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優秀なる4ナンバー

用語解説

・Mark IV

イギリスの初期の戦車で、菱形戦車とも呼ばれる

この世界の多くの国にある


・四号戦車

ドイツで、生産された戦車

メジャーな部類で、某戦車道アニメのアレである

この世界では、そこまで数は多くない。昇が乗った物はH型であり、増加装甲はついていない


・M4中戦車

シャーマンと呼ばれるアメリカで作られた戦車

75mm砲を積んだものや様々なバリエーションがある

この世界では主に、三国ドイツ、大日本帝国で運用されている


・5号戦車 パンター

4号戦車の後継の車両

75mm砲を搭載し、傾斜装甲などの特徴がある

独立行政国家 イスラエル エルサレム


ロンギヌスとの戦いを終え、シャワーを浴びて着替えた俺は、ベアトリクスを探しに基地の中を歩いていた。


とはいえ、基地は広いので会えるかどうかは微妙なところであるので、とりあえずロンギヌスの居たドームの前の門のところに向かっていた。


「あなた!」

「ん?ベアトリクスか!よかった…。」


(…あっ、しまった。)


「ふふふっ。」


俺が声を聞いただけで、反応したせいでかなり上機嫌になったベアトリクスが駆け寄って来る。

赤い髪を揺らしながら、俺との距離を詰めて来て…。


「ぎゅ~。」

「あっ、こら…。」


そのまま、抱きつかれてしまった。

若干水気の残っている自分の肌に彼女の服がくっつく。


「ベアトリクス…少しはしたないぞ…。」

「いえっ、あなた…。ふふふっ、ようやく自覚してくれましたか?」

「…今回は、たまたまだ。…まあ、その呼び方にも慣れてきたというか…。」

「本当ですか?嬉しいです!」

「…。」


ベアトリクスを身体から話すと、そこには嬉しそうな彼女が居た。

そして、彼女の後ろには、これまた嬉しそうなコリアンナ曹長が居た。


「お疲れ様です、昇様。」

「ああ、お待たせ…2人とも。」

「では、食事としましょう…。」

「もう、そんな時間に?」

「昼食ですよ、行きましょう。」

「ああ…ロンギヌスさんも一緒?」

「いえっ、私達だけですよ。」

「そっか…じゃあ、行こうか。」


そんなわけで、基地にある来客用と思われる豪勢な一室に案内された。

部屋はというと、シャンデリアがあり、それはそれは長い机と、ほとんど座る人の居ない向かい合わせの数組の椅子があり、片側には窓があり、外の整備された庭園が見える個人的には見慣れてしまったイギリスか、フランス風もといヨーロッパ風の装飾があしらわれた部屋に通された。


そして、俺は下座に、ベアトリクスは俺と対極で、彼女から見て右上にコリアンナ曹長が座った。


食事は、いくつかのフルーツの盛り合わせとサラダと、ナスなどの揚げ物にファラフェル、ピタパンと呼ばれる円形のパンに、フムスと言う数種類のペーストがあった。他にも、いくつか小皿の料理があった。

