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与那国島奪還作戦 Ⅲ

用語解説

・一式戦闘機 隼

日本軍で使われていた航空機

日露仏連合製造コード JRFU-EOJ-ki43-oscar


・タックネーム

航空機パイロットの呼び方

Atlas6、Hunter1、Strato7、Eater8


・零式艦上戦闘機52型

日露仏連合コード JRFU-EOJ-A6M5-ZEKE


・九九式双発軽爆撃機

日露仏連合コード JRFU-EOJ-ki48-Lily


・F4U

日露仏連合コード JRFU-USA-F4U-Corsair


・軽巡洋艦巌流島

兵装

15.5cm3連装砲×2

10cm連装高角砲×4

25㎜3連装機銃×12

25㎜単装機銃×21

与那国島北部空港周辺


空港周辺は慌ただしかった。

ただでさえ、モンゴル軍からの侵攻に耐え抜いたのにこれから攻撃を行わければならない兵士達には頭が上がらない。

滑走路は、砲撃によって作れた穴を一緒に来た兵士が埋め直していた。

戦艦からの砲撃をも止み、残存する兵士を倒しに出発しただろう。


私は、岳に攻撃を行う事になっていた。

港から運び込まれた航空機が基地で組み立てらていた。

滑走路の整備が終わればすぐに飛び立てる。


「あれが、試作機か。」

「ああ、はやぶさっていう戦闘機だそうだ。」

「なるほど…。」


一式戦闘機、隼…元の世界で日本が使っていた航空機だ。


柳田やなぎだ!行くぞ!」

「おうっ!」


この世界に来てから、俺は日露仏連合の空軍に編入されることになった。

本来なら、ジェットエンジンを積んだ航空機に乗り訓練をするはずだった。

けれど、今はプロペラ機で空戦の教義、訓練を行い、今回初の実戦となった。


そして、任されたのがこの隼だった。



与那国島南部

双眼鏡で、確認する限りだとまだ、敵はこちらに気が付いていないようだった。

ここからだと、狙撃は出来ても制圧は出来ない。

まずは、肉薄して機関銃手を殺して…。

なんというか、物騒だが仕方がない。


長篠ながしの伍長、どうしますか?このままでは、動けません。」

「ここからだと、兵士と機関銃本体ならライフルで破壊できます。伍長、やりますか?」

「兵力不足…どうしますか?」


どうしようにも遮蔽物がない、この環境では見つけられた時点で機銃掃射を受けることになる。


「…あそこの砲座は潰す。」

「それじゃあ、伍長やるんですね。」

「ああ、少し待ってくれ。」

「はい。」


手持ちの武器は、手榴弾、拳銃、人数分のライフルと対戦車ライフル一つ。

さて、どうしたものか…。

空港から航空機による偵察は既に行われているのでそれに信号を送ることができれば空からの援護が受けられる。

その為に、信号を作らなけらば…。


「レフ、木下、ロラ、ライター持ってる?」

「はい、ありますけど。」

「貸してくれ…。それと、近場の木を40㎝ぐらいの大きさに切ってくれ。」

「はい…。」

「あと、タバコは三人とも煙草はあるか?葉巻でもいい。」

「ありますけど…ヒルに刺されましたか?伍長?」

「押し付けてあげます。」

「そうじゃないって…。とりあえず木を切ってくれ。葉も落として…。」

「了解。」

「…何か考えがあるんですね?」

「ああ、だから頼む。」

「わかりました…はい、紙タバコ。」

「ありがとう、ウォーリー。」

「っん。」

「どうした、ロラ?」

「いえっ…それでは切って来ます。ああ、16本頼む。」


何やらロラが嬉しそうだが、あまり気にはしない。

俺は、上着を脱ぎ緑色のシャツをはんば強引にナイフで裂いて、上着を着直す。

脱いだ(切り裂いた)シャツを細長くナイフでちぎる。


「伍長、終わりました。」

「木下、ロラ、レフお疲れ様。」

「はい…ところで、何をしているんですか?」

「ああ、空に信号を送ろうと思って。」

「なるほど…ところで、この紐は?」

「俺のシャツ。」

「…はい?」

「あの…伍長?」

「?」

「…伍長、御冗談を…。」

「いいから、とりあえずその木をこういう風に組んでくれ。」

「あっ…はい。」


5分立たずに、誘導用のマーカーが出来上がった。

ライターオイルに浸した紐と、煙草を使い一応は火がしばらくは燃えるはずだろう。

それと、煙草の紫煙も…あまり期待できないが少しは役に立つだろう。


「レフ、木下。」

「はい。」

「なんですか、伍長?」

「二人には援護射撃を頼む。」

「ロラ、突撃するぞ。」

「…はい。」

「よしっ…。」


ロラに、ライフルにナイフをつけるようにいい。

茂みが途切れる付近まで近づく。


「ロラじゃなくて…ウォーリー、近接戦闘になるからライフルをリロードする暇はない。セオリー通り、一度撃ったあとは拳銃に切り変える。もしくは、ライフルで頭ごと貫け。」

