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俺と彼等と彼女の理由

「なあ、あれって?」

「あの黒髪か?」

「ああ、上官が言ってた奴じゃねえの?」

「気味悪いな、すすで汚れてるじゃねえか!」

「いや、あれはもとの色じゃねーの?」

「黒髪ねえ、確かにそうかもな。桜さんも似たような色だし。」

「なるほど、そういうことか。」

「おい、気を付けろ…ただでさえ、俺らじゃ手に余る案件だし、ここは何も見なかったことにするべきだ。」

「そうだな、しっかし、あれが日本人か。」

「…俺らとは違うな。」

「…。」


俺は、1人で黙々と食事をしていた。

すると、声が聞こえてきた。

けど、正直言って今は、どうでも良かった。

今日も昨日みたいな事をやるとなると気分が落ち込む。

…けど、何故か昨日よりも身体は軽かった。

そんなわけで、とりあえず桜達が居そうな所へと俺は、向かった。


「おはよう。」

「おはよう、昇!」

「おはようございます!」

「ああ、いらっしゃい。昇さん!体調はどう?」

「…問題はないというか、昨日よりいいくらいだ。…殴られて感覚がマヒってなければいいけど。」

「マヒる?」っと、桜は少し考え込んだ。

「ああ、えっと、痺れる…。」

慌てて、俺は言葉を直した。

「そうですか…マヒ…う~ん、いまいち使いどころが…あっ、麻痺!医療用語ですか!」

「…それ以外に、何があるのよ?」

「えっと、マヒマヒって、魚が居たような?」

「…さて、それじゃあ、昇さん。始めますので着替えて来て下さい。」

「ああ、わかった。」


そうして、俺は着替えをしてグランドに向かった。


「それじゃあ、訓練を開始しましょうか!」

来て早々、カチューシャは俺を殴りたいようだった。

「はあ、今日は、投げ技も許可します。桜も固め技もやっちゃってください。」

「あれって、結構大変なんですよ!」

「いいから、訓練、訓練!」

「はい、仕方がありませんね。」

「徒手は、日本が上なんでしょ?」

「…日本特有の資源不足のせいです。」

「それは、残念。」

「…会話が物騒なんだけど。」

「甘えたこと言ってるんじゃないわよ!猿が!あんた、なんかまだ兵士でも無いわよ!ほら、さっさと準備をして私に殴りかかってくる!」

「ちなみに、今日は、二対一です。」

「…桜さんもノリノリですね。」

「はい、本気マジで行きますよ!集団リンチは軍隊では普通、新兵をいじめてこその陸軍、私は陸軍が大嫌いです!」

「奇遇ね私も嫌いな軍は、陸軍よ。」

「私も嫌いですね。特に弱っちいくせに政治と絡みたがる奴は。」

「…みんな、陸軍が嫌いなんだ。」

「はい、というよりもただのイメージですよ。」

「所詮、人の集まりですものね。」

「軍じゃなくて、民間人も嫌いだからどうでもいいけどね。」

「…どうでもいい?」

「はい、というか私たちにはどうでもいいって感じですからね。」

「確かに、私達の国民でも守ったところで…って、感じですし兵士にならない人は、その後も兵士になりませんし。だいたい兵士の家族でもない限り、守る必要があるとは思えませんけどね。確かに、仕事だったらやりますけど、私達は特殊部隊みたいなものですから、そうなったら民間人はバッサリと切り捨てる。そういう感じで、戦場に出ています。でも、彼等を放置した方がよりよい戦果が得られるんですから仕方がないんですよね。…とはいえ、それも理想ですから何とも言えません。戦場は、兵士だけの場所じゃないですからね。」

「…俺には、よくわからないや。」

「まあ、追々それについては学んでいきましょう。」

「ああ、そうだな。とりあえず俺は、俺だけを守ればいい…って感じで。」

「はい、ひとまずはそれで、構いません。というか、そちらの方が私達からしてもやり易いので。」

「なんか、釈然としないな。」

「そんなものですよ、自分の次に、仲間…って感じに守りたい物を見極めながら生きていけば…少なくとも、上司の為に自分の身を捨て、家族も巻き込むような役人根性はいりませんから。」

「それは…ありがたいかな?」

「さて、訓練と行きますか。桜、カチューシャ?」

「大丈夫です。」

「いつでも来い!」


戦う為の理由か…ひとまずは自分がちゃんと生きるため…それでいいのかな?

けど、そんなんじゃ…。


「「気味悪いな煤で汚れてるじゃねえか!」」

「「あれは、もとの色じゃねーの?」」

「「ここは、何も見なかったことにするべきだ。」」

「「しっかし、あれが日本人か?」」

「「俺らとは違うな。」」


今になって、今朝の兵士達が言っていた事を思い出した。

あんなにもどうでも良かったはずなのに…どうして今は悩んでいるのだろうか。

確かに、害のある人はどこにでも居た。

その都度、メディアに書かれた。

それは、犯罪行為のことだけを指したものではない。

いざ、戦争の役に立たない人なんか、たくさんいるはずだ。

俺が居た、入間基地もそんな感じだった。

やたらに騒ぎ立てたり、根も葉もない噂を作り出してしまったたり、自分の意見に合う人だけを集めていたりしていた。

だと、すれば…あの基地の人達は何でそんな俺達を助けてくれたのだろうか?


(やっぱり、俺にはまだ、わからない。)


「…昇さん?」

「ああ、ごめん。少しぼーっとしてた。」

「…戦う理由についてですか?」

「…。」

「図星ですね。心配ありませんよ、答えは無いのに納得する理由が欲しいのはあなただけはありませんから。私も同じですよ。」

「ジャンヌさんも?」

「ええ、あの二人には内緒ですけどね。さて、今日も訓練を開始しますよ!」


(ジャンヌさんも、答えを出せていないのか。)

まだ、時間はあるはずだ。

ここに来てからわからないことばかりだ。

だから、今は、戦う理由そんなものよりも、訓練(今日)の方が大事だと思う。


「ところで、訓練ってこれからもずっとこんな感じなんですか?」

「いえ、今後は銃火器や先頭車両の操縦、爆発物とかそんな感じの工作、会話術、諜報とかもやりますよ。勿論、季節ものも少し。」

「…それって、何年もかかるんじゃ…?」

「そうですけど、昨日みたいな感じでやりますので三ヶ月であなたを仕上げますよ。」

「…そんなまさか?」

「先入観は、全てを捻じ曲げますよ。ちゃんと見ない限りは。」

「昇さん!」

「ほら、ジャンヌも早く!」

「それじゃあ…。」

「えっ?」


俺が、疑問を口にするとともに腹部に激痛が走った。

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