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ミックスブラッドオンライン  作者: 鳥井 雫
51/73

ログイン9日目




 さて、今日の本格的な活動方針を決めなくちゃね。最初の1時間はここ数日恒例となった、弓矢の練習で良いとして。残り時間は、どうやって有効的に活用しようかな?

 とか思っていると、新たに虹色の果実を発見したとの師匠の有り難いネタを貰う事に成功。どうやら北の海岸線沿いの荒れ地にあるらしい、発見したのも昨日だとの事で。

 ホヤホヤのこの情報、早速有効に使わせて貰う事に。


 そんな訳で今日の後半の指針としては、途中安全地帯に寄って武器の補修と薬品の補充。もし新しいクエ依頼が出ていたら、その確認は必須として。

 その後に北東へと向かって果実の回収……時間が余ったら、今度は北西の断崖地帯にでも行こうかな。半壊馬車のポイント探索と、山羊の毛皮集め&トカゲ退治もこなしておきたい。

 クエ依頼で、ずっと放置してて気持ち悪かったしね。


 もちろんマップ埋めの依頼もこなしたいので、ひたすら未探索の場所をうろつくのは忘れずに。こんな感じだろうか、書き出すと割と多い気もする不思議はさておき。

 今日も盛りだくさんの行程が詰まっている、その最初の試練でヘマなど扱きたくは無い。ってな訳で、思い切り集中しての弓矢の的当て訓練である。

 さすがに3日目ともなると、身体が何となく慣れて来た。


 もちろん本来の弓術とかだと、3日程度の鍛錬で上達しろとかムチャ振りでしかないだろう。ただしこのバーチャ世界、どんな運動音痴なプレーヤーも納得する補正が抜かりない。

 もちろんそうだ、そもそも最初の玄関で躓いていたら、中の住居エリアをせっかく豪奢に造っても見てすら貰えない。そんな悲劇を無くすのは、まぁ当然とも言えるけど。

 それでも、日常的でない行動にはその効果はとっても薄い様子。


 だからこその苦労を味わいつつ、訓練は続く。基本的には連射からの動く標的への的当てである。珍しく今日は師匠が付きっ切り、アドバイスも普段の倍貰っている。

 そしてそれを見学するファーも、妙に熱が入っている様子。いつもの開け放たれた窓辺の定位置で、木の編み籠に入った卵を温めながらの観戦なのだが。

 チリンチリンと、鈴の調子外れの応援がうるさいw


 まぁ許そう、何故なら今日の的当ては意外と好調だから。スキル3Pまでに伸びた成果だろうか、慣れもあるし本当に鍛錬が実を結んでいるのかも。

 そんな訓練の終盤に、師匠が何気ない言葉を放った。


「……いい感じだな、それじゃあ最終試験に移ろうか。これに合格したら、もう俺が教える事は無いな。戦闘で使える程度には上達しているし、後は実践で鍛えて行けば良い」

「えっ、本当に……? それだとまぁ嬉しいけど、ちょっと寂しいかなぁ?」


 何せ、ここに留まる理由が完全に無くなってしまう。もっとも、琴音を街に待たせてあるから、こちらも愚図々々してはいられないと言う事情も存在するけど。

 心残りとしては、師匠の悩みのマップ南の勢力三竦みを何とかしてあげたかった。俺の力など微々たるモノだけど、何か知恵を巡らせば解決の糸口が見付かるかもと思っていたのだ。

 その辺の事情はともかく、試験と聞いて心の中の模範生が疼き出す。


 ここは何としても高得点を叩き出さねば、教えを授けてくれた師匠にも顔向けが出来ない。そんなテンションで臨んだ試験内容は、緩く動く奥の的と、勢いよく動く障害物だった。