「…。」

「ロラ?」

「いえっ…伍長もそんなこと言うのって意外だと思いまして…。」

「今は、少し口が悪いだけだ。中身はいつもと変わらないから心配しなくていい。」

「そうですか…なら、安心です。」


ロラの雰囲気が少しやわらかくなったのを感じた。

少しこわばっていた顔に笑顔に浮かぶ。

俺は、すこしドキドキしたが何とか平静を保つ。


「それじゃあ、まずこれに火をつけて投げる。」

「はい…でも、もし見逃してしまったたら大変ですよ。」

「まあ、そうなんだけど…。多分、こっちに向かって来る機体もあるかもしれないから。」

「伍長、それはかなり楽観的な賭けです。博打ですよ。」

「それはわかってはいるけど…。」

「ダメだった時はどうするんですか?」

「二人で突撃する。」

「…大胆ですね。」


さて、あとは来てくれるのを待つしかない。

桜からもらった懐中時計を見る。

おそらく、陸にあげられた航空機がそろそろこちらに向かって来るだろう。

俺は、マーカーを勢い良く投げた。

煙と火が確認できる。


「ロラ…。」

「はい…。」

「航空機が爆撃したあと、できたくれたに隠れながら攻撃を行う。手榴弾が投げられる位置についたら手榴弾を投げろ。」

「了解しました、伍長。」


空から航空機が来ることを期待しつつ。

俺は、ライフルを向けた。


「…来ました。」


ロラが近づいてくる音に気づいた。


「伏せて。」

「はい…。」


自分の頭の上に爆弾が落ちてこないように願いながらロラと身を寄せ合うようにして口を軽く開き地面に突っ伏すような姿勢で攻撃を待った。



与那国島空港滑走路


「こちら、与那国島管制塔。柳田少尉聞こえますか?」

「ああ、聞こえている。そちらの調子はどうだ?」

「無線にノイズが確認できますが問題ありません。許容範囲です。以降はタックネームで通信に移行します。」

「了解。」


機器の確認を終えて、滑走路の方へ期待を動かす。

天候は晴れ、風もあるが穏やかなものだ。


「…。」

一見、アナログ機器の様だが性能自体はT4、高等練習機レベルの物になっている。

この調子なら一体どんな化け物じみた機体があるのかが気になる。

けれど、俺にはいつ配備されるのかはわからない。


「こちら、Atlas6(アトラス)。Eater8(イーター)聞こえるか?」

「こちら、イーター通信良好。」

「それならば、OKだ。貴官はこれが初めての実戦だったな。」

「はい、そうです。」

「…いきなりだが、隼の操縦を任せる。今回は、既に制空権が握られているため対地攻撃となるが大丈夫か?」

「はい、任せてください。乗りこなしてみせます。」

「ああ、頼んだ。私達は作戦通り久部良岳に攻撃を行う。航空機は有事派遣のためバラバラだが、各員機体の癖を判断し乗りこなせ。いいな。」

「はい。」


俺の配属された編隊は、標準的な4機編成。

タックネームは、隊長がAtlas6(アトラス)、二番機がHunter1(ハンター)、三番機がStrato7(ストラト)、そして俺がEater8(イーター)だ。

航空機は、俺の隼、隊長が零式艦上戦闘機52型、二番機が九九式双発軽爆撃機、三番機がF4Uだ。すぐに、用意できたのがこの機体郡だったからだ。

差し詰め、今回の作戦は二番機の護衛とも言える。


「イーター、聞こえますか?」

「ハンター、聞こえています。」

「了解、通信設備に問題なし…っと、今回は初の実戦と聞いていますが大丈夫でしょうか?」

「はい、大丈夫です。任せてください。」

「いい返事です。それと、対地攻撃のアドバイスをしておきます。」

「本当ですか?」

「はい、爆撃機が一番怖いのは高射砲ですね。機関銃自体は少しなら問題ありませんがあれは別ですね…。」

「わかりました。」

「優先的に排除をお願いします。」

「了解です。」


…優先的にか。安請け合い…したかもな。

訓練は受けた物の未だ、そういった危機感がないというか実感がわかなかった。

そもそも、現代に比べても遜色ない機体だとしてもやはり違うものだ。

アフターバーナーを吹かすことも出来ない。


「こちら、管制塔。鳳蝶アゲハ小隊、各機離陸してください。」

「アトラス、了解。」

「ハンター、了解。」

「ストラト、了解。」

「四番機、イーター了解。」


先に行った3番機に続き、滑走路を長めに走り抜け空を飛ぶ。

俺は、湧き上がる高揚感に浸りながらも空を見つめた。


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