夜の狩り場に潜むモノ
当然だが、夜の森には他のモンスターも出現した。まずは雑魚カテゴリーに属する、大ネズミ……こいつは群れになって襲って来る、それ以外特記する事も無いと思っていたら。
ファーがゼスチャーで、コイツに嚙まれる⇒身体ブルブル⇒クラッと来てバタンQだと教えてくれた。何故そんな事を知っていたのかは謎だが、大ネズミに嚙まれる事で何らかの病疫に感染するらしい。
と言う事で、一応は噛まれない様に注意して戦闘すべし。
それからもう1匹、コイツも初めて見た時はビックらこいた。何せ火の玉が、目の前の空間を浮遊しているのだ。名前を“人魂”と言うこのモンスター、何と通常攻撃の効きが頗る悪い。
思わず殴り掛かって、その際に判明した特性である。文字通りその時は死に掛けて、コイツは危険と判断を下して。以降は見掛ける度に、反転して戦闘を避けている次第。
ってか、こんなの反則だろうと文句を言いたい。
琴音に対処法を窺おうとメールを飛ばしたら、ものの数分で返事が来た。どうやらこの手の特性のモンスターは、割と数いる様子で。対処法も、だいたい同じく決まっているらしい。
まずは『魔法の武器』で攻撃する、これが定番らしい。持ってなければ、魔法そのもので攻撃……なるほど、武器が効かなくて魔法も無敵なら倒す手段が無いもんね。
つまりは奴ら、魔法でしか倒せない敵らしい。
武器で倒したいなら、武器に魔法を掛ける方法もあるよとの追加説明も。付与呪文は、大抵どの属性にも存在するとの事で。しかも割と序盤に、出て来る初級魔法らしい。
あれっ、そう言われれば……どこかで見た様な気もする?
そうそう、思い出した! 《風の茨》を覚えた時に、自動で覚えた選択肢の中に確か入っていたような。これって次の選択でも、同じように選べるのだろうか?
それとも、う~ん……思い切って光魔法を覚えるって手段もあるなぁ。夜の冒険を舐めていたと、今は思い切り反省中の身なので。ここは存分に、自己強化案を取り入れる所存。
さて、どっちがいいだろう?
――おめでとう御座います、光魔法を取得しました!
――おめでとう御座います、風魔法《風属性付与》を取得しました!
てへっ、両方取っちゃった♪ いやだって、保険と言うかスキルPも余ってたから、つい。しかし光魔法は微妙に残念だな、一応闇属性に特効は付いてるけど攻撃魔法では無いみたい。
強烈な光で敵の目を眩ます魔法らしいけど、一応はダメージも出るみたい。肝心なのはゾンビや骸骨、そして人魂にどの程度ダメージを与えられるか。
いや怯ませるだけでも有り難い、その為の保険だしね。
残念な光魔法の引きのせいで、完全に主力になった《風属性付与》だけど。コイツのMPコストは、5分効果継続で10MP使用とやや高い。
ちなみに《フラッシュ》はたった4MP、さすが初級魔法である。効果もそれなりなので、あまり期待しない様にしよう。とにかく魔法を付与した武器で、殴り掛かる感じで。
目晦まし効果を期待して、開幕に《フラッシュ》を使うのも良いかな?
ちなみに風魔法の自動取得は《ウインドアロー》と言う名前の魔法だったみたい。念願の攻撃系だったので、正直かなり気持ちが揺れたんだけど。
現在の人魂に囲まれた状況で、調子に乗って攻撃魔法⇒MPが尽きる危険まで抱え込みたくないので。安全確実な付与魔法を選択した次第、我ながら理性に感謝したいと思う。
そう、実は今……見事に四方を人魂に囲まれているのだ。
これも闇雲に、人魂を見付けては逃げ回った結果である。いやいや困ったモノだ、こんな安全地帯の近くで立ち行かなくなるなんて思っても無かった。
しかしこれで活路は見い出せた筈、それでは近くの人魂で新魔法のお試しと行こうか。まずは棍棒を手に、挑発するように近付いて行って。
敵が反応したら、すかさず《フラッシュ》発動!!
