魔女の序列とビーチバレー
三国ドイツ支配地域エジプト ギザ空軍基地 LLF管轄区
「ふぅ…。」
2本目のコーラ瓶を飲み干した。
非日常な中に居ると日常がわからなくなるというが、もうそういうのに慣れてしまった…とは言いたいが、そんなわけはなく、今日はピラミッドの下のプールで泳いだ。
ウォータースライダー、サウナ、流れるプールと…普通にリゾートレベルの遊びをした後、食事をすることになった。
Malikaとベアトリクスは、それぞれラッシュガードを羽織っていたが、俺は、水着のみでロコモコを食べていた。
ベアトリクスは、ホイップクリームと苺のパンケーキとアサイボウル、マリカはアヒポケ…マグロやいくらを使った海鮮丼のようなハワイ料理を食べていた。
そして、カクテルとシャンパンの瓶を、例のメイド水着の兵士(?)が持って来ていた。
食事を終え、しばらく…。
「なあ、マリカは何の魔女なんだ?」
「ふふっ、そうですね…何の魔女だと思います?」
自然に、そう聞いたが反応はいまいちだった。
「…イシス由来で…水の魔女…でも、水の魔女はアンジェラだったし…そうなると、砂の魔女か太陽の魔女かな。」
「外れです。」
「…う~ん、なんだろう。ベアトリクスは、わかっているんだろ?」
「ええ、私の方が魔女として強いですよ。」
「よく言いますね…電気の魔女…。」
「ふふっ、昇さんにヒントを差し上げたらどうですか?」
「そうですね…ヒントは、遠くの物も近くの物もよく見えることが出来るのに、手を伸ばすと遮られて、割ることはできても薬品では溶けにくいものです。」
「う~ん、わかった…ヒントがなぞなぞだから、君は…真実の魔女!」
「違います!というか、なんでそうなったんですか?」
「スフィンクスのなぞなぞだと思ったんだよ…。」
「もう!ちゃんと、考えてください!」
「遠くの物も近くの物も良く見えて、割れて薬品で溶けにくい…だから、氷とか?」
「昇さん、わざと間違えてませんか?」
「いえっ、マリカ…たぶん普通に間違えてるわ。」
「もう少し…ヒントをくれないか?」
なんとなく、氷かなぁ~と思ったのだが、もっと素直に行くべきだろうか…。
水の魔女ではなく、火の魔女アレッシア…ようするに、元素系の名前…というわけではないのかもしれない…ベアトリクスは、電気の魔女だが、電気自体、磁力と電子を兼ねているが原子核ではない…まあ、そこまで関係ないのかもしれないが…。
「ヒントは、日常的に固体として見ることが多いです。」
「そっか…じゃあ、ガラス?」
「正解です!」
「やったぁ!…ガラス?」
「そうです、ガラスです!」
「…昇、弱そうとか思ってないかしら?」
「いや~…そんなことは…。」
「絶対にそう思っていますね…まあ、仕方ありませんが…。」
「ベアトリクスに溶かされそうなのが、よくわかった。」
「こらっ!」
むっと、ベアトリクスは怒り、オレンジ色のカクテルを飲み干した。
「改めまして、硝子の魔女…マリカと申します。よろしくお願いしますね。」
「ああ、よろしく…マリカ…。」
「ん?どうしましたか?」
「あっ…いやっ、ベアトリクスよりも落ち着いているな…って、思って…。」
「そうですか?」
「…まあ、初対面から俺の嫁とは言わないレベルには?」
「昇さん、さっき投げ飛ばしたせいで…頭が…。」
「いや、ベアトリクス…初対面の時…。」
「いいじゃないですか、本当に私はあなたの妻なんですから!」
「ああ、なるほど…ベアトリクスさん…いくらなんでも限度がありますし…それに…。」
「いいじゃないですか…マリカ…。このくらい…。」
「独占は良くないですよ…それに…。」
「いいじゃない…それに、もうすぐ別れてしまうのに…。」
「はあ…お互いに…つらいのはわかりますが…昇さんの為にも…。」
「あなたは、そう言っても…本心はどうなのよ?違うとしても、昇は昇なんだし…。」
「でも…。」
「…はあ、喧嘩はしないで欲しいんだけど…というかこんなにのんびりしても大丈夫なの?」
「あっ、はい…ここの時間はかなり遅く流れているので大丈夫です。まだ、泳いでも大丈夫ですよ。」
「そっか…じゃあ、あそこでビーチバレーでも…。」
「いいですね、2on2で行きましょう…シーリーン、あなたも参加しなさい。」
「わかりました、マリカ様。」
「シーリーンさんって、言うのか…。」
「ナンパしないでくださいね、私の付き人なので…。」
「ああ、わかった…その2人とも目が怖い…って…。」
「昇さんはキャバ嬢に貢ぎながらキャバ嬢に似た風俗嬢を指名するような人なので…。」
「酷い言われよう…なんだけど…。」
砂漠の砂…確かハワイの砂はどっから持って来たんだっけ?
