片手武器最強だとの弁。
「この二刀の牙と“影渡り”から逃れられた奴は、過去に一人も存在しねぇ……恐怖と共に沈むがいい、盗賊団から盗みを働いた愚かモノめ!」
なるほど、あの技はそのまんま“影渡り”と言うらしい。奴の言う盗み云々は事実なので、ここは敢えて反論はしないけど。
素直に倒される訳には行かない、こちらも命は惜しいので。
しかし連続で使えるとは思わなかった、再び地中へと沈んで行く“影渡り”のルスカ。対策を練るかダメ元でカウンターを狙うか、はたまた範囲魔法でも撃ち込んでみるか。
策は幾つか思い付くが、どれが一番効果的かは試してみないと分からない。
敵の能力を早速心得たファーが、俺と対面するように位置取りをしてくれる。なるほど、これでさっきみたいな背後からの不意打ちも、お互いの目でカバー出来る。
何気に賢い娘だな、ファーってば……その彼女の咄嗟の作戦のお陰で、今回の不意打ちも回避に成功。どうやら長い間影に潜っているのは、性能的に不可能なのかも知れない。
カウンターこそ取れなかったが、短槍での畳み掛けには成功した。
ついでの勢いで《四段突き》を見舞ってやると、相手の体力も半減して明らかに苦しそうな表情に。ハイパー化でも来るかなと思ったが、懐から取り出したのはただの回復薬みたい。
飲ませる隙なんて与えるモノかと、ネムと共に嫌がらせの上下からの挟み撃ち攻撃に。すると今度は、闇魔法でのHP吸収に活路を見出そうと慌てて詠唱を始める盗賊UM。
だからさせないってば、頭悪いのか往生際が悪いのか。
こうなると、向こうの打つ手は限られて来る。案の定の再度の“影渡り”に、こちらも《ライトアロー》を撃ち込んで攪乱してやるけど。
呪文の完成が遅かったのか、向こうの逃げの気迫が勝っていたのか。ダメージはそこそこ与えられたものの、ルスカの姿は再び影の中へと消えてしまった。
まぁいいか、影の中で回復とか出来るなら話は別だけど。
さてここで妙案が閃いた、簡単な理科の実験の時間だ……影を造り出すには、どうすれば良い? 任意の場所に造ろうと思ったら、その反対から光を当ててやればいいのだ。
奴の能力が影がある事が前提だとしたら、それは逆手に取れる弱点でもある。そんな訳でまずは《ライト》の呪文、後は位置取りをしっかりと固定して。
何をやるか感付いたファーが、影を消す行為を手伝ってくれている。
本当に賢い娘だ、これで奴が出現する場所は俺の前に出来たこの影しか無い。もっと遠くのこちらの視覚外に出現する手もあるが、それをされたらお手上げだ。
その時は、素直にこちらの作戦失敗を認めるしかないが。そんな便利な能力を、何度も呪文詠唱も無しに発動させられるかは怪しいところだ。
それこそチート能力、運営に抗議のメールでも出さないと。
阿呆な事を考えている内に、ひょっこりと盗賊UMの頭が影の中から出現し始めた。しっかり待ち構えていた俺は、まずは《落とし突き》でカウンターを見舞う。
中ボスの驚き声をBGMに、こちらの手番はなおも続く。途中にネムの《尻尾撃》が入ったり、とどめにと用意していた《白垂飛泉槍》でも相手は生き残ったりしたけど。
結果的に、こちらはこれ以上の被害は出ずに終焉の運びに。
いやいや、盗賊団の実力を少し舐めていたかも……四天王であれだけの強さって事は、ボス盗賊はもっと強いのだろう。
でもまぁ、盗賊を完璧に全滅させなくても義理は果たせると思うし。
要するに半壊程度でも、連中が師匠にちょっかいを掛ける余裕はなくなる筈。ちょっと妥協して、その辺りを目指そうかな。しかし盗賊UMの、ドロップは割と美味しいかも。
これはもう何人か、お相手して貰いたくなるレベル。
スキルPこそ2と低かったモノの、他のドロップ品は割と豪華で。まずは闇の術書と盗技石が1個、それから冒険者の心得:初級が1枚にお金が2万モネー。
お金は雑魚もちみっと落としていたかな、冒険者スキルは『竜宮の遣い』にでも振っておこうか。一点伸ばしが強いのは分かるが、現状は色々伸ばして比較してみたいし。
冒険スキルにも、手持ちのスキルPが振れればいいのにね。
後のドロップだが、冒険スキル『罠感知』と破砕の短刀というダガーが1本。それから『服従の笛』と言う危ない名前のアイテムに、『複合技:短剣・闇《闇の断罪》』がドロップ。
いやいや、何か凄いドロップだけど大丈夫なのかな? 複合技の書は2冊目だが、こちらは短剣用なので、俺は使えないとしても。
ちなみに服従の笛は、人間には通用しないらしい。
モンスターには通じるのかな、そこら辺のラインが良く分からない。最後に『ハートの鍵』というアイテム、これはどこで使えば良いのだろうか?