おおっ、何か知らないけど確かに怯んでる……ってか、結構ダメージが入ってる気が。15近く削れたって事は、さっきの殴りの10発分以上の威力って事ジャン?
さっきは本当に酷かった、武器で殴っても一律ダメージが1行進なのだ……たまに2が出て、泣きそうに感動すると言う酷いジレンマ。そして《風属性付与》込みの殴りの威力はっ。
うおっ、こりゃあ凄い……あっという間に敵の体力が減って行く!
実際は、たった3回の攻撃で見事お陀仏と言う有り様で。凄いな魔法って、さっきの苦戦は何だったのって思ってしまう。これは逆にチャンスでは、周囲の敵を全滅させる。
ついでに色々と試してみたいのも事実、ゾンビや骸骨に対してもダメージ量は上がるのかとか。それから付与した武器でスキル技を撃つと、どうなるのかとかもね。
幸い敵は割と多いし、順に検証してみようかな。
結果、ダメージは確かに増えていた。つまりは、普通に殴るのよりはって事だけど。ついでに蝙蝠も、夜中は普通に森の中を飛んでいたので殴ってみると。
やっぱり付与した武器だと、通常より3割程度はダメージが増すみたい。これは普通に良いな、戦闘の度に掛けて挑むべきだろう……魔力に余裕があればの条件付きだけど。
まぁ要するに、対“魔法が有効な敵”以外にも、使える手段だって事。
ついでに《フラッシュ》の効果だけど、ゾンビや骸骨にはそれなりのダメージが入る事を確認。蝙蝠も良い感じでピヨってたので、要するに闇属性の敵に特効なのかも知れない。
MPコストを考えれば、かなり使い勝手が良い魔法を手に入れた気がする。発動も素早いので、呪文を唱えている間に殴られてたって事態になり難いし。
ただし射程は、そんなに長くないのが難点かな。
それはまぁいいや、後は属性付与した武器でのスキル技の実験だけど。普通にダメージは増えていたのは推察通り、本当に便利な魔法である。
これもスキルが上がって行けば、ダメージ量も増して行くのかな? とにかく使い心地を試している内に、いつの間にか周囲の敵が枯れてしまった。
うぬぅ、もう少し実証を続けたかったのに。
例えば、今度は短槍との相性とかね。棍棒よりは良い気はするけど、果たして武器によって違いとか出て来るのだろうか……おっと、あそこに1匹人魂が湧いたな。
それでは早速、お相手して貰いま……おやっ、何だか一回り大きくないか? 色合いも違うし、名前の色が決定的に違う。あれはNM……とも違うっぽい。
何だろう、ユニークモンスターって表示がされているけど。
困った時の琴音頼り、メールを送りつつもそのオレンジネームのUNを観察してると。すぐに返信が、要するにアレはレアモンスターの一種らしい。
黄色ネームのNMは、スキルPと経験値が水増しされている強敵で。一方、オレンジネームのUNは、文字通りユニークなアイテムをドロップしやすいとの事。
ふむふむ、強さ的にはどっこいとの解釈でいいのかな?
