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耐え切れなかった人達の伝達

用語解説

・LLF 

生命解放軍、異世界から来た人々による組織

・北マリアナ諸島

日本海軍の作品では常識…。

グアムの上にあるサイパン島を含む島々のことで、サイパンだけ覚えておけば何とかなる。

場所はフィリピンから東

・Pantsir-S1(パーンツィリ-S1)

30mm機銃と短距離ミサイルを発射できる装置

2K22(ツングースカ)の上の部分のこと

大日本帝国領サイパン島ノースフィールド飛行場


サイパン島とは、北マリアナ諸島にある島の1つである。

そして、ノースフィールド飛行場…。

この名前は、北マリアナ諸島にあるテニアン島の飛行場のことであり、北飛行場や、ウシ飛行場、ハゴイ飛行場と呼ばれる飛行場である。


田中たなか昌隆まさたかは、今日も日誌に出来事を随時、記録し、それとは別に日記をつけていた。


彼と、和元かずもと久代ひさよは、入間基地からこの飛行場に出向していた。

入間基地を出る前に、この基地…とはいえ、地理的に大規模には異なるが下調べをしていた。


ノースフィールド飛行場、北飛行場は、1939年に日本人の囚人部隊により作られた。

そして、大東亜戦争、太平洋戦争で日本軍により、使用され、1944年8月3日には、アメリカ軍により、占領。

役2950mにもなる、滑走路が敷設され、B29が配備される。

そして、第509混成部隊が基地に入り、1945年8月6日に広島、8月9日に長崎への原子爆弾投下作戦を実行した。

言わば、最終戦線である。


そして、現在でも使用されている空港である。


「コーヒーをお持ちしました。」

「ああ、すまない…。」

「どうかされましたか?この基地に来てから、随分すぎますが…何か心配事でも?」

「心配事があるとすれば、基地のことよりも、他の隊員のことだ。彼らが、帰って来るかもしれない。」

「帰って来ますかね?」

「パイロットにとっては、飛行場は実家だ。どんなに直線道路が走っていようがね。」

「御冗談を…まあ、私も気掛かりではありますよ。」

「入間基地は、自衛隊史上最も強大な航空、防空、核兵力を持つ航空自衛隊基地になったよ。」

「では、多弾頭核ミサイル(MIRV)が?」

「政治家にばれたら、完全に核戦争確定になるのは確かだ。それに、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)に、イージスアショア、アイアンドーム、Pantsir-S1(パーンツィリ-S1)、しかも、陸上に対空砲陣地と来たら、完全に過剰防衛だからな。」

「対艦ミサイルも用意されたんでしたっけ?」

「ミサイル格納庫に入っているらしい。」

「陸上自衛隊、海上自衛隊すら、敵に回しても勝てますね。」

「自衛隊が、自国で内乱なんかしてどうするんだ?」

「でも、その可能性は誰も否定していません。」

「政府に対しての不安が…あるということか?」

「2011年の東日本大震災により、民主党は失脚しましたし、アメリカではドナルド・トランプ氏が、大統領になりましたし…自民党へのシフトや、アメリカでの民主党…政治的動きは…。いえっ、自衛隊としての懸念事項は予算です…。」

