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地球から追放されたけど、お土産付きで帰ってきます。  作者: 火曜日の風
2章 地球激闘編
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27話 着せ替え人形


 熱海の露天温泉に、肩まで浸かってくつろいでいる。周りの日本の景色を見ていると、地球に戻ってきたという実感が、やっと感じられた。放射能汚染により立ち入り禁止区域になっているせいか、周りには人の気配はおろか、動物の気配すら感じられない。


「あの~・・・兼次ちゃん?」

「ああ、話だったな。なんだ?」


 対面にタオルで隠しながら浸かっている麻衣。二つの脂肪の塊が、お湯に浮かぼうとしているのを、腕で押さえている状態だ。隠す面積が大きいため、タオルの横から膨らみがはみ出ている。


「体が何かおかしんだけど、何かやったよね? あと、デリケートゾーンの毛が無いけど」

「ムダ毛処理がめんどいの! と言ってたろ? だから永久脱毛した。問題ないだろ? 俺以外見ないし、それに欧米では全処理が普通だぞ?」


「欧米基準って、私日本人だし・・・あとは、体に何か細工したでしょ?」

「垂れないように、胸部と尻周りの筋肉を強化したな。欧米人モデル並みで、美しい姿になったぞ。俺の知っている、日本人グラビアモデルの中でも、トップクラスと言っていい」


「グラドルとか、興味ないけど・・・」と、麻衣は溜息をすると、目を閉じ後ろの岩に頭を載せた。しばらく麻衣を見ていたが、諦めたのか特に不満はないように見える、心の中は読めないので、本心はどう思っているか分からないが。


「お詫びと言ってはなんだが、ナノマシンの服を進呈しよう」


 ゆっくりと上に向いている頭を戻し、俺に顔を向け目を開ける麻衣。


「何かをエッチな要求する・・・そんな気がする」

「何もしねーよ、素直に喜べよ」


 疑心暗鬼の目で俺を見る麻衣、そんな目で見られると、余計に何かしたくなる。

 そんなところにララが到着した、絶妙のタイミングだ。


「お待たせしました、マスター」


 ララの手に2個の豆腐大の金属塊が載っていた。まずは麻衣で試すか・・・


「どうやって着替えるんだ?」

「スマホにアプリをインストールしておきました。それで操作してください」


 スマホで操作か、無くしたら大変だな。

 麻衣の脱いだ服の塊から、スマホを力で浮かせ引き寄せる。そして、スマホを手に取り電源を入れる。麻衣が「ちょと、ちょと」と、タオルで器用に隠しながら、俺に近づいてきた。


「ララ、ロックナンバーは?」

「8539です。電話番号の下4桁ですね」

「ちょっと、まったーー! ダメー!」


 番号を聞いて焦ったのか、麻衣は素早く俺からスマホを取ろうと、手を俺に向けて伸ばしてきた。俺は、すかさずテレポートで距離をとる。麻衣の体を力で固定し、温泉から出して立たせた。


 スマホのロックを解除し、画面を見るとゲームのアイコンが大量に出てきた。画面を切り替えてみても、見渡す限りゲームのアイコンが並んでいる。


「ゲーム多すぎ! ララ、アプリはどこに?」

「起動させます」


 画面に操作アプリが表示される、直感的に操作しやすい画面だ、まずは下着からだな。

 適当に選択し決定すると、ララの手にあった金属が一瞬に粉々になる。その粉は、麻衣に向かって行き、体を回り始めた。その粉上の物体の一部が、胸部と腰に向かって付着していった。

 徐々に色好き、粉上の物が布の様な物に置き換わっていく。

 麻衣を拘束していた力を解き、使用感を聞いてみることにする。


「麻衣、サイズ感はどうだ?」


 麻衣は腕を回したり、布の端を引っ張りして、微妙な位置を調整している。その時も、使われなかったナノマシンは、麻衣の周りを回っていた。


「特に問題ないよ、装着感はピッタリ・・・と言うか、自分で試してよ!」

「マスター。最適を保つため、常にデータ収集を行い、サイズを微調整しております」


 サイズ調整もお任せだと、太った時とか気づかないかもしれないな、注意が必要だ。

 まずは、定番のGパンとTシャツだな、体に密着した感じのにしよう。


「おお~、エロ過ぎだな」

「だから、嫌なの!」


 これはどうやって、脱いだり着たりするのだろう? と考えてしまうくらいの密着レベルだ。

 胸とお尻は、下着のラインがクッキリと浮き出ている。

 では次は、セーラ服だな。


「かわいいぞ麻衣」

「ありがとう・・・いや、だから自分で試してよ」


 更に詳しく画面を、スクロースしながら確認していくと・・・

 これは・・・往年のボディコンの服だ、こんな物まであるのか!


「マスター。全てのデータを網羅しております、完璧です」

「でかしたぞララ。では装着っと」


 セーラ服が一瞬にして粉々になり、再び体に密着を始めた。

 横にスリットの入った、黒のエナメル光沢のボディコン服が現れた。


「これは何?」と麻衣は、右手で短く太ももに張り付いているスカートを、端を引っ張りながら、左腕で強調された胸の部分を隠している。


「昭和の全盛(バブル)期に流行った、美女が着る服だ」

「そう・・・てか、これ美女じゃなくて、痴女じゃないかな?」


 更に画面を切り替えていると、バニーガールの衣装が現れた。

 こんな物まで・・・では、装着っと。

 ボディコンの服が一瞬で砕け、足には黒の網タイツ、頭には白のうさ耳ヘアバンド、あとは肩掛けの部分がない、レザー調のワンピース姿になった。当然股の部分は、きわどい角度だ。


「ふむ・・・これでいいか」

「よくないわー! 返してよー自分でやるから」


 麻衣は手を前に出して、スマホを取ろう動き出す。当然俺は、テレポートで回避する。


「ひきょうものー!」

「わかったよ、後は自分でやれ」


 スマホを投げ麻衣に渡す。あとは俺の服だな・・・


「ララ、俺の服を頼む。お任せで」

「了解しました。誰得? と言うやつですね」


 ちょっと言っている意味が解らないな・・・漫画の影響でも受けたのか?

 俺の着替えが終わると、麻衣も着替えが終わったようだ。

 いつも着ていた前方の短い、フィッシュテールスカートである。上着は大きな胸を隠すような、ダボダボの上着である。


「またそのスカートか? よほど太ももに自信があるんだな」

「まあね・・・・太ももに視線を集め、胸への視線を回避しているのよ」

「なるほど、そんな意味があったのか。では帰るぞ」


 麻衣に近づき、剥き出しになっている太ももに触れ、テレポートの準備をする。


「あの~、普通に手でよくない? てか、スリスリしないで」

「手を繋ぐのは、恋人同士だけだろ?」


「その理論、何時の時代よ! ・・・やっぱり、アゴでお願いします」

「ったく、次からな」


 俺達は、熱海を後にし浮遊都市に戻った。


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