フムスというのは、ひよこ豆などを使ったペーストでパンに塗って食べる。ファラフェルという聞きなれない料理は、いわゆるコロッケのような揚げ物だった。


俺は、ワインを口にしたりしながら、それらを食した。


そんな食事を終え、俺達は部屋を出た。

今夜は、この基地で休息を取ることを伝えられた俺は、ベアトリクスと別れ基地を歩いた。


「あれは、確か…。」


基地の敷地を歩いていた俺は、格納庫にあるとあるモノを見つけた。


「Mk.Ⅳ…。」


そこには、マーク4があった。

こんなところにも、あるのかという骨董品のような戦車ではあるが、大量生産されたのだろう…。

ビス打ちではなく、溶接された車体である為、この世界の物なのだろう。


「こらっ、何をしている?…これは、大尉殿、申し訳ございません。」

「いやっ、私の方こそ、仕事中に失礼を…。」

「いえっ、とんでもありません!」

「ところで、こいつは動くのか?」

「はい!動かせます!大尉もご興味が?」

「ああ、懐かしいくてね。」

「そうですか…。」


俺より、遥かに年上の整備兵はそう言った。

俺は、内心焦りながら、マーク4の車体に目をやった。


「大尉殿、こんなポンコツよりも良い兵器がありますよ。」

「あるのか?」

「はい、2号戦車も、3号戦車も、シャーマン中戦車、4号戦車もここにはありますが、良いものがありますよ。」

「見せてくれるか?」

「はい。」


俺は、整備兵の後をついて行く。

そして、案内された先にとある兵器があった。


「これは…?」

「はい、Ⅴ号戦車、パンターです。」


そこには、大型の戦車と言ってもいいくらい巨大な戦車があった。

主砲に75mm砲を持ち、7.62mm機関銃を有する戦車は、戦車として誇らしくもあり、95式軽戦車に比べれば、これこそ戦車と呼べる代物だろう。


「良い戦車だな。」

「はい、ようやく配備することが出来た兵器です。この兵器に続き、多くの戦車がこの地に配備されることでしょう。」

「これは、動かせるか?」

「はい、動かすことは出来ますが…。」

「許可がいる…そうか?」

「はい。」

「じゃあ、4号戦車であれば動かせるか?」

「あっ、はい…。手配しましょうか?」

「ああ、頼む。」

「わかりました。おい、シモン!こっちへ、来い!」


整備兵がそう言うと、4号戦車を手配しに行った。


待つこと、3分。

急いで来た戦車兵が、4号戦車に乗り込んだ。


「長篠大尉でありますか?」

「ああ、そうだ!」

「狭くはありますが、どうぞお乗りください!」

「ああ、ありがとう…。」


俺は、ハッチから上半身を乗り出した状態で4号戦車に乗った。


そして、ゆっくりと車体が前進する。


「Panzer Vor (戦車全身)…。」っと、俺は呟いた。


だが、その呟きをかき消すような戦車の無限軌道の音が俺の周囲に散逸する。

耳あてで、いくらかマシにはなっているがそれでも、音と振動はそのままだった。

それは、魔法と魔術のある世界においても科学と言う存在が利用されているということの表れでもあり、物理現象自体は生じているということだ。


もっとも、俺はそこまで頭が回らないのだが…。


そんなわけで、敷地を回る訳だが…。


「砲塔は旋回出来るか?」

「出来ますよ、大尉。」

「右に180度、回頭!6時方向に!」

「はい!」


俺が、そういうと戦車の砲と共に俺も回転する。

ただ、この動きと言うのはどうも慣れそうにはなさそうな気がする駆動だった。


「司令部に向けて、砲撃用意!」

「わかりました!」

「…冗談だ。」


敷地内には、多くの戦車がそこらかしこにあった。


戦車には、詳しくないが見た事がありそうな車両があった。


そして、それは各国の戦車開発においての進捗でもある。

実際のところ、ここには4という数字の付く戦車が何種かある、今乗っている4号戦車に、M4シャーマン中戦車と呼ばれるアメリカ軍の戦車、そして、Mark IVというイギリスの古い戦車だ。

開発国は、それぞれドイツ、アメリカ、イギリス、そして、ルノー R35や、ルノー FT-17というフランスの戦車もあり、補助車両も含めると第二次世界大戦の主要な国の戦車は一応揃ってはいる。


日本の第二次世界大戦の戦車は、残念ながらフランスの戦車と同じであり、またドイツやアメリカの対戦車戦闘の出来る戦車がある為、ここには居ないのだろう。


戦車の運用については、カチューシャから教えては貰った。

その為、歩兵支援用の軽戦車と、前述の対戦車戦闘の出来る戦車の両方を有するのは良いことだろう。


弾薬自体も、規格化されているため一部車両では供与も出来るのが強みだ。

装甲素材も均質圧延鋼板を始め各種使われており、術化により品質で言えば、第二次世界大戦の水準よりも非常に高いモノを維持している。


車両から降りた俺は、整備兵に声を掛けた。


「ありがとう、良い戦車だな。これは…。」

「ええ、いい馬ですよ。」

「気性が荒くなくて、良かったな。荒いやつも居るのか?」

「ええ、たまに分解して工場に送り直してますよ。」

「そうか、ご苦労だった。その調子で、励んでくれ。」

「はっ!」


俺は、また柄にも合わずそんなことを言い、格納庫を後にした。


「あっ、どうでしたか?あなた!ここの戦車は?」

「見てたのか?」

「ふふっ、ええ、随分と楽しそうで…。」

「はぁ…まあ、いいけど…。」

「では、今夜の宿へと向かいましょうか?」

「この基地じゃなくて?」

「ええ…。」


そんなわけで、戦車を楽しんだ俺は、ベッドへと向かった。

雲一つなく晴れていて、基地の照明がよく見えた。

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