色々と謎なアイテムを含め、結構な量のドロップ品を貰ってしまった。しかしまぁ、砦に潜り込んでちょっとしか移動してないのにこの様だ。
――今後の作戦も、少し考え直すべきかな?
名前:ヤスケ 初心者Lv23 種族:ミックスB
筋力 54(+9) 体力 58 HP 268(+26)
器用 50(+4) 敏捷 60(+4) MP 203
知力 35 精神 33(+2) SP 168
幸運 21(+10)魅力 7 スタミナ**
職業(2):『新米冒険者』Lv23
武器(7):《乱撃》《撃ち上げ花火》《四段突き》《ブン回し》《貫通撃》《白垂飛泉槍》
《落とし突き》
補正(5):《投擲威力20%up》《防御力10%up》《集中》《》《》
冒険(5):『野生』『水中適正』1『地図形成』2『隠密』2『魔力温存』1
武器:弓矢8P《貫き矢》《貫通撃》
:短槍20P《落とし突き》《捻り突き》《二段突き》《四段突き》《白垂飛泉槍》
:両手棍18P《ブン回し》《撃ち上げ花火》《Pハンマー》《乱撃》
:盾8P《防御力10%up》《ブロッキング》
:投擲6P《投擲威力20%up》
魔法:『闇』25P《Dタッチ》《バグB》《Bタッチ》《影纏い》《Dジャッジ》《闇の腐蝕》
:『風』18P《風の茨》《風属性付与》《風疾く》《双翼撃》
:『光』14P《ライト》《ライトアロー》
:『水』24P《清き水》《水中呼吸》《Pヒール》《マナプール》《ヒール》《アクアガード》
:『炎』5P《キャノンB》
:『雷』8P《雷精召喚》
:『土』8P《地駆けラット》
:『氷』8P《魔女の略奪》《アイスランス》
合成:『木工』3、1P
種族:『ミックスB+』(職業+1、幸運+4、器用+2、魅力-2、全耐性+20%up)
称号:『蝶舞』『猪突』『竜宮の遣い』『巨人討伐』
モネー:393、540
スキルP:29
***『新米冒険者』ヤスケ 装備一覧***
武器 :竜宮の短槍(12) 攻+15、精神+3
武器2:野蛮な大鎚(7) 攻+17、筋力+3
予備 :狩人の弓(10) 攻+12、命中率+35%up
盾 :野蛮な手甲(7) 防+8、筋力+3
頭 :竜宮の兜(10) 防+10、精神+3
上着 :飛竜のベスト(15) 防+15、耐風+25%up
鎧 :護衛の胸当て(6) 防+6、器用+2
下着 :クールな下着(5) 防+1、耐寒+20%up
アクセ:野生の御守り(4) 防+2、筋力+6、敏捷+2
指輪1:清水の指輪(4) 耐毒30%up、ヒール効果20%up
指輪2:契約の指輪(-) 従者+3
腕 :霊亀の腕輪《硬化》(10) 防+10、時々攻撃反射
ベルト:狩人のベルト(8) 防+6、ポーチ×5
下肢 :疾風のズボン(8) 防+7、敏捷+2
靴 :蛙のブーツ(8) 防+6、水耐性+30%up
背中 :海賊のマント(8) 防+7、敵対+2、魅力-2
従者:妖精Lv1 幸運+6、魅力+4、精神-4
:仔竜Lv22《飛行》《尻尾撃》《ブレス》《噛み付き》《突進》
鞄:魔法の鞄(初心者用)
鞄:商人の鞄
アイテム:ポーション(大)×4、ポーション(中)×4、ポーション(小)×12
:マナポ(中)×8、マナポ×14、毒消し×9、マナP×7、Sポ×7
:ポーションP×15、ハイポP×10、万能薬×4、炎の神酒×3
:闇の秘酒×5、聖水×5、目薬×3、鯨の骨、玉手箱《天翔雷鳴》
:虹色の果実×9、魔石(小)×8、魔石(中)×3、魔石(大)、経験の飴玉
:料理キット、冒険者セット、投擲セット、豹柄のマスク、魔力の核
:闇の眼帯、魔除けの香炉、憩いの香木×2、時の狭間の香木×7
:金のメダル×15、大猪の毛皮、還元の札×2、逆巻きの風呂敷(6)
:幽霊の呼び水、水妖の呼び水、南瓜の呼び鈴、骨工ギルドの推薦状
