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風の魔女との同居

「…その…エヴァ?」


俺は、エヴァが突拍子もなく言ったことを脳内で再び再生する。


『その…お一人でということではなく、私とです。』


ようするに、同居ということだろう…。

いやっ、同棲と言うべきか…。


「…どうしましたか?」

「まさか、同じ家とか?」

「同じ家ですよ…。」

「そっか…わっ、わかった…。」


これは、完全に同棲じゃないか…。


いやっ、少なくとも俺はモンゴル帝国やローマ帝国でその…まあ、女性と暮らしたと言えるだろう。

家族以外に…。


でも、待て…。

よく考えたら、魔女だから年齢的には…。

いやっ、やっぱり1on1の同居とか…まあ、大丈夫だろう。

良く考えたら、酒も煙草も風○もいいわけだから…。


違う!

全然、違う!


ネズミ算がすぐに思い浮かぶあたり、やっぱり俺も男なわけで…。

というか、普通に過ごすだけなら…。

とりあえず、葉巻を吸って落ち着いて…。

葉巻が無い。


落ち着け…。

そもそも、最低条件としてエヴァが俺のことが好きである必要があるわけだ。

そして、魔女とは殺し合いばかりだから、相性も悪くなるはず。

あとは、年齢的な対処法方が元の世界で出来ない選択肢がこの世界では使えるという点だ。


それに関しては、車を貰って隣町行けば娼館でもあるだろう。


それくらいの気前で、行けば問題ないし…。

間違いは起きない。

だから、大丈夫だ。


…っと、約10秒くらいの時間…無言でようやく考えに至った。


「昇さん?」

「ああ、急な話で驚いちゃって…。しっかりしないと…。」

「はい。」

「じゃあ、明日からよろしく…風の魔女エヴァさん。」


俺は、そう言って彼女に握手を求めた。


「…もういじわるですね。…はい、よろしくお願いします。」


俺は、彼女と握手を交わした。

義体とはいえ、彼女の体温を感覚として感じ取れた。

ほんのり温かい手だった。

俺は、すぐに握手をやめるつもりだったが彼女はなかなか離してくれなかった。


エヴァは、男を誤解させそうなタイプだなぁ~っと自分にいい聞かせた。




その日の夜、俺はベッドの上に居た。

最初のうちは、変に寝付けないものだと考えていたのに、そんなことはわりと眠れている。

ただし、ドルマーが夢の中に出てこないかは懸念事項である。


だが、問題は『俺は、本当に眠っているのだろうか?』だ。

勿論、何度も疑問に思ったがそれでいて眠っていて、疲れているわけだ。

この義体でも、喉が渇くわけで生理的な現象は起きているが、やはり考えるだけ野暮なのかもしれないと思った。


でも…今日わかったことの中で、大きいことは…。

あの日…。


この世界で一人ぼっちで、あの基地に居た時…。

その場所に居なくても、友達が居たことだ。

ただ、それが嬉しいというわけでもなく、もしかしたらどこか作為的なのではと思った。


生命解放軍、LLFは少なくとも人ではあって、この世のことわりのものではなく、完全に幽霊や亡霊の集団だと思う。

だから、人の肉体と魂を分離できるのだと…。

詳しい話は、よくわからないが…。


少なくとも、俺はこのまま『死ねない』ことが確かだ。

でも、彼らに自分の身体…もとい、魂を貸すのは嫌だ…というように、判断としては完全に間違っているのだろう…。


所詮、彼らにとって俺はただの駒かもしれない。

俺には、元々の選択肢そのものが1つの結果にしか、繋がっていないことになる。


すぐにでも、ドルマーに頼めば俺は、この痛苦から解放されるだろう。

そして、何事もなく元の世界に帰って…。


「…それが、ものすごく、つまらないから…だよな。」


俺の人生は、どうだったのか…。

良いものでは、ないだろう。

富裕層でもないし…。


全盛期が、小学生までの本当に最悪な普通の人だ。

別に、親は悪くない。

悪い親なら、死んでいた方がいい。

犯罪者をこの世からなくして、処刑すればいい。

離婚するくらいなら、最初から結婚しなければいい。

子供を作った上で、離婚する親は死んでからも地獄行きになれ…。


それくらい、普通のことを思うただの男子高校生だった。

