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地球から追放されたけど、お土産付きで帰ってきます。  作者: 火曜日の風
2章 地球激闘編
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28話 新生活に向けて


 テナが生身の肉体を得てから数日が過ぎた。夜巳の介抱のおかげもあって、記憶の混濁から回復し、日本語で語れるようになった。最初は股間に違和感が・・・とか言っていたが、美憂の教育もあって、今では普通に女子として生活している。詳しく覗いたわけではないので、実際は分からないが・・・


 彼女たちの両親の墓参りも終え、ララに探させていた賃貸マンションも見つかった。

 と言う訳で只今、お別れの挨拶をしている。


「ほら、これがお前たちの新しい戸籍だ。覚えておけよ」


 瑠偉、美優、テナに戸籍謄本を渡すと、各自それに見入っている。


「あの、私の名前が・・・」

「テナ、すまんが日本人の名前にしてある。勝手に決めてすまんな」

「いえ、大事にします。ありがとうございます」


「テナさん、どんな名前なの?」

「待て美憂。俺が発表する」

「待って兼次ちゃん。名前を付けると、魔素を消費するよ? そして魂の絆が・・・」


刻夜 志摩(こくよ しま)と言う名だ」


 と、麻衣の発言を途中で遮り名前の発表を行った。横で麻衣が「兼次ちゃん・・・スルーレベル上がったね」と小声が聞こえたが、これもスルーしておく。


「ダーリン、その名前って・・・」

「覚えていたか夜巳。その昔、俺が結婚していた女の本名だ。もうこの世に居ないがな」


「そう言えば、結婚していたって言ってましたね。それで、その子孫は今も存続しているのですか?」

「ここだけの秘密にしておけよ? 実は、その子孫の末裔が中条だ」


「「「「えええええっ」」」」


 夜巳を含め、全員が一斉に声を上げた。テナは驚く皆を見て、それに驚いている。


「地球人の中でも、その超能力は飛び抜けているだろ? おかしいだろ、地球で一人だけそんな力があるなんて。そう思わないか?」

「そう言われると、そうですね・・・」


「ダーリン、それって事実なの?」

「ああ、本人に言うなよ? 正しく言えば、俺の本体の子孫じゃないぞ、肉体の子孫だ。

 最初の子に力を与えたから、それを代々継承しているんじゃないかな。合った時に直感的に、子孫と感じた」


 俺はポケットから腕輪を取り出す。この腕輪は、テレポートの力が込められた特殊な腕輪である。俺の本体の力で作り上げ、使用すると浮遊都市にたどり着く事が出来る。

 一応、麻衣・瑠偉・美憂は親友同士なので、会いたいときもあるだろう。と言う俺の些細な心遣いである。


「では君達にはこの腕輪を与えよう。これは俺が作った至極の逸品である。この腕輪に力を込めると、テレポートが発動し浮遊都市に、来る事が出来る」

「貴方に会う必要性が、全くありませんが?」


 そう、確かに必要性はないだろう。しかし、重要な部分はそこじゃないのだよ瑠偉よ。

 20年ぶりに戻った、若き肉体。それを活用する時が来たのである。


「俺じゃねーよ、麻衣と友達だろ? 冷たいぞ瑠偉、1年も会わないつもりか?」

「そうでしたね。忘れてました」

「瑠偉ちゃん、ひどいよ・・・」

「冗談ですよ」


「ちなみに、テレポートは2人まで同時に、連れて来れるぞ」

「つまり、私や瑠偉の連れてきた女子高生と、あわよくば仲良くなりたい。と言う訳だな」


 成長したな美憂よ、俺の本心を読み取るとは。会った時は短髪でさらに無口で胸もないから、本当に女子か? と思っていたが、一応女子らしい勘は働くようだな。

 中条の経営する高校は、エリート校とか言ってたからな。知的美少女と仲良くなれる、と思うと今から楽しみだな、ふふふ・・・


「否定しないのが、ホント…清々しいですね。エロ目になってるし・・・」

「瑠偉よ、綺麗どころを頼むぞ。胸はモリモリでな?

 この浮遊都市の事だが、俺の本体で展開した強力なシールドで、テレポートでも来る事が出来ない。その腕輪を使った時だけ、ここに来る事が出来る。つまり君たちは、地上で唯一ここに来れる存在だ、変な事件に巻き込まれるなよ?」


「兼次ちゃん・・・盛大にフラグが立ったけど・・・」

「そういえば、前に東京に核ミサイルとか言ってましたね。何か嫌な予感が・・・」

「心配性だな瑠偉? 何も起きねーよ」


 側に控えているララに合図を送る。部屋のドアが開き、3体のメイドロボ現れる。このロボットは、汎用ロボットをベースにして、誰かに見られても怪しまれない様に、黒髪黒目仕様に変更してある。これは極秘だが、盗難された時の為に、自爆機能が備わっている。


 外見のカスタマイズを麻衣に丸投げしてしまったので、男の娘にメイド服という可笑しな見た目になっている。声の方も少年ボイス仕様である。

 嬉しそうな顔の美憂に、微妙な目線を向ける瑠偉。そして、まだ肉体に慣れてないのか、感情を表に出せないのか、テナは無表情で見つめていた。


「これは? 兼次の趣味なの?」

「俺じゃないな・・・麻衣特製のメイドロボだ、君たちの生活をサポートする。着ている服は、各自で変更してくれて構わない」


 嫌悪な表情を俺に見せながら、少年メイドロボに近づく瑠偉、手を出し顔に触れると笑顔に変化した。美憂もメイドロボに近づき、可愛い可愛いを連呼しながら、頭を撫でている。

 麻衣の親友って、似た者同士なのか?


 とろけ顔でメイドロボを愛撫している瑠偉が、何かを思い出いした様に振り返り、俺を睨みつけてきた。


「まさか・・・盗聴、盗撮機能とか付いてないでしょうね?」

「ついてねーよ! そこまで飢えてないしな!」


 瑠偉の発言を聞いて、振り返って俺を見る美優も、疑いの目を向けている。


「ほんとうかなぁー?」

「ご安心ください、美憂様。プライベート部分には干渉いたしません」

「まぁ、ララさんがそう言うなら・・・」


 人工知能よりも劣る、俺の信用・・・なんだろうな?


「さあ、遊んでないでマンションに行くぞ」


 マンションまでテレポートするために、手を出し彼女達に触れるよう促す。メイドロボにもテレポート機能は備わっているが、この浮遊都市には俺が張った、テレポート阻害効果がある。

 俺以外出入りできないので、俺がメイドロボも一緒に連れて行くしかない。


「それでは麻衣、しっかり反省してくださいね?」

「気にするな、たまに遊びに来るからな」

「うん、またね」


 夜巳と麻衣、そしてララを残しマンションに向けて旅立った。

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