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会話と邂逅は、変化と同義?

「お疲れ様です。」

「あら、もしかして演習前に通信してきた娘?」

「あっ、はい。今日は本当にありがとうございました。」

「ふふっ、声と同じように綺麗な娘ね。」

「はあ~、しっかしそんな汗まみれで香水がん付けしたババアに目をつけられるとは、可哀想に。」

「誰が、ババアよ!」

「お前のことだよ!」

「…ルミア、ヤコフみっともないぞ!我々は、派遣されてきたのだから言動も正しくあるべきだ!」

「すいません、刑部おさかべさん。」

「はあ~、すいません。けど、私はまだ若いですよね?」

「…。」

「刑部殿?」

「…ええっと、すまない。私達はこの後、基地司令にあいさつに行きたいのだがその前にまあ、シャワーを浴びたいのだが?」

「あっ、はい。わかりました。そのように伝えておきます。あと、別件で基地司令との挨拶の後、あなたにはお話がありますのでご了承ください。」

「わかった。」

「それでは、ご案内いたします。」


D.520を着陸させた後、曳航していた白地の帯を見た。

所々に焼け焦げた後があり、中でもルミアの機体が最も多かった。

機体の整備も今回の演習なので、整備員に軽く助言し、私は機体を後にした。

その後、基地の中を歩いていると私達は彼女に出会った。

黒髪で、どこか懐かしい印象を受けた。

だが、どうやらそれは私だけらしく、一緒にいたルミアやヤコフは物珍しいそうに彼女を見ていた。

そして、今に至る。


「男性の方は、こちらでお願いします。あっ、替えの服は持っておられますか?」

「ああ、持っている。」

「これは、失礼いたしました。それでは、後ほど回収して選択した後お返しいたします。」

「よろしく、頼む。」

「はい、お任せください。」

「それでは、女性の方はあちらですのでご同行ください。」

「ええ、わかったわ。よろしく。あと、ルミアでいいわよ。」

「はい、わかりました。あっ、私の自己紹介がまだでしたね。私は桔梗ききょうさくらと申します。桜とお呼びくださいませ。」

「ええ、よろしく桜ちゃん。」

「はい、それではこちらに。」

「さて、それじゃあ、いっちょ浴びますか!」

「ああ、そうだな。」


シャワー室には既に人が入っていた。

囲いはなく、シャワーの真下に人々が集い汗を流していた。

私もこの世界での生活には慣れつつあったがそろそろお湯につかりたいものだ。

他の人は、今どこの基地にいるのか私にはわからない。

それぞれ、別の場所に向かったようにも思えるし近くにいるのではないかとも思う。

しかし、ただそう感じるだけであってただ寂しさを紛らわしているだけなのだろうか。

ただ、勢いが安定しないシャワーを浴びているとどこかであったような黒髪の少年を見た。


「…ひとまず、戻ってきたけど…眠いというよりは、お腹が空いた。」


シャワーを浴びて、ひとまず部屋に戻ったのぼるはベッドに上に横たわっていた。

もう寝てしまいたいが、カチューシャが何か俺にようがあるらしいのでそうも行かなかった。

ただ、今はじっとしていた。

しばらくして、ドアがノックされた。


「はい、カチューシャ?」

「いえ、ジャンヌです。」


ドアの前にはジャンヌが居た。

おそらく彼女もシャワーを浴びたのだろういい匂いがする。

…というか、女子の方には香料付きの洗剤があるのだろうか。

男子の所には、石鹼か無香料のものしか置いていなかった。

また、兵士の間でも軽くにおいのつくくらいか、においけし程度の香水が使われていた。

そもそも、この基地にあるらしい売店は品が薄いのだろうか。

だいたい、同じ匂いがする。


「どうしましたか?」

「いや、何でもないよ。それより、カチューシャは?」

「そっ、そんなことより何か気が付きませんか?」

「何がって?」

「あっ、いえ…何でもありません。」

「そう…それじゃあ、行こうか?」

「あっ、はい。」


(う~ん、外向けに香りのよい香水を使ったんですけどね…効果がない…かもしれません。また、ボナパルトさんに新しいのを貰わなければなりませんね。)