 障害物は普段は大き目の的で、サンドバック位の重さと幅と存在感がある。その奥で小さく揺れている的は、大きさ的には大き目のフライパン程度。

 これはなかなかの難問だな、ちなみに距離は10メートルちょっと。


 距離がそんなに遠くないのは、裏庭の大きさも関係しているけど。距離を離して弓のみで戦うより、ある程度の体力を弓で削って、トドメは近接でのスタイルを推奨されたから。

 それなら遠距離の的当てと言う、高いハードルを設定する必要もない。ある程度の近場からの連射、それから近接戦闘を念頭にした訓練をすれば良い。

 それが師匠と俺が話し合って、出した結論である。


 だから別に動く障害物とかは必要無いとは思うけど、そこは師匠のお茶目なのだろう。或いは倒す順番的に、奥に居座るリーダーを最初に釣って倒すシチュエーションとか。

 単純に、距離が近いので何かの仕掛けで難易度を上げる必要があったのかも知れない。とにかく試験と聞いて燃える心の裡を、吐き出すように射撃に移る俺。

 ファーの応援の鈴の音が、その弓の軌道を後押しする。


 少なくとも、大きな障害物に当てる様なヘマは1射も無かった。意識し過ぎるとタイミングが根底から崩される、射線を邪魔されていない時はそれは無いと同じと捉えれば良い。

 ただし奥の小さな的に当たる確率は、練習の時に比べても格段に上がる事は無かった。当然と言えば当然だ、練習だって真面目にやってるのだからそれ以上の実力なんて幻想だ。

 結果を言えば、的に当たった確率は全部で60%程度……。


 半分のラインは辛うじて保てたが、お世辞にも必中などとは言えないレベル。今は3連射を言い渡されているが、最初の1射目が何とか8割程度の命中率だ。

 後はどんどん、確率が落ちて行くのが自分でも分かる。速射を優先しているのだから、それは仕方が無いとは言え、せめて残りも7割程度の命中率は欲しかった。

 う~ん、これは試験は落第かなぁ?


 ところがクライフ師匠は、俺に無事合格を言い渡してくれて。理由は射線のブレもリズムの乱れも無く、ちゃんと3連射が出来ていたかららしい。

 要するに命中率は二の次で、それは実践で磨いて行きなさいって事らしいけど。何となく釈然としない俺は、甘過ぎでしょうと師匠に文句を言ってみたり。

 それを笑って聞き流す師匠、さすがに大人である。


「そう拗ねるな、試験なんて擬似的な通過儀礼に過ぎないのさ……そこで終わりなんてある訳じゃ無いし、ある程度形が出来ていれば何とでもなるからな。

 後は実践で技を磨け、それでお前の形を完成させろ」


 それは文字通り、卒業証書の突き付けであり、独り立ちの促し文句でもあった。これ以上ここで教える事は無いので、お前は新たな師匠なり冒険の場なりを見付けろと。

 当然予想された成り行きだったのだが、俺は不覚にもウルッと来てしまっていた。実を言うと、自分はこんな場面に滅法弱かったりする。

 そんな感動のひと時を、狙ったように邪魔するイベントが。


 いや、実際相棒は特に悪くは無いと思うんだけど、タイミング的には多少の異議は唱えたい。それじゃあ一体誰にと問われたら、俺的には言葉を濁すしかないけど。

 ファーのしでかした突発イベントは、これで幾つ目になるのやら……つまりは卵だ、何と言うか視界には入っていながらその存在はすっかり忘れていたビックリ箱。

 盲点の襲来だ、ってか爆誕しちゃったっぽい。


「うおっ、まさか……本当に産まれるとはなぁ! 妖精は自然を司る存在なのは知っていたが、放置していた卵まで孵化させるとは恐れ入った!!」

「凄いなファー……ってか毎回異変を知らせるのに、顔にぶつかって来るのはそろそろやめないか? 師匠、この奇妙な生物は何でしょうかね?」


 師匠もどうも、良く分からないらしい。俺はビターンと顔にぶつかって来たファーを取り敢えず保護して、卵の破片から顔を覗かせている奇妙な生物を観察する。

 相棒のママさんは、一体何を孵化させてしまったのだろう? 一見すると、どうもトカゲっぽいフォルムではあるようだ……ドラゴンとか、まさかね?