追記の説明では、レア種にはもっと上がいるらしく。エリアを束ねる強敵のエリアボスや、6人パーティが束になって掛かっても全滅する恐れがあるユニオンボス等々。
ちなみにエリアボスは朱色ネームで、ユニオンボスは赤色ネームらしい。もっともこのソロエリアでは、どちらも遭遇する可能性はほぼ無いだろうと言う事で。
それでもこの区分だけは、しっかりと覚えておこうかな。
そんな訳で、正体の判明したUMの人魂。何を落とすか期待しつつ、さっきと同じ戦法で挑む事に。本当は、投擲武器からスタートしたかったんだけど。
それが本当に効果があるのか、実験出来ていなかったと言う笑えないオチ。例え試せても、別々の武器に魔法付与ってだけでMPコストが20も掛かってしまう。
ちょっと重過ぎるなぁ、そう思って自粛した次第。
まずはこちらに素直に反応してくれた、人魂UMだったけど。その後は思わぬ戦術を披露してくれて、こちらはビックリ仰天する破目に。
何と分裂した……いや、何か人型のゴーストみたいな霧状のモノを吐き出した? それは恨みのこもった呻きをあげながら、抱き付いて来ようと両手を伸ばして来て。
怖気と共に、悲鳴を押し殺しながら殴り掛かる俺。
ちょっと冗談にならない敵である、可愛い娘ちゃんならともかく、顔の崩れた男型のゴーストに抱き付かれるって。必死に防戦する俺の姿を、何故かファーが腹を抱えて笑って見ている。
余程滑稽に見えたのだろう、まぁ必死なのはあの抱き付き攻撃に何らかのマイナス効果があると見抜いたからでは無く。ただ単に気持ち悪かったからだからなぁ。
それが思い切り表情に出ていたんだろう、確かに傍から見たら笑えるかも。
それは置いといて、戦況は一進一退の繰り返しと言うなかなかの好ゲーム。自分で言っててアレだけど、こっちが霧のゴーストを倒す度にお替わりが出現すると言う。
これは不味いなと思い始めたのは、このイタチごっこが3分を過ぎた辺りから。この付与魔法は5分しか持たないので、どこかで掛け直さないといけなくなる。
そんな隙など見せたくない、それまでに何とか倒せないかな?
気付いたのは、敵本体のHPの減り具合。どうやらこのUM人魂、霧ゴーストを吐き出す度に自身の体力を削っているっぽい。成る程そう言う仕掛けか、ちょっと気力を持ち直せそう。
いつの間にか霧ゴーストも、5匹のお替わりを数えており。本体の体力も半分以下へと自然減少を遂げていた。ここらで時間短縮に、本体にも攻撃を加えたい。
ってか、短槍に掛けていた付与が消滅しちゃったよ!
これはピンチと、時間稼ぎの《フラッシュ》を喰らわせて。バックステップで距離を置き、再度の付与を武器に掛けようと画策していたら。
妖精のファーが、この敵もう見飽きたとばかりに光の水晶玉を投下。思わぬ死角から弱点属性を突かれた火の玉UMと、その時に限って3匹まとめて出現してた付属のゴースト、物凄い悲鳴を上げたと思ったら。
強敵UMは呆気無く成仏した模様……何だ、この潔い幕引きは!
ファーは一人宙でガッツポーズ、いやいや確かに大したモノだけど。一応システム上では、俺が倒した事になっているようで。経験値とスキルPは、無事こちらに計上されたっぽい。
何となくホッとしながら、スキル2Pを有り難く頂戴して。そして待望のドロップだけど、確かに琴音の言う通りにNMとは全然違うっぽい。
止めを刺したのはファーなのに、何だか申し訳無いな。
とにかく確かに、一風変わっているとは思う。『炎の術書』はともかくとして、『幸運の果実』とか『幽霊の呼び水』とか。果実系はステupだから、これは幸運値が上がる訳だ。
ステの中でも滅多に上がらない幸運値を上げる果実、売りに出せば高値が付きそう。呼び水は確か、レアモンスターのトリガーだったかな?
誠也か誰かに聞いた覚えが、好きな時にNM戦が出来るお得アイテムだと。
そしたらまたスキルPとかアイテムが、手元に転がり込む素敵サイクルじゃないか。凄いお得感、ちなみに呼び鈴がお助けモンスター召喚アイテムだった筈。
似てるから間違えないでねと、琴音に言われた記憶がある。
ドロップにはまだ続きがあって、多分当たりの『命のロウソク』と炎魔法の2つ。『命のロウソク』は、使用するとHPが永続的に上がるとの説明文。
それって普通に凄いお得、ユニークモンスターってサービス旺盛だなぁ。さらに《キャノンボール》は、中級の範囲炎魔法らしく。これは普通に強そう、さてどうしよう?
