表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本政府所属?異世界航空自衛隊です。  作者: 葵流星
帝国を与えられし王
66/150

部分月食

用語解説

・スライム

創世記において存在していたもの

乾燥に弱いが、核によるプログラムの書き込みにより制御が可能であり高所作業などの一部の事業にも使われる。


・MMG薬品

マスタードガスを生成する物質のこと。

マスタードガスの生成はスライムの体内で行われる。


・ムガル帝国空港

現在のインディラ・ガンディー国際空港の位置にある空港


・タージマハル

観光地として有名

ムガル帝国Agraアーグラ空軍基地

※Pandit Deen Dayal Upadhyay Airport(パンディット・ディーン・ダイヤル・アップアディー空港)


「着きましたね、伍長…。」

「ああ、それじゃあ降りる用意を…もうしてるか…。」

「伍長…。」

「どうした、ロラ?」

「はい、作戦時間はこの国の標準時刻になっていますので後で直しておいてください。」

「えっ、ああ…そっか、ありがとう。後で、直しておくよ。」


のぼる及び日仏露連合陸軍第701工兵師団第五連隊は、ムガル帝国首都デリーの南の方にあるアーグラ空軍基地に着いた。

特に出迎えなどなかったため第五連隊と共に管制塔近くの施設に集合した。

アーグラ空軍基地には多数の航空機、戦闘車両が集まっていた。

このアーグラ空軍基地のすぐ近くに赤い城塞があり、日本でもなじみの深いタージマハルが近くにある。

これからにデリーにある総督官邸に向かい、作戦を決行することになる。

そして、このアーグラにて作戦前最後のブリーフィングが行われた。


「私は、沖田おきた寛二かんじだ。早速だがブリーフィングを行う。ここに居るのは日仏露連合陸軍第701工兵師団第五連隊と日仏露連合陸軍第28師団第12歩兵連隊第3歩兵中隊第3小隊C分隊の数名がここに居る。すでに、作戦の配置はほぼ完了しているが改めて確認を行う。なお、この作戦は『皆既月食(偽りの太陽)』作戦と呼称している。知っての通りこの国は政治的に不安定であり空軍からの援護もないここより南側では旧政府と新政府派が展開しているとされ、首都デリーではデモ活動が行われている。我々は、VictoriaヴィクトリアSophiaソフィア、両名のムガル帝国国外脱出を助け、この国から脱出する。以上、作戦通り行動せよ!」

「「はっ!」」


ブリーフィングが終わり、昇は再びC47に乗りデリーにあるムガル帝国空港に向かう。

このアーグラで、第五連隊の第二小隊を除く部隊は展開しその後同じ様にデリー近くの空港におり、その後はモンゴル帝国へと戻ることになっていた。

昇達は第二小隊と共に先行してデリーへと向かった。




ムガル帝国 ताज महल(タージマハル)