 時折甘え声を発していて、危険な兆候は無い様子だけど。


 それでもファーを一呑み出来る程度には大きな口だ、楽観視は出来ない。産まれ立てで、コイツに牙があるかは不明だけど。その大きな瞳は、こちらを真っ直ぐ見据えている。

 可愛いなと、素直に思ってしまう。家でペットを飼った事は無いけど、恐らく仔犬も子猫も凄く可愛い存在なのだろう。それに類する感情で、俺は思わず手を伸ばすけど。

 編み籠の中の不思議生物は撫でられるまま、全く大人しいモノ。


 それを見て気が大きくなったのか、ファーも飛んで行ってソイツの頭の上に乗っかる所業。不思議そうな謎生物、のそのそと卵の破片の中から這い出ようと試みている様子。

 これこれ、それだと出窓から落っこちちゃうぞ? ところがこの仔は、どうも背中に羽根を持っているっぽい。いきなり飛びはしないだろうけど、増々仔ドラゴンに見えて来た。

 思わず俺は、師匠と顔を見合わせる。


「師匠、ドラゴンの子供を育てた経験は……?」

「ある訳無いだろう……あの野盗ども、とんでもないモノを密輸してたらしいな!」


 やっぱり、どの筋から鑑みてもドラゴンの卵の売買は超禁止事項らしい。一方では、好事家が大金を出して秘かに欲しがるのも良くある事らしく。

 実際は、成長するに従って荒ぶる野生の血に手に負えなくなるパターンが多勢を占めるそうな。もしくは成龍になって知性が高まり、飼い主を見限って滅ぼしてしまうパターンとか。

 どちらにせよ、人間の手に負えない幻獣である事は確からしい。


「精霊と同じ扱いだな、どの種族も恐らくは同じ筈だ……もっとも、まだ子供のこの仔を野に放つのは酷過ぎるよな? さて、どうしたモノか……」

「精霊かぁ……あっ、そうだ! 東の森の精霊に相談してみましょう、ラマウカーンなら何か良い案を出してくれる筈!」

「なるほど、それは良いな……ひょっとしたら、引き取って貰えるかも知れないし。悪いが行ってくれるか、それからなるべく精霊の意に沿うように行動してくれないか?」


 それは勿論だ、ウチのファーがやらかした事でもあるし。……昨日乙姫に喧嘩を吹っ掛けたと思ったら、今日は仔ドラゴンを卵から孵すとは……。

 本当に恐ろしい娘だ、狙ってやっているのか?


 まぁそれはいいや、とにかく今日の残り時間はまだたっぷりある訳だし。出掛ける支度をして、編み籠ごと仔ドラゴンを抱え上げる。

 今日の予定としては、多少の変更を余儀なくされたけど。あの北東の野原に行くなら、通り掛かりの駄賃と言う奴で全く問題は無い感じ。

 むしろラマウカーンに久々に会って、積もる話でもしたい思い。


 そんな訳で、今日もファーと産まれ立ての仔ドラゴンを従えて元気に出発だ。師匠に行ってきますの挨拶をして、経緯は必ず報告に戻ると念を押して。

 このまま師弟の縁を切るのは、あまりに悲しいので保険みたいなモノである。師匠も笑って頷いてくれたし、仔ドラゴンの育成依頼の前報酬と言って色々持たせてくれた。

 その中には、おっと嬉しい新しい弓なんかもあったりして。


 ――狩人の弓 耐久10、攻+12、命中率+35%up

 ――狩人のベルト 耐久8、防+6、ポーチ×5


 他にも『冒険者の心得:初級』と矢筒、それから嬉しいポーションパウダー×5個セット! 回復薬はマッチョ魚人との戦いで大いに消費していたので、これは助かるなぁ。

 そんな師匠の心付けを貰って、意気揚々とフィールドに降り立つ俺とファーと仔ドラゴンの珍妙トリオ。ついでのお知らせとして、弓の試験終了と共にスキル1Pを取得して。

 自動取得で、何と必殺技を覚えると言う快挙。


 記念すべき弓術の、最初の必殺技は《貫き矢》というらしい。効果は貫通威力アップで、攻撃力が少々増すらしく。いわゆる初級スキル技、取り立てて記述すべき特殊効果もない。