「刑部 直人なおと及び以下三名、当連合基地での演習の終了を報告します。」

「ご苦労、それでは、この後は兵舎で休みたまえ、予定に変更は生じていない。以上、解散!」

「「「はっ!」」」

「それでは、君らは連絡があった通りこの後は、わかるな?」

「「はっ!失礼します!」」


そう言うと、ヤコフとルミナは部屋を後にした。


「それでは、話をはじめよう。楽にしたまえ、これは軍の案件ではなく、君の案件だからね。まったく…さて、先に私の名前を伝えておこう、私はピョートルだ。今は、それでいい。少し待ちたまえもうすぐ君に合わせたい人が来るから、それと身体は馴染んだかい?」

「…。」

「まあ、そう警戒しないで一応、君や他の自衛官達ともこうした一対一の会話はしているからね。」

「あなたは何者か…っというのは野暮な質問だな。それより、私に会わせたい人とは?」

「まあ、君の関係者だ。少し待ってくれ。」

「…わかった。」


「はあ~、やっぱ威厳があるな。」

「まあ、あれくらいの階級でも威厳があるのはいいわよね。」

「威厳ねえ、俺はあんな風にはなりたかねえよ。でも、まあ、ああなっちまうものなのかもな。」

「そうね。」

「…あらっ。」

「ん?どうした?…おっ、これは、これは。」


目の前には、少女と黒髪の少年がいた。

刑部と同じように黒髪で、顔も平たい。


「あっ、お疲れ様です。」

「あっ、いえ…とんでもない。」

「いえ、今日のフライトは良かったと思います。」

「そんな…私は訓練通りやっただけよ!」

「そうですか、今回の演習、実はターゲットの近くに対空火器を集中させていたので、予測では最も被弾数が多かったはずなんですよ。お見事でした。」

「…なあ、ジャンヌ?その人達って?」

「はい、今日の演習で航空機を操縦していた人達です。」

「へえ~…えっ?」

「あっ、彼は、地上で機関銃を撃っていた兵士です。」

「あっ、どうも初めまして、長篠ながしののぼると申します。」

「私は、ルミア・パラディール、彼はヤコフ・アニシェフよ。」

「よろしくな、坊主。やるじゃねえか、彼女連れて基地内デートって!」

「いや、…その…そんな関係じゃ。」

「こら、からかわないの!はあ~、とりあえず飲みに行きましょ、ヤコフ!」

「ああ、そうだな、それじゃあな坊主、また、会えたらな!」

「はい。」

「…それじゃあ、行きましょうか。」


しばらくして、ようやく部屋の前についた。

そして、その扉の両脇にカチューシャと桜は立っていた。


「お待たせいたしました。刑部さんは?」

「中にいるわよ。」

「それでは、入りましょうか。」


桜が扉をノックした。


「ピョートルさん、桜です。長篠昇を連れて来ました。」

「ああ、入りたまえ。」

「はい。」

「それじゃあ、昇。私とジャンヌはここで歩哨をしているから入りなさい。」

「ああ、わかった。…失礼します。」


部屋の中には、屈強な男性が二人いた。

一人は、自分と同じ東洋人、もう一人は海外の人だった。

久しぶりに自分と同じような感じの人に会った。


「…初めまして、私はピョートル、彼は刑部おさかべ直人なおと…君と同じ航空自衛隊入間基地から来た人だ。」

「…自分と同じ…それじゃあ、彼も?」

「ああ、そうだ。最も彼にはまだ君のような身体はないがね。」

「何故?」

「少年、彼くらいの年頃の素体はストックが無かったんだ、とりわけ成人男性、成人女性の物はあるのだがね?」

「…一体何の話をしているんですか?「「身体」」…って、あるって言うのは変な気がするで実際にこうしているから…。」

「昇さん…。」

「…昇くん、私の言うことをよく聞くんだ。落ち着いてくれ、私が今から言うことは信じられないかもしれないけど…ピョートル…彼の言ったことは意味がわからないと思う。彼の言葉を改めてというよりそもそも君は何も知らない…そうだろ?」

「はい。」

「…いいか、彼の言う身体とは魂の入れ物のことだ。この身体を今、私は持っている。身体とはこの世界での活動をするための殻だ。今の君は、魂だけの存在…幽霊なんだよ。」

「えっ?」


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