新たに炎魔法を、覚えるかどうかって話なんだけど。
さっきスキル7P使って、魔法を2つ覚えたばかりだし。そんなにバンバン消費は出来ない、ここは自重しましょうか。とにかく幸運の果実と命のロウソクは早速使う事にして、炎の術書と《キャノンボール》は保留に……。
結果、幸運値は+1されてHPは10も上昇。レベルアップ時の増幅値と同じ程度上がってくれた模様、ちょっとしたボーナスだなこれは。
戦闘後の休憩を挟んで、そんな感じで自己ステータスチェックも終了。
それにしても……トドメを持って行かれると、横取りされた感が半端無いな……別にファーを恨むつもりは無いが、欲求不満がフラストレーション。
いや何を言ってんだか、つまりは発散する相手をさっきから探してるんだけど。大ネズミの集団はもう飽きた、もっと食いでのある敵を所望する!
そう思っていたら、狼の遠吠えが夜のしじまに響き渡った。
呼応するように、別の場所から……おっと、案外近いのか? 狼は夜も出現するらしい、当然な気もするがまぁゲーム世界だから。ゲーム内の常識って、自分には未だに備わっていない。
それはこのゲームを進めて行く上で、俺にとっては大きなマイナスには違いない。それでも積極的に、ネットやベテランから情報を取得しようとも思わないけど。
あるが侭を受け入れる、それがゲームでも何でも長く楽しむコツだ。
敵の群れは多そうなので、武器を棍棒にチェンジして。闇夜の支配している森を、じっと眺めやって敵の出現する気配を探る。《Dビジョン》での視界に限っては、すこぶる順調。
敵はこちらの隙を窺っているのか、なかなか近寄って来ようとしない。森の茂みを揺らしながら、数匹が円を描くように包囲網を形成している。
いや、包囲されてるのは俺なんだけどね?
下手に動くとド壺に嵌まりそうだし、ここは敵の襲撃にカウンター作戦かな? そう思っていると、まず後方に動きが。数匹が時間差を置いて、藪の中から飛び出して来た。
慌てず迎え撃つ俺、まぁ予測の範囲内の行動だしね……棍棒で反撃しつつ、SPが貯まったら《撃ち上げ花火》でトドメのパターン。
もちろん数匹にたかられれば、範囲技の《ブン回し》の出番である。
そんな感じで、いつの間にやら敵の数は残り2匹に減って行き。向こうはかなり怖気付いた様子、再び遠巻きになって襲ってこようとしなくなった。
こちらは毛皮を大量ゲット出来たし、別に見逃してもいいんだけど。などと思っていたら、ファーがいきなり警告を発して来た。
言葉を喋れないので、自分の視界に強引に割って入るいつものやり方で。
慌てて周囲を見回すが、ソイツは上空から完全に奇襲を仕掛けて来た。大きな翼と真っ黒な肢体、こちらに《Dビジョン》が無ければやり難い相手だったろうけど。
先制を取られて慌てるも、何故か雑魚の狼たちはいつの間にか逃げ去っていたりして。つまりは数的には公平な1対1だ、敵は宙を拠点としているけど。
何と今夜2匹目のレア種、NMコウモリがまさかの横ヤリ出場である。
全くどこから湧いたんだ、こっちは夜の散歩を楽しんでいただけなのに。いやちょっと違うな、索敵を含んで楽しんでいたから良いのか?
しかし夜って凄いな、レア種の宝庫じゃないか!
