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地球から追放されたけど、お土産付きで帰ってきます。  作者: 火曜日の風
1章 宇宙遭難編
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16話 KamiyoHachiyo その3


20xx年x月x日 「東京特だねスポーツ」より

_____________________


航空機行方不明から1カ月、空飛ぶ人間関与か?

太平洋上空で姿を消した日、人間が2名空に浮かんでいたという情報を入手し我々は現地に取材に行った。


目撃者Aさん:浜辺で双眼鏡を使って鳥を見てたんだ。そうすたら鳥の群れの向こう側に人の姿をした物体が浮かんでいたんだ。見間違いだと思い側にいたBさんにもみてもらったら、やっぱり人の姿をしていたよ・・・

……

_____________________


 とある港の倉庫内事務所にてソファーに腰かける2人の男女、足を組み新聞の1面記事を眺めている。


「中条さん、その新聞好きなの?」


 中条の対に座っていた女性は中条にそう話しかけると中条は新聞を4つに折り畳み目の前の机に投げ捨てた。


「嘘と分かっていても読みたくなる、そんな魅力のある物だよ。

 さて夜巳(よみ)、呼んだのは何時もの事だ。


 視てもらおう、未来は変わったか?」


 中条から夜巳と呼ばれた女性は、机に置いてある電気ポットからマグカップにお湯を注ぎインスタントコーヒーを作っている。


「変わってないよ」

「原因は奴ではないか、まぁもともと邪魔だったから問題はないが。

 ・・・あぁすまんな」


 話している途中で中条は夜巳からマグカップを受け取る、夜巳はマグカップを両手で持ち冷ましながら飲んでいる、そのまま大きく息を吐き中条に話しかけた。


「中条さん、あの事はいつまで黙っているの? せっかく目標を達成してもあれでは・・・」

「夜巳よ、一部の幹部メンバーには話してある、彼らにはその原因を特定するのに今動いてもらっているところだ」


 夜巳は中条の声を聴き終わると同時にソファーに掛けなおし深く座り目を閉じた。

 そんな姿を中条はしばらく見つめていた。


「なあ夜巳、本当によかったのか? 奴は夫じゃなかったのか?」

「全ての可能性の未来を見て、兼次様にはその出来事その知識が必要なのです。

 今は言えませんがいずれ分かります」


 夜巳は目を閉じながら中条の問いに答える、少しの間を開け夜巳は眠くなりそうな声で再び中条に話かけた。


「ありがとう中条さん、今まで楽しかったよ・・・・・もう疲れたから寝るね」

「おい夜巳、ここで寝るな・・・・送っていくから起きろ」


 中条は立ち上がろうと手をソファーに付けたその時、たくさんの銃声が事務所の中を駆け巡ると同時に事務所の窓ガラスがすべて割れた。


 ドンドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンドンッ、ドンッ、ドンッ……

 銃声に交じり男の大きな声が同時に聞こえる。


「はぁ、はっ、ははぁ、ハチの巣になっちまえ!」


 最初の銃声が聞こえた時、中条は夜巳を素早く庇おうとしたが最初の銃弾がすでに夜巳の体に数発着弾していた。


「中条さん、ごめん、この襲撃は知ってた・・・あと、あれは…46年後に・・れ・ます・・・その間に沢山の命を救ってね、最後に・・ひ」


 中条は夜巳に近づき銃弾がきている方向に背中向け夜巳を庇う。


「夜巳喋るな、すぐ手当てをする」

「もういいの・・・最後に言わせて・・・人の未来を知ってるって結構辛いんだよ? だい・・じょう・・ぶ・・また、あえる・・・から」


 そう言うと夜巳は静かに目を閉じた。

 その間にも銃弾は部屋に休む間もなく降り注いでいた、しかし銃弾は中条の周辺で力なく止まり次々と床に落下していた。


 ドンドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンドンッ、ドンッ、ドンッ……


「あ、兄貴もういいじゃないか? もうすぐ弾切れだ」

「あ、ああ、見に行こう、行くぞ」


 兄貴と呼ばれた男性はそう言うと銃を構えながら事務所の扉に向かって歩き始める、その横を小型のサブマシンガンを構えながら男がついて行く。


 その時、静かに音もなくドアが開く中からゆっくりと中条が出て来た、中条は襲撃者に向かってゆっくりと歩いている。


「2人か・・・どちらが上だ?」


 中条が目の前の2人に問いかける。


 2人は銃を中条に向けたまま「あ、兄貴どうします?」と、片方の男がもう一人に話しかけたその時、その男は突然両膝が折れ、そのままうつぶせに倒れた。


 兄貴と呼ばれていた男が足で倒れた男の体を揺すって「おい、どうした?」だが、体は動かず返事もなかった。


「おい、何をした? おい答えろ!」


 そう言って男は中条に銃を突きつける、そんな彼は肩を上下に揺らしている、かなり呼吸が乱れているようだ。

 男は「うぉぉぉぉぉ!」と叫びながら引き金を中条に向かって引く。


 ドンッ、ドンッ


 その2発の銃弾は中条の手前で停止し、そして落下した。

 銃を撃った男の手は震えていた。


「なんだよお前、なんなんだよ!」

『彩音、来い』


 中条の掛け声と共に何もない場所から声が聞こえた。


「呼んだ? 中条」


 声のした何もない場所に、彩音が突然姿を現した。


「お前の失態だぞ、取り逃がした人間か? ここの場所も知られたようだ」

「ん~、見たことないかな・・・まぁ本部に連れて帰って詳しく聞くね」


 彩音は2人を見ながら嬉しそうにしている。


「おい、お前ら何を言っている、俺の話をき・・・」


 銃を突き付けていた男は最後まで発言することなく、突然うつぶせに倒れた。


「眠らせた。彩音よ、あまり激しい拷問はするなよ? あと、この倉庫は燃やして廃棄する」

「わかった。でも、拷問はやめないよ?」


 そう言うと彩音は倒れて眠っている男のところに行き首に手をかけた。


「もう一度言うが、ほどほどにしとけよ?」


「じゃあね!」と彩音が言うと、彩音とその男は姿を消した。

 彩音が消えたと同時に中条の周りに火の塊が十数個出現した。その火は四方に飛び散る、その火は壁に着弾し急速な勢いで燃え広がっていった。


「夜巳、すまないがここが君の墓場だ」


 中条はそう言うと、その姿を消した。



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