 そんな事より、師匠から貰った弓と矢筒のセットがとっても嬉しい。これで敵をバリバリ倒して行きたいが、まずは精霊ラマウカーンの元に向かうのが先。

 幸い仔竜は大人しいモノ、さっさと移動しようかな。


 何しろ昨日は、普段の1時間を大幅に遅れてのログアウトだったので。筐体の持ち主でもある琴音に、どうしたのと心配されてしまう事態に。

 その言い訳が「ちょっと竜宮城に行って来た」と言うね、何とも和風ファンタジー感溢れる答えだったり。ありのまま正直に答えたのに、胡乱な目をされてしまう顛末。

 いやだって、他に何て答えればいいの?


 時間を大幅に過ぎてたのに、何の途中経過も告げなかったのは確かに俺が悪かった。今日はそんな前日の失敗も踏まえて、報告と素早い行動を心掛けようと思う。

 そんな訳で、マップの南端から海の見える東の小道へと抜けて、そこからひたすら北上するルートを選択。ただし海岸に停船している戦艦に見付かると、色々と面倒なので。

 そこだけは気を付けての移動である、しっかり《風疾く》も掛けての時間節約も忘れない。ってか、ちゃんとラマウカーンに会えるのかな、そこが心配ではあるけど。

 ファーもいるし、最後は彼女頼みなのはいつもの事だ。


 編み籠の中の仔ドラゴンは、時折甘えた声を出すだけで本当に大人しい。何か食べ物をあげた方が良いのかもだが、ミルクなど無いし他にあげるモノなど思い付かない。

 ファーはすっかり、仔竜にまたがる格好が気に入った様子。それでお互い安心するのなら、大いに結構ではあるものの。

 周囲を好きに飛び回る姿が見れないのは、ちょっぴり寂しいかも。



 移動の途中に思い出した、そう言えば昨日の魔法の特訓の続きをしなくちゃ。魔法にも熟練度と言うモノが存在するらしく、使うほどに精度や威力が上がるらしい。

 俺のアバターの中で、高い魔法スキルを誇るのは闇と水である。これを複合させた魔法のヒントを、昨日の竜宮城の老亀仙に貰ってから。

 空いた時間で、あれこれと試行錯誤した結果。


 何とか形になったのが、自称『闇水』と言う海月モドキである。つまりはある程度大きな《マナプール》を作成して、それに《影纏い》で形を与えるという。

 結構強引な手法に思えるが、この《影纏い》と言う魔法、術者のイメージを上手に汲んでくれるっぽい。何にでも纏えるという効果も伊達では無いようで、無形の水の球でも可能だった。