昇達を見送った沖田はタージマハルに来ていた。

観光の為ではなく、新兵器の使用の為でもあった。

そして、とても気が進むような任務ではなかった。

そもそも、タージマハルとはムガル帝国の第五君主であるシャー・ジャハーンが建てた妃ムムターズ・マハルの墓である。

しかし、この世界において彼らは共に生きておりこの建物自体もこの日の為に外装以外はかなり変わったものになっている。

そして、なによりこの場所が選ばれた理由は近くにヤムナー川という川が流れているからである。

沖田はあまりいい気はしなかったがやらねばならなかった…。

いつか来るかもしれなかった日が今日だったからだ。

写真で何度も見た楼門の前の水路にて作業が行われた。


「最終プログラム確認。」

「確認よし。」

「乾燥体組織を投入用意。」

「連隊長、許可を!」


沖田は部下に許可を求められ許可を出した。


「許可する。」

「投入開始!」


体組織を水に入れるとドロッとした粘液のようなものができた。

沖田はそこに核を投げ入れた。

核は魔法によってプログラムされたコードが詰まった言わばCPUみたいなもので金属製の卵のようなものだった。

もっとも、大きさは縦に15センチ、大きな幅は直径8センチ程度のものであり重い。

核を投げ入れるとすぐに水の表面から山なりに身体を出した。

さながら、とある映画の生き物のような動きをした。


「これより、動作確認を行います!」

「動作確認終了後、MMG薬品を投入しておけ。」

「了解しました。」


沖田はそういうとその場を離れた。

彼が彼の部下と創り出していたのはスライムだ。

かつて、この世界に存在していたものであると彼らは言っていた。

ただ、私がよく知るファンタジー世界に登場するような弱い存在ではなく、またあれは生物でもなかった。

あのスライムは、マスタードガスを広範囲に拡散させるための兵器である。

スライムの特性上乾燥には弱いが都市部では上下水道などの水路が設けられているため、水を吸収しながら移動し任意のところで体内に保管してあるマスタードガスを発射することができる化学兵器である。

そして、沖田はこの兵器の使用を命じられたのだ。

この事は、田中司令などに知られており誰かがやらねばならない仕事だった。

これは、あの少年がやるはずだったことでもあり新政府派が勝利するために必要な理由でもあった。

少なくともこれからさらに酷いことをするのだから、これはその一端に過ぎなかった。

全ての命をあるべき場所に還す為に…。

ただ、やるべきことだった。

未来は全て決まっている。

そして、この未来を向かえないとさらにひどいことが起きてしまう。

いずれにしろ、迷いはあった。

ただ、これしかないとそう強く思った。


少し前の出来事だった。この世界についてからほんの少し後…。

その日、私は入間基地に居た。

他の隊員や、それこそ報道関係者も居た。

ただ、あの少年は居なかった。

私は、山本五十六からあることを聞いた。


まず、第一に私達は死んでいないことだ。

また、入間基地に居た人々もこの世界に存在しているとされる。

しかし、彼らはまだこの世界に来てはいないと言うのだ。

わけのわからない話だが、彼らが言うにはこの世界と私達の居た世界は繋がっており、私達の世界は静止した状態にある。

わかりやすく例えるとエレベーターのようなものだ。

まず、この世界を1F、中間が2F、そして元の世界が3Fだ。

最初に私達が発光現象へを目撃したとき全員が2Fへと降りた。

この為、3Fには私たちが居なくなった。

次に、2Fから一部の人だけが1Fに降りた。

そして、多くの人が2Fに取り残された。

大統領をはじめとする多くの人々はまだ2Fに居る。

だから、彼らは1Fと3Fには居ないが2Fには居るということになる。


この世界において、私達はあくまで現象の一つであり創世記に決められた事象にそって物語が進められていく。

今、行われている出来事は死海により新たに決めれたものであり神託という予言の下にこの日を待っていたのだと言った。

私達がこの世界に来たあの日からこの地球全体で連鎖的な紛争や暴動、社会的不安を作り出し意図したタイミングで戦争を開始した。

これまでの、シーソーゲームのようなものではなく大々的に戦争を引き起こした。


「連隊長!MMG薬品の投入が完了しました!」

「プログラムの実行を許可する。」

「了解、プログラム実行します。」


浜辺に来る波のようにスライムは這い上がってきた。

サイズは申し分なく気体保護膜も形成されており、外部に漏れては居なかった。


「…これよりデリーへと向かい先遣部隊と合流する。」

「はっ!」


計30個のスライムは予定地点までの移動を開始した。

沖田は、最終実行用のブリーフケースを開き中に入っている端末からスライムの核の位置を示す光点の数を確認した。

宇宙にある衛星により理論上地球のどこからでも実行できるのだがこの作戦に際して沖田に渡せられたのである。


沖田はスライムのしばらく見たあと、アーグラ空軍基地に戻った。

先に出発した先遣部隊が首相官邸に爆薬を仕掛け終わったことだろう。

ヴィクトリアと、ソフィアが首相官邸から脱出してデリーを抜けた後ムガル帝国空港に向かいこの国から脱出する。

脱出後は、モンゴル帝国にあるシーサンパンナ・ガサ空港へと帰投することになる。

私は彼にこの後のことを伝えることはできない。

それを残念に…いやっ…。

…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