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地球から追放されたけど、お土産付きで帰ってきます。  作者: 火曜日の風
2章 地球激闘編
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25話 ファンですが何か?


 浮遊島の下部、海の上にやってきた。海水をベースにして体を作ろうと思う。

 体の内部にある本体を表に出し、海水を取り込んで素粒子レベルで分解し蓄える。さらに3人の髪の毛を取り込み、DNA構造データを俺の本体に記録する。


 そのデータを元に体つくりを開始する。体の全体像をイメージしながら、体の中央部分から構築を開始する。血液を作りつつ心臓を含む内臓から作りこみ、そこから骨格を作り筋肉を盛り付けていく。そして脳を作りこみ、頭蓋骨で覆う。あとは全身を皮膚で覆うだけだ。


 女性らいい体つきをイメージし、かつ顔の形もイメージし皮下脂肪を盛り付けながら、皮膚で覆い体は完成した。


 あとは髪を伸ばして完成だ。


「これは、広〇すず・・・にそっくりだな」


 まずかったかな・・・俺の理想の女性像を意識しすぎたかな?

 身長は160ぐらい、バストはBぐらいがちょうどいい、髪はアゴの付近まであるショートヘアにした。

 目は麻衣のデータから、二重ので大きめの目だ。その上の眉毛は、頭蓋骨の骨格に沿って、細すぎず太すぎずの、ちょうどいい感じにした。

 鼻と唇は瑠偉のデータから、顔の輪郭は美憂のデータのはずだが・・・見れば見るほど、広〇すずにそっくりである。


「まぁ、いいか・・・本人は60歳に近いだろうし、問題はないだろう」


 その体を抱きしめ部屋に戻る準備をする。全裸の広〇すずを抱いている、と考えると激しく気持ちが昂る、そんな欲情を抑えつつ部屋へテレポートした。

 部屋に戻ってくると、全裸の広〇すず似の女性に集まる。


「「「広瀬〇ず!」」」


 と、3人の発言が揃う、やっぱり分かってしまったようだ。


「ファンなんだよ! 文句ある?」

「私たちの面影が、一切感じられないけど? 私達のDNAデータは意味があったの?」

「瑠偉よ、DNAデータは確かに参考にしたぞ? よく見ろ、部分部分似ているだろ?」


 3人は俺の近くまで来て、顔をじっくり観察している。全裸の女性を抱いている件については、誰も突っ込まないようだ。


「よし、ではテナ。魂を出してくれ」


 と言ったものの、テナの体のどこに魂が収納されているか不明である。テナは「わかりました。お願いします」と言うと、立ち上がり服を脱ぎ始めた。俺は1回見ているから分かっているが、瑠偉達は初めて見るはずだ。


 テナが服を脱ぎ終えると、規制を受けた少年誌の様に、重要な部分が付いていない体があらわになった。

 脱ぎ終えた服は、一瞬にして微細な粒子状になり、やがて一点に集まり豆腐ほどの大きさの、四角い金属塊が床に現れた。その金属塊は浮き上がると、俺の側を通過しララの手に収まった。


「生身の体では直接制御できないので、ナノマシンの服は回収させて頂きます」

「後でナノマシンの服を、麻衣に装着出来る様にしておいてくれ」


 と、俺は麻衣に聞かれない様にララに近づき小声で話しかける。振り返って3人を見たが、テナの体をじっくり観察していて、俺の発言には気づいていないみたいだ。


「本当にロボットなんですね」

「ああ、何もついてないな」

「おお~、ロボット美少女キタコレ!」


 3人はテナを見ながら、各々の感想を述べていると、テナの胸部中央に黒い縦筋が現れた。その筋の上下に横方向にも現れた、ちょうどH鋼を横に見た感じである。

 中央の線が太くなり、観音開きに胸部が開いていった。


 四角く開いた中身の中央に、透明の円筒状容器が収められている。その容器の中央は、薄く青白く光っている光球があった。


 魂が容器に収められている、周りは見たこともない機械部品が敷き詰められている。

 魂を摘出し収納できる科学力、その領域までたどり着いた科学力。

 その技術を俺がすべて握っていると思うと、胸が熱くなるな。


 3人は、いつの間か俺を遮りテナの前で顔を寄せ合い、開いた胸部の近くで観察していた。膝に手を置き中腰姿勢で、俺に向けてお尻を突き出している状態だ。

 なんだこれは・・・<どうぞ、お尻を触ってください> なのか?


「邪魔だよ! 尻を俺に向けるとは、触っていいんだな?」


 と、結構大きな声で言ったつもりだったが、3人の反応がない。始めてみるロボットの内部、それを見て我を忘れているのだろうか。


 抱きかかえているテナになる体を、床に寝かせて3人に近寄る。そして、中央にいる麻衣の尻の前で、床に胡坐をかき座った。

 麻衣のスカートの中に両手を入れる、更にショーツの左右の下部から手を入れ、直に両尻を鷲づかみにした。


「ひぃやぁぁぁーーーー!」


 麻衣は大きな奇声と共に、中腰姿勢の体を伸ばし直立した。両脇に居た美憂と瑠偉は、麻衣の奇声を聞き、体をビクンとさせると、2人は素早く振り返り俺を見下した。


「邪魔だからな?」

「す、すまん」


 素直に謝る美憂と、<っち>と言う舌打ちが聞こえてきそうな態度の瑠偉。

 そして麻衣の尻から手を放すと、何事もなかったように、麻衣は再び中腰姿勢でテナの内部を観察し始めた。


「だから~、邪魔なんだよ!」


 俺は立ち上がり更に麻衣に近寄ると、両脇に居る美憂と瑠偉は俺から一斉に離れた。麻衣の尻に俺の体を密着させ、背後から胸をつかみ、力を入れ上体を強制的に起こす。


「うひゃぁぁぁー」

「作業をするから、どいてくれ。終わってから、じっくり見ろ」

「わかったから、離してよ」


 麻衣を手で押しのけテナの前に立ち、開いた胸部にある魂の入っている容器を観察する。その容器は切れ目も蓋もなく、完全な筒状になっていた。

 魂を保管できる容器か・・・・今後の為に、構造データを記録しておくか。


 俺は人差し指を容器に近づけ、本体を指先から出す。陰影のない完全な黒色の本体が、容器を包み込む。容器を瞬時に分解させ、俺の本体に取り込んだ。


「さすがマスターですね。その容器の直接的破壊は、ほぼ不可能なんです。それを完全に破壊するとは」


 俺の右後方に居るララが話かけてきた、振り返るとララの顔が間近にあった。


「顔、ちけーよ・・・・データ取りか?」

「残念ですが、測定不能でした」


 残念なのか? いづれ俺の本体データが解析される日が来るのだろうか?

 それでは魂の定着を行なうとしよう。

 目の前にある青白い光球を、俺の手に引き寄せる。そして床に寝かせてある体に向けて、魂を入れ込んだ。魂のエネルギーを薄く延ばし、体全体にいきわたった所で体に定着させた。

 あとは魂の記録回路を脳に繋いで完成した。


「完成だな。美憂よ悪いが、君の持っている服を着せてくれ」

「ああ、わかった」


 俺はテナの生身の体を浮かせベッドに寝かせた。

 あとは目覚めるのを待つだけだ。


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