本当は自分の好き勝手に人を殺したいと思う。

敵対していなくても、自分の将来的な敵は潜在的には全て物理的に抹消したいと思っている。

本当は、理性的でなくて、『咎人は全て殺す』、そんな理想的なダークヒーローにでもなってみたいと思う。


無辜の民なんて、居なくて…社会なんて作り出してる人はみんな犯罪者で殺してもいいと思う。

地球温暖化だって、人類が25%になってもどうせ元に戻ると思う。


…疲れているのかなとは思う。


本当は、何も考えたくない。

ただ、明日になるのも嫌で…。

政治が嫌いで…。

貧富の差が存在するのが許せなくて…。

その上で、貧者としてこのまま生き続けるのが怖くて、つらい…。

社会人になりたくもない、企業のうたい文句が信じられない。


どう考えても、頭のおかしい文章の履歴書が推奨される。

そんな狂人ばかりの集まっている会社で働く頃には…。


いやっ、その前に死にたいものだ。


欲を言えば、銃を持って渋谷か新宿で連射して、手榴弾かグレネードを投げて、こんな世界は間違っているって思いながら戦いたいものだ。


その時の相手は、社会だ。


とても楽しいことには違いない。

警察でもなく、それこそ自衛隊のような兵士でもなく、ただの民間人として無差別に人を撃ち、社会への報復を行なうというのは、かなり楽しいことには違いないだろう。

存在していても、本当は無価値な経済におびえるのではなく、血族や金が繋がった政治家と関連団体でもなく、それこそ権力や権益を思いのままにする上級国民に対しての報復としては、これほど素晴らしいものはないだろう。


ただ、こういった無差別的な一度、罪悪感や後悔を抱いてしまったら、手が止まってそれ以上、行為を行なえなくなる。


だから、そこで考えてはいけない。

ただ、一連の作業として初めて成立するものだ。


俺がこの世界で手にした職業は兵士だ。

ただ、銃を手に取るのではなく、民間人に扮した敵の見分け方や兵士としての矜持をジャンヌ達から教わった。


少なくとも、最低限の礼儀として、『殺したい相手や死体に感情を抱くな』っと…。


殺す相手は、兵士の方が薬物使用した敵よりはましだ。


敵国の兵士を憎んでいようが、少なからず自分から戦場へと足を運んだ選択をしているので、堂々とすべきと。


だが、それ以外は別だ。


交戦の意思はあるが揺らぎやすく、それでいて感情的であると…。


彼ら/彼女らは、ビー玉やガラス瓶で作った破片を付けた爆弾や、自爆攻撃、敵の死体を引きずり回したりして遊び、敵をいたぶるのを愉しみ、酒や麻薬を使い快楽を得る…。


そのくせ、仲間が死んだことに非常に感情的になり激昂する屑野郎だ。

人でなしの精神異常者サイコパスどもだ。


それは、群集心理であり、俺の居た日本の社会と本質は何も変わらない。


当たり前のように、精神異常者ではなくても、犯罪者は発生するものだ。

情緒不安定さを感じる以前に、日常的にも会話が困難であり、傲慢な態度や感情の起伏が激しい、自己中心的な人物、暴言や社会的モラルの低い発言を行なうなどが犯罪者予備軍であるといえる。


ただ、不本意なことにそういった人物が俺の元居た世界でも多く、生きている。

多くの人物が、それらの兆候に類似しており普通に生きている。


疑いようの余地もなく、彼ら/彼女らは危険人物だ。


そう考えると、この世界はそういった人間関係の面ではわりといいとは言える。

少なくとも、俺がこの世界であった中ではだが…。

戦争に対して前向きで、肯定的で、義務的なのにそこまで恐怖感はあるのだろうが、それでも協力してくるのは本当にありがたかった。


けど…。


それは、本当に異常だとも言えるのに…。

俺は、あまりそう思わなくなっている。

倫理感がどうこうではなく、考え方が変わったのではなく、どこか強制的な学習のように、俺の脳にこびりついているようではある。


比喩ではなく、もし…この義体の脳が何かしらプログラムのような物が仕組まれいるなら、俺は何を考えているのだろうか…。


「…。」


気を失ったかのように俺は眠った。


仮定が多すぎるのだろうか…。


ただ、やはり…この身体は俺のものではないと思った。

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