表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/150

果たすべき約束

ムガル帝国 Suratgarhスーラトガル


ほどなくして、おかわりのコーヒーがやってきた。


「それじゃあ、続きを話そうか…。」


મોહનદાસ કરમચંદ ગાંધી(モーハンダース・カラムチャンド・ガーンディー)はそう言うと話をはじめた。

のぼるは再び彼の声に耳を傾けた。


「…さっきの質問の答えがまだだったね。人類の歴史についての話だがあっているといえばあっているかもしれない…。」

「それって…人類の歴史になぞられえていない部分もあるんですか?」

「勿論、君が手にしている銃がその答えだ…。」


ガンディーは、そう言ったが昇にはあまりしっくり来なかった。


「銃ですか?」

「ああ、そうだ…。」

「その…私は銃に詳しくはないので何がおかしいのかはわかりません。武器の名前は変わっていませんし…魔法によって強化されているというところですか?」

「まあ…それを含めて私が言いたいのは人類の歴史をなぞるとその時の失敗した戦術、成功した戦術も犠牲の上で学んでいくべきものだったが私達はそうしなかった。優秀な武器を集めて、失敗作や問題のあった兵器は技術の進捗に応じて断片的に開示することにした。今、君が持っている武器はそうしたものだった…。」

「…人類の歴史では武器の欠陥や失敗も必要だということですか?」

「ああ、その通りだ。歴史をなぞると言う事はその時々にその場にあった武器が手に取られることになる。だが、この世界では生産性に優れた物を選んでいる。あくまでも、技術水準に差をつけない為でもあるからね。」

「そうですか…でも、なぜそんなことをするんですか?」


昇がそう言うとガンディーはコーヒーカップに手を伸ばし、一口飲んだ。


「私達はこの世界の神とある約束をした。けれど、君にそれを言う事はできない。…すまない、もし君が知ってしまったらこの世界から君を含めた人々は帰れなくなる。」

「どういうことですか!」


昇は声を荒げて立ち上がった。

しかし、ガンディーは落ち着いており…昇は再びソファに腰かけた。


「…帰れなくなるってどういうことですか?もう…3か月以上もこの世界に居るのに…。」

「ああ、すまない…だから、その約束については話すことができない。」

「…この事を桜達は知っていたんですか?」

「彼女達も最初から知っていた…だが、どうかそのことを責めないで欲しい。わたしは君に伝えるのが役目だった。他の人達もこのことについて説明し始めている。」

「それじゃあ…いつになったらこの世界から帰れるんですか?」

「…まだ、わからない。だが、それは戦うことに関係している。」

「戦い続けなくちゃいけないんですか…それまで…。」

「ああ、そうだ…我々は君の味方で戦場と武器を提供するのが仕事でもある。そのため、こうして話し合うことも必要だと考えている。」

「…。」

「君は戦うのが嫌かい?」

「…そうかもしれません。」

「そうか…そこで一つ提案があるんだ?」

「なんですか?」


昇は、コーヒーを飲みたかったがガンディーが話している間に飲み干してしまい。

既にコーヒーカップは空だった。

ガンディーの表情が昇には読み取れなかったが、怒ってはいない声色だった。


「約束の為に、君の魂を貸してほしい。」


そう、ガンディーは言った。

昇は、返答に困ってしまった。

それは、死んでくれと言われているようなものだと思ったが、そのことを察したガンディーは言葉を続けた。


「変な言い方だと思うが、たぶん…君にとってもいいかもしれない。あくまでも約束を達成するまで君に眠ってもらうだけだ。そうすれば、君はこの世界のことを何もかも忘れ、元の世界に帰れる。」


魅力的な話しかもしれないと思った。

しかし、怖くもある。

ジャンヌ、カチューシャ、桜には鍛えてもらったことと、ずっと約束のことについて話さなかったことが気に喰わないと思う。

また、C分隊の隊員のことも気にはなるし、サレーナ達のことも気になっていた。

だが、何よりこんな作り物の身体の自分がさらに魂まで失う…本当に死ぬことを考えると怖くはあるが…死体や敵の姿におびえなくて済むことを考えると諦めて、その考えに乗るのがいいかもしれないと思ったが、昇は違う答えを出した。


