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用語解説
・MG42-7.62
MG3と同じ7.62mmNATO弾を使用する銃器
ドイツ三国 ドイツ領 Westfahlen付近
ステラ達を埋めた翌日、ドルマーの言った通りとある人物が俺を尋ねに教会にやって来た。
「おはようございます、神父殿。」
「これは、これは…おはようございます。彼のことですかな?」
「はい、そうです。」
「わかりました…ところで、あの少年は日本から来たのですか?」
「それは私にもわかりません、ただ戦略兵器に匹敵する人物であり、宗教、国籍、人種の面では対象外の人物です。」
「…なるほど、私にはそうは思えませんが…。」
「暴行は加えていませんか?」
「いいえっ、決して…。」
「見ればわかることですがね…。」
「…。」
「我がドイツに栄光あれ!」
「ドイツに栄光あれ!」
教会の前には、Sd.Kfz.251とM3ハーフトラック、ホルヒ108が止まっていた。
教会の奥のマリア像の前の長椅子に座っていた俺は、後ろの扉が開く音がしたので確認するとそこには、教科書で見たような灰色の軍服を着た将校とその護衛のMP18を持った兵士が居た
「君が、長篠昇少尉だね?」
「…はい、そうです。」
「私は、第44SS特務装甲師団の師団長Christhard・Meyer親衛隊上級大将だ。この場を持って、貴官にドイツ帝国ならびにドイツ三国特務中尉の階級を与える。よって、これより首都ベルリンへの同行の命を与えるものとする。」
「今から、ベルリンにですか?」
「そうだ、総統閣下への謁見は明日行う。」
「わかりました。」
「では、同行を中尉。」
俺