「確かに、それはある…。」

「持ち帰れるのかはわかりませんが、こちらとしては好都合なのではないでしょうか?」

「それは確かにそうだが…。」

「…いえ、すいません。」

「いやっ、大丈夫だ。」

「では、仕事に戻ります。」

「ああ、適宜休憩を取るように…。」


コーヒーを飲み、少し考える。

はてさて、確かに和元君の意見は最もなものだ。

自衛隊の武器の数は、確かに…いやっ、正直言って、少ない。

これは、兵器技術の進化と共に、それに対抗する兵器や、軍拡に合わせたパワーバランスの他、経済的な要因により、必要な武器の数も変化する。

予算は、あるには越したことはない。


「対ドローン技術にたしても、いやっ、電子戦装備か…。」


斬雷は、どんな性能だったかな…。


そんなことを、妄想しているうちに、ドアが叩かれた。

今日の来客の予定はない…。


「誰だ?」

「こんにちは、桔梗ききょう桜です。入ってもいいでしょうか?」

「…桔梗さん?…う~ん、すまないが…。」

「LLFの桔梗桜です!」

「LLF…ああ、すまない!入ってくれ!」

「うぅ…。」


落ち込んだ顔で、桜が田中の部屋に入る。

彼女の後ろには、銀髪の少女が居た。


「初めまして…、こんにちは、でしたっけ。LLFのジャンヌです。」

「ああ、こんにちは…。」

「桜です…。」

「あっ、どうも…今回は、どのような用件で?」


ドアには、黒髪の少女の後ろに、銀髪の少女が居た。


田中は、少し歯切れの悪く、家に居た時と同じような対応になってしまった。

基地に、若い兵士…15歳くらいには、日常的には会っているので、実際は、何も気にすることはないのだが…。


「今回は、定期的なケアと、他の人の近況を報告しに参りました。」

「ああ、そうか…。とりあえず、座ってください。」

「では…。」

「…。」


テーブルを挟んで、2人と向かい合う。

可愛い娘だと、思った。

だが、魔女なのだが…。


「どうですか、この飛行場での仕事は?」

「昔のようだよ…いやっ、昔というのには、抵抗があるが…。」

「それはなにより…。」

「君らが、来たということは戦争が始まるのかい?」

「生命解放軍としては、そうですね。」

「でも、この基地はまだです。」

「そうか…。」


桜についで、ジャンヌが話すように見える。

だが、言葉をつづけたのはジャンヌだった。


「どうですか、この島は温かいでしょう?」

「ああ、入間基地よりは快適な気候だよ。」

「ええ…では、地図は確認されましたか?」

「ああ、不思議な島だと思った…けど、そうじゃなかった。」

「…気づきましたか?」

「この島は、サイパン島とテニアン島が繋がっている。」

「太平洋の点に、過ぎませんよ。」

「ああ、だが…神州じんしゅうとはなんだ?」

「神の島ですよ…。」

「いやっ、そうじゃない…。四国よりもデカい島が存在するのは、なぜだ?」

「そうですね…。」

「ジャンヌ…。」

「わかっているわ…。まあ、かなり酷いことをいうことになりますが…。田中司令、それでもいいですか?」

「ああ、…そういうことばかりだな。」

「この世界は、そうですよ。」


ジャンヌは、軽く息を吸って吐いた。


「神州は、来るべきアメリカとの戦争を見据えて、LLFが用意した戦場です。」

「アメリカ…太平洋戦争か…?」

「ええ、それの再現戦争ですよ。」

「…だが、それならグアム…グアムが繋がっているのも、そのせいか?」

「ええ、グアムとロタ島は、繋がっていますね。」

「…太平洋は、島すら無い…ただの海だ…。そして、この基地とグアムは、神州の南東部に位置している…。なら、アメリカ艦隊はオーストリアに拠点を置くのか?」

「そうですね…。太平洋戦争の敗因の1つとしては、島嶼部での輸送に困難な場所での戦闘であったことです。神州は、日本軍の陸上、航空、海上戦力…そして…。」

「鉱物資源か?」

「…はい、石油、ボーキサイト、レアメタル…継続して戦争をするのには、十分な資源があります。」

「…日本軍の敗因をなくそうとしているのか?」

「…これ以上は、言うことはできません。ですが、ヒントとしてはこの世界の技術ですよ。」

「…。」


田中は、この基地の装備を知っていた。

アメリカ軍が使用している兵器が大半を占め、一部の戦闘機…いやっ、正確には、日本軍の航空機の形をしただけのアメリカ戦闘機が配備されている。

エンジンからして違い、設計も少し異なっている。

日本というのが、上辺だけなのは、自衛隊と同じようなものだという、うすら寒さすらある。

口径は、7.7mmでなく、7.62mm、9mm、20mm…12.7mmなど、一部のドイツにサイズのものもあるが、多くがアメリカ軍と同じ規格である。


サイパン島にある日本軍の装備というのは、沿岸部にある41cm砲くらいだろう…。


「…アメリカ軍と殴り合う為にか…。どうりで、シャーマンなんかがあるわけだ。」

「はい。」

「玉砕しろと?」

「いいえ、そんなことはできませんよ。」

「…そうだったな。」

「いつでも、つらくなった時は…。」

「いやっ、私は大丈夫だ…。それに、責務もある…どんなことになっても、見届けさせてくれ…。」

「わかりました。…桜、私からは以上よ。田中さん、この基地は、アンダーセン飛行場、アスリート飛行場、ウエストフィールド飛行場…その4つの飛行場でこのサイパン島は、構成されています。その為、工作員があなたに襲いに来ることもあるでしょう…。」

「わかった…。守ってはくれないのか?」

「LLFは、基本的には不干渉で在りたいというのが、考え方としてあります。ですが、人は時に豹変してしまうので、コンマ数秒で対応が遅れます…。まあ、田中さんは慣れていそうですが…。」

「わかった、常に銃は持っておくよ。」

「はい、では…私はこれで…。」


ジャンヌが、立ち上がろうとすると…。

ドアがノックされた?


「誰だ?」

「和元です!飲み物をお持ちしました…。」

「入ってくれ…。ジャンヌ、あなたも飲んでいくか?」

「では、お言葉に甘えて…飲んでから、出ていきますね。」


そう言うと、ジャンヌは再びソファに腰を下ろした。

和元は、紅茶を3人の前にそれぞれ置いた。


そして、彼女が部屋を出ようとした時…。


「ところで、田中さんは知っていますか?」

「…ジャンヌ?」

「何をだね?」

「和元さんは、既に精神が眠っていますよ。」

「えっ?」


桜が、あ~あ…というように、手を自分の頭に置いた。


田中は、その反応から桜の要件がわかったが…。


「いったい…いつから…。」


田中の額に、嫌な汗が流れた…。

備考

・日本軍の戦闘機について

機銃の口径として、7.7mm機銃はLLFにより、存在しない。

エンジン自体も、開発から技術を提供している為、実際のところ独自発展はしていない。

(試作型は存在する)

しかし、構造上の欠点はそのまま残っている。

登場する機体は、内緒です。

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