「嫌です。」


そう、昇は口に出した。


「…そうか。」


昇が考えを出すまで待っていたガンディーは冷静だったが、昇は緊張していて不安などが入り混じっており、後悔し始めていた。


「いつまでそうすることができるから…気が変わったからそのことを考えたまま夢を見るといい。」


ガンディーがそう言うと昇は驚いた。


「魂を貸し出した方が約束を果たすのが楽になったりするんじゃないですか?」

「…そんなことはないんだ。だが、そうなると君はより多くの人と死体を見ることにはなる。…今まで以上にね。そして、物凄い痛みに襲われることもあるだろう。ただこれだけは約束する…私達は君を見捨てはしない…だから、協力してほしい。この世界は、元居た世界より心も身体の傷も癒しやすい世界である。そして、君が途中で投げ出しても君を必ず元の世界に返してみせる。」

「…わかりました。…帰ることはできるんですよね?」

「ああ、それは保証できる。」

「…そうですか…信じますよ。その言葉…。」


昇は、少し落ち込んだ。

いつかは帰れるかもしれない…ただ、電車に揺られているもので本当に眠っていてもついてしまうようだった。

覚悟もしていなかったし、何より軽率な行動だともわかっていた。

元の世界に帰ってどうこうしようとは思わない。

だけど、この世界に居たくもないような気がしていた。

この世界に存在していない自分の本当の身体が元の世界にあるべきことが正しいことなのかもしれない。

いずれにしろ、自分は無力であるという気持ちが湧いてきた。


「そのガンジーさん…。」

「ああ、なんだい…。」

「この世界は戦争する為にあるんですか?」

「…そうだ…それと銃が物語っている物が一つある。私達は技術を早めることができた…君がM4A1を手にしていてもおかしくないほどに…それ以上にでも…私達は能力を持ち、死んだ身になり亡霊のような存在だがそんな私達を倒せないようにする方法がある。…この世界に存在している魔法と言う存在だ。約束を果たす前にこの世界の人類がそれに気がつくかもしれない。技術を提供することで権威を集めて政府支配してきた私達が現在の神のような存在から殺すべき対象に変わる『革命』が必ず起きる。その革命の時も残念ながら迫りつつある。」

「…もう一度、最初からやり直せないんですか?」

「そうした場合、今度は私達のような魂の存在がやって来た世界と君達が居た元の世界もろとも崩壊する危険性がある。…そうなった場合…君は元の世界に帰れないどころかそのまま死を迎える。」

「もう…どうすることもできないんですか?」

「この世界は死後の世界ではない。魂も肉体も元の世界に還らなければならない。この世界はある一人の願いを叶える為に作られたが彼は二度とこの世界に戻ることはなかった。新しく作られた世界は時空を歪ませ、無数の世界から魂を運び込んだ。この世界の神は自身を作り出した者を待ち、この世界を停止させたが何億年経っても誰も来ることもなく魂となった人々を元の世界に還そうとしてもできず、結果として持っていた最初の世界から幾人かを取り出し、魂達と『契約』をした。その契約をした魂がわたしや、ジャンヌと言った人々だった。…そして、その契約を果たすためのこの世界の約束には『生者』が必要だった。その生者が君達だ。そして、予測された日に君達は他の世界からこの世界にやって来た。今は、君の身体や君の友達が楔となってこの世界を留めている。だから…もう約束を果たすしかない。」


ガンディーは静かにそう言った。

だが、彼はいくつか噓もついていた。

用語解説

・契約、約束

この世界が作られた時、この世界の製作者にはある目的があった。

契約はこの世界を維持していた世界と共に作られた神とガンディーなどの他の世界からの魂達が目的の中からこの世界の役割を果たす為の目的から取り出した要素である

約束は、契約を果たす為の行うべきことが決められたリストである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