:闇の契約書、闇蝙蝠の牙、探索のコンパス『初級八属性魔術師』
:旅人のマント《秋波斬り》魔法の腐葉土、銀葉樹の苗木、白い甲羅
:霧の呼び笛、闇の隠者の呼び水、忍びのブーツ、野蛮な大腿骨
:壊れやすい鉢、魔水連の球根×8、淡い水瓶、服従の笛《闇の断罪》
:森狼の毛皮、風の牙、奇妙な頭蓋骨、転換の札×2、鯨の髭×2
:『妖精使い』星の涙、月の滴×2、木工ギルドの推薦状、飛竜の骨
:海豹の呼び水、水と氷の香木、水中珊瑚、三色珊瑚、炎と雷の香木
:ヒドラの鱗、宝飾の片手剣、戦闘メイド服×2『竜使い』暗塊の杖
:ヒドラの生肉、飛竜の財宝『竜宮の遣い』従者の呼び鈴、革製の鞍
:木人形の呼び鈴、理力の杖、波紋のロッド、竜玉石、星の涙×2
:戦士の紋章、魔術師の証、騎乗者の鞭、魔力の大骨『罠感知』
:盗技石×7、鑑定石×5、天使のベール、宝の地図、破砕の短刀
さてさて、盗賊UMルスカとの戦闘ではレベルは上がらなかったものの。もう少しで上がりそうだったので、トラップハウスの残りの敵を《キャノンB》で焼き払い。
せしめた経験値で見事レベルアップ! ちなみにこの部屋に落ちた雑魚盗賊は、大鼠たちにたかられて既にお亡くなりになっていた。
そんな事後戦闘をこなして、今いる場所だけど。
例のワイン庫に戻って、魔除けの香炉で時間を止めている次第である。ついでに光と風の香木も焚いて、魔法スキルを上げたりと成長に余念が無い。
もちろん休憩が目的だが、レベルアップ時の諸々の作業もこなしたいし。レア種討伐で、結構なドロップ品も入手したのでその整頓も兼ねて。
時の狭間の香木の数にも、割と余裕があったからね。
ついでに逆巻きの風呂敷で、損耗の激しい武具の耐久度を修繕しておいて。ベルトのポーチの中身も色々と補充、使ってしまった分は鞄から移し替えておく。
ちなみにトラップハウスでは、安全な場所から色々と試す機会もあったんだけど。時間が惜しかったので、それは安全そうな戦闘中に行う事に。
特に弓矢スキルの《貫通撃》とか、試してみたい気は充分にあったんだけど。師匠の忠告に、耐久度が必ず減って行くぞってのがあったのを思い出して。
自粛した次第である、威力の程は試したかったんだけどなぁ。
ちなみに前の戦闘で大活躍した楯スキル、自然に上がっていたのでスキルPを追加で振り込んで8にしてみた。その結果、新たに《ブロッキング》の楯スキルを覚えたのだが。
相変わらずのスキルスロット不足問題で、使う段取りすら侭ならず。本当に何とかしたいのだが、その手段が全く思い浮かばない。
今後も武器スキルは増えて行く一方なのに、どうしたモノか。
魔法スキルの方では、新たに《アクアガード》と言う水系の魔法を得た。『竜宮の遣い』の冒険スキルの効果で、自動的にスキルPが増えてくれる恩恵だ。
この呪文は、アバターの強化系の呪文らしい。防御を数分間微増してくれるみたいで、既に持っている《硬化》とも重ね掛けは可能っぽい。
しかも魔法防御も上がるらしく、かなり良さそうな呪文である。
レベルアップは嬉しかったが、どうもミックスBの嫌な性質が発動した模様。つまりは増えたスキルPがたったの1のみ、久々だけど嫌なモノは嫌である。
その感情を何とか割り切って、無理やり別の事案を試して見る事に。ちょっとした実験である、時の止まった空間で海月モドキは作られるか否か。
作られた場合、時間のカウントはどうなるのか。
《マナプール》で作り出された魔力プールは、30分しか維持されないのだが。この止まった時の中では、一体どう判定されてしまうのだろうか。
結果として、魔法は作動したしバッチリ継続もされた。システムとしては甘い気もするが、こちらは文句を述べる立場でもないし。
有り難くその恩恵にあずかって、次の戦闘へ繋げよう。
――さてさて、階段の上はどうなっている事やら。