 つまり、バスケットボール大の楯なり鉾なりが生成出来たのだ。


 バスケットボールの大きさと言うのは、現在の自分のMPで出来る最大幅である。《影纏い》のコストも必要なので、それ以上の大きさはもっとレベルアップを待つ必要がある。

 そして海月の形に固定したのは、割と単純な思い付き。海月の傘の部分を楯に見立てて、触手の部分を鉾に見立ててみたのだ。

 後は獲物を見付けて、ぶつけるなり楯に使うなりする訳だ。


 昨日は実践部分はまるでこなせてないので、移動中に出遭う雑魚で少しだけ試してみたけど。何というか予想以上でもあるし、見当外れでもあったみたい。

 予想以上なのは、その強度だった。水の柔らかなイメージとは大違い、敵にぶつけると結構硬い音がする不思議現象が発生しちゃったり。

 《影纏い》凄いな、『闇水』がフライパン並みの硬度になってるよ。


 だけど期待したほどにはダメージは発生せず、これなら素手で殴った方が良いな的な攻撃力。『闇水』の移動速度はそれ程でも無いので、ぶつけるにしてもコツがいるのだ。

 それを無視しても、高ダメージには結びつかない様子。


 まだまだ研鑽が必要なコンボ技ではある、ちょっと楽しみではあるんだけどね。出しっ放しにして動きのコツを掴むのも、大事な修行の一環である。

 特に瞬間的なスピードと、回転を含んだアクロバティックな動き方とか。慣れたらその運動パワーを、攻撃力へと変換出来そうな予感はある。

 だからひたすら訓練だ、移動中にも出来る事も割とあるのだ。


 この新しい相棒に、ファーは割と無反応だったりして。形とか面白いと思うんだけどな、命を持たない魔法の物体だから臨機応変な対応は出来ないけど。

 それはともかく、この海月モドキ……こちらの移動スピードに付いて来れない体たらく振り。う~ん、これは熟練度とかスキルの上昇で、改善されるのだろうか?

 そうである事を切に願う、今の所は形の固定が大前提の作業かな。



 仕方なく移動速度を落としつつ、海岸線の小道を北上していく俺たち。何度か通った道なので、地形も覚えてるしここら辺はマップも完全に完成している。

 15分余りで、例の自作の祠を設置した野原へと辿り着けた。最後は雑魚に遭遇しても戦闘無視の上、海月モドキを傘のように担いでの移動になってしまったけど。

 ってかコイツ、この硬度なら殴り武器としても使えないかな?


 検証は又今度にして、まずは最初の依頼をこなそうか。依頼と言うより嘆願かな、とにかく産まれ立ての仔ドラゴンの育成なり里親なりを決めてしまわないと。

 ファーは心得たもので、野原に入るとサッと飛び立ってラマウカーンを探す作業に。親代わりがいなくなった仔竜が、途端にソワソワと落ち着きを無くしてしまうけど。

 程無く戻って来て、鴉モドキも一緒の好プレイ!


「おおっ、久し振りだな、若いの。今日はどうした、せっかちにお嬢さんに連れて来られ……おやおや、可愛い従者が増えているね、お披露目って訳かな?」

「いや、お久し振りなのは合ってるけど。実はこのファーが、知り合いの家にあった卵を温めて孵しちゃって。思いもかけずに仔竜が産まれて、慌てふためいてるのが現状なんだ。

 どうしたモノかな、この仔をどうしたら良いと思う?」

「なんだ、そんな事か……従者にすれば良いだろう、ドラゴンは子供でも立派な戦闘種族だからな。充分に相棒として働いてくれるさ、ここらの雑魚が相手じゃ敵無しじゃないかね?

 もっとも育て方次第ではあるな、水晶や魔石は持ってるかね?」


 それなら存分に持っているけど、仔ドラゴンの育て方とどういう関係が? ってか、この子を勝手に従者にしてもいいモノなのだろうか?

 ゲーム的には良いのだろう、精霊ラマウカーンも太鼓判を押してくれているし。そんな思考に耽っていたら、以前手渡された指輪を出すように言い渡されて。

 ああ、あのファーの時に貰った“契約の指輪”ですか。


 よく見たら、確かに効果の欄に『従者+3』としっかり記述されている……いや、3匹も従者を侍らす気は全く無いんだけどね?

 そう考えたら、貰い物にしては破格の性能な指輪なのかもしれない。ラマウカーンは、それで仔ドラゴンの額を擦ってみろと指示を出して来た。

 ほむっ、そうするとどうなる?


 ――おめでとうございます、新たな従者を得ました!


「おめでとう、これで契約の儀は為された。この仔は既に、お主の従者じゃよ」





 ――……どうやら我知らず、仔竜の里親騒動は終結したようだ。







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