表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球から追放されたけど、お土産付きで帰ってきます。  作者: 火曜日の風
1章 宇宙遭難編
12/80

11話 焚き木の淡い光


 麻衣は、ツインテールの髪留めを外してヘアブラシで手入れをしている。


「麻衣は髪留めを外し乱れた髪を梳いている。

 無造作に膨れ上がった髪は、梳くと同時に体積が小さくなり、

 綺麗に揃った栗色の髪は、焚き木の淡い光を綺麗に反射していた」


 と麻衣は突然語り始めた、瑠偉と美憂をちらりと見るが麻衣の言葉に特に反応する様子もなく、そのまま静寂な時間が流れた。

 これは前にあったナレーションと言うやつか、瑠偉と美憂の反応から見て触れない方がいいようだな、別の話題を切り出そう。


「麻衣、髪留めを外した状態のが可愛いのになぜわざわざツインテールにしてるんだ?」

「男受けがいいからですよぉ惚れちゃった? あいにく先約があるから駄目ですよ」


「その性格で彼氏がいたのか、驚きだな」

「犬耳のイケメンさんですよー、すっごい忠実で優しいのよ、えへへへへぇ・・」


 麻衣はそう言うと若干上向きになり目を閉じ、口から何やら可笑しな声を発していた、瑠偉と美憂を見るが特に気にしないと言った態度だ。


 なるほど、そっとしておけと言う事か、そして最後に目の合った美憂が俺に話しかけてきた。


「織田さん、麻衣みたいのが好みなの?」

「まぁ、見た目だけは、見た目だけだぞ?」


 そうだ、その見た目だその強烈に膨らんだ胸が最高だ、とは口が裂けても言えないが顔もかなりの好みなのは事実だ。


「ふ~ん、まぁ麻衣は見た目だけは、可愛いからな」

「で、その麻衣の状態はどうなっている?」


「今、別の世界に旅立ったから暫らく帰ってこないぞ?」

「そ、そうか・・・」


 なるほど自分の世界に入ったというやつか、今は空想の中で犬耳のイケメンとイチャイチャしてるわけだな。


「美憂は髪梳かないのか、ボサボサだぞ?」

「髪質硬いからお湯じゃないと真っすぐにならないんだ、まあ男子の目線なんで気にしてないから朝はいつもこんな感じ、それで織田さん悪かった疑って、もう信じてるから機嫌直してくれ」


 男性ホルモン多めの体育会系少女か、髪質が固いのは俺と同じだなあれは朝苦労する、そしてあの件はもう気にしてない、そんなに心の狭い人間じゃないからな。


「いいぜ別に怒ってないし、昨日の俺もちょっとやり過ぎたしな」

「そうだな、あのまま死ぬかと思ったよ、今度は気絶しないように鍛えておくよ」

「ま、まぁ頑張ってくれ・・・」


 どうやって鍛えるかは謎だが時間がたってから克服したか試してみよう。


「兼次、そろそろ本題に入りましょうか」

「そうだな」


 美憂との話の終わりかけに瑠偉がここしかないというタイミングで話題を変えてきた。


「それで、麻衣はあのままでいいのか?」

「大丈夫です何時もの事ですから、しばらく放置で構いません」


 放置なのか・・・結構大事な話をするんだけど起こしてやった方がいいと思う、性格は若干変な方向に傾いているが、その何気ない一言が結構ヒントになる時もある。


「冷たいな瑠偉、せめてナレーションに突っ込み入れてやれよ」

「さあ兼次、早く帰還の案を」


 俺の話も華麗に流したな、よっぽど帰りたいんだな。

 まぁ、当然か・・・こんな何もない場所で死ぬわけにはいかないからな。

 これをネタに肉体関係を迫るってのもありだが、状況が状況だしな。

 今後共にかなり長い付き合いになりそうと思う、ここは極々自然に関係に持ち込むのがベストな選択だろう、理想を言えば惚れさせてしまうのがいい。


「最初に断っておくが、地球に帰れない可能性は残ってるからな? あくまで、現状の打開案だ。その前に何かいい案があるか美憂と麻衣の意見を聞いておこう」


 そう言って美憂の方向を向き問いかける「美憂、何かあるか?」


「え? そうだな・・・気合?」


 突然振られて困惑するのは解るが、絞り出した答えが気合って、気合では何ともならないだろう、もっと現実を見てほしいな。


「はい、はーい!」


 いつの間にか復帰した麻衣が右手を上げ強く何かを言いたげな表情で俺を見ている、今までの発言からとてもいい案があるとは思えないが、一応聞いておこう無視するのも悪いし今後の関係にも影響するからな。


「じゃあ麻衣、聞いてやろう言うがいい」

「異世界にテレポートよ! そこで犬耳のイケメン様と魔王討伐に行って英雄になるのよ! うはぁぁっぁ・・・エクスカリバーをふふふふ」


 若干期待したがくだらない案だったな、まず異世界は存在しなし魔法もない、言葉を発すれば現象が起きるとか漫画の世界だけにしてほしい。

 そのまま麻衣を見ていたが先ほどと同様に自分の世界に入っていったようだった。


「すまない、なにも思い浮かばなかった」

「いいよ美憂、一応全員の意見を聞いていた方が後々トラブルも少ないしな」


「予想の範囲内ですね、さあ兼次、貴方の番ですよ」


 瑠偉の言う通り無駄な時間だったな、意見を求めた俺が馬鹿らしくなってきた。


「すこし、長くなるんで口を挟まず聞いてくれ」


 膝に肘を置き指を組む、アゴを近くに寄せ俺は話し始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