人工太陽で暖められた熱い砂に素足が取られていく。
ビーチサンダルでやるわけにも行かないので、それぞれ交代しながらやることになった。
「それっ!」
「よっと!」
「ていっ!」
「ほっ!」
俺と水着メイドのシーリーンさん、ベアトリクスとマリカのペアでビーチバレーをしていたが…。
「隙あり!」
「なっ、よっと!…あっ。」
「っ!!」
たまたま、俺とシーリーンさんの方にボールが来てしまい、俺がボールを返そうとしたのだが…。
「いたたっ…あっ、大丈夫ですか?シーリーンさん?」
「あっ、はい…その…出来れば…胸から手をどけてくれませんか…。
一体どうやったら、こんな態勢になるのか…。
倒れた俺の上に、シーリーンさんが乗って、俺の指がシーリーンさんのフリフリの付いたメイド風の水着の双丘部分の南半球を水着の下で触っている状態で…。
「昇さん?」
「あっ、いやっ…その…。」
電気の魔女らしく…空間に稲妻が走っている。
「べっ、ベアトリクス…なるべく手加減してね…。」
「大丈夫よ…ちょっとお灸代わりに電流流すだけだから…。」
「あははっ、シーリーン…大丈夫?こっちに来なさい。」
「あっ、はい…。」
少し頬を赤らめたシーリーンさんが俺から離れて…。
(あっ、これは死ぬかもしれない。)
俺は、辛うじて砂に足を埋めて電流を少しでも流せるかもしれない的なことを考えていたが…。
「あぐっ…。」
普通にボコボコにされた…。
その後、砂に埋められ3人がビーチバレーを楽しめるまで、そのままだった。
砂から出され…。
誤った後、再びプールで遊び、着替えることになった。
「…あれっ、帽子がない。」
新しい着替えを貰い、Yシャツにカーキのパンツと、何故かレザーの黒いジャケットが渡された。
だが、銃と貰った帽子が置いておいた場所には無かった。
シーリーンがいつの間にか、どこかに持って行ったのだろう…。
「お待たせ…銃と刀がないんだけど…。」
「これから、人に会うのにそんなもの要りませんよ…。」
「そういうことか…。」
金の装飾品に、白いワンピースドレスを着たベアトリクスは俺にそう言った。
ドレスコード…いやっ、それならなんでこんな格好をしているのか?
ベアトリクスの赤い髪が、妙にその服装と合っていた。
もっとも、水着の時もそうだったが…。
「それじゃあ、行きましょうか!」
「…クレオパトラかな。」
「どうしましたか?」
「いやっ、君がクレオパトラだったらどうしようかなって?」
「口説き文句ですか?」
「どうだろう…俺は、黒髪の女性にそういうことが多いのかもしれないけど…。」
「ふふっ、冗談が下手ですね。」
「…シーリーンさんは、クレオパトラじゃないよね?」
「本人だったら、今すぐあなたの意識を奪ってますよ。」
「…そうなるのも近いかもしれないな。」
「私は、嫌ですよ…昇さん。」
「そうだね…ベアトリクス…。」
「それじゃあ、行きましょうか!」
「ああ…。」
ハワイの砂浜
ワイキキビーチの砂は、カリフォルニアから持ってきたものです。