などと感心している場合では無い、敵の強さは未知数なのだ。戦闘エリアは既に形成されてしまったので、逃げ出すにはかなり手間取るだろうし。
迎撃の一手なのだが、宙を飛ぶ敵はかなり厄介だ。
戦闘蜂との戦いも、真上を取られて割と酷かった。ただしアイツ等は、基本の移動は一定の高さを水平移動が基本だったりする訳で。
ところがこの蝙蝠NM、かなり飛び方がランダムで酷い。通常タイプの蝙蝠もそうだったかな、奴らは大抵群れていたので気が付きにくかったけど。
今いるコイツは、その数倍の大きさで大迫力。
実際、ファーでなくてもコボルト程度ならお持ち帰りされそう。おっと、ファーで思い出した……さっきのレア種は、このやんちゃな相棒に持って行かれたんだった!
今度こそ俺が止めを刺すぞ、なかなかの強敵だけど自傷なんか構ってられない。コイツもかなり強力な《吸血》と言う特殊技を備えていて、こちらのHPをゴリッと吸われた。
相手はそれで回復するので、闇魔法の《Dタッチ》と効能は一緒だな。
暗闇効果は付かないけど、それなりにきついのは確か。回復を繰り返されると、必死に削っている意味が無くなってしまう。しかもヒット&アウェイ、連続で殴れなくて苛つく。
大技を当てたいが、その後逃げられれば続けての追い込みが出来ない訳で。どうしようかなと思っていたら、向こうから先に仕掛けて来た。
《超音波》でのダメージ込みのかく乱、前後不覚でこちらの攻撃は空振りの憂き目に。
うおっと、本当に真っ直ぐに進めないし頭クラクラ状態だ。昨日の視ザル戦の失敗を踏まえて、ベルトのポッケに万能薬を入れてるんだけど使うべきか?
ただこの薬、未だに交換チケットでも貰えてないし、割と貴重な気がするんだよね。その場にしゃがみ込んで蝙蝠NMの襲撃に備えつつ。
反撃の機会を窺いながら、じっと自然回復を待ってみたりw
妖精が心配そうに近寄って来たが、俺は大丈夫と手の平で心配ないよの合図。闇夜の森の中に、拡がる緊張感と独特な蝙蝠の羽ばたきの音。
しゃがんでる俺にチャンスと思ったのか、真上からの襲撃がやって来た。その接近間際、今度は俺の手番とばかりに。一気に立ち上がって、今の間に交換した短槍を思い切り突き刺す。
身体の勢い込みで突きあげた一撃、見事に蝙蝠NMの脇の辺りの皮膜を突き破る。
結局は万能薬を使用しての、準備万端の待ち伏せ攻撃である。夜に適応したモンスター、しかもNMを舐めるような真似など出来やしないので。
激しく暴れる蝙蝠NMの、割と怖い感じの顔と牙の並んだ口元。単にその場の思い付きで、俺はその口の中にポーチから取り出した光の水晶玉を投げ入れる。
派手な炸裂音が、飛び立とうと踏ん張る蝙蝠NMの体内から響き渡って。
そのまま二度と飛び立つ事無く、手強かった暗闇のレア種は没と言う流れに。まぁ良かったな、手柄をファーに取られなかっただけでも上出来だ。
そしてスキル3Pとドロップ品を得たと言うアナウンス、その大半は素材系だけど。素材は闇蝙蝠の牙と皮膜、それから定番の魔石(小)と闇の水晶玉×4個。
最後に、用途不明の『飛竜の血』と言うアイテムが。
……この飛竜の血って、ひょっとしてあの西の断崖を飛んでた奴のだったりするのかな? それを気付かず吸えるとか、何か凄い生物だなぁ。
それはともかく、今夜2匹目のレア種討伐……魔法スキル取得にと使ったスキルPが、あっという間に戻って来た気がする。今度は何を伸ばそうか、ウキウキなのは置いといて。
この先の探索も、充分に用心した方が良さ気な雰囲気。
――そんな感じで気を引き締めて、夜の散歩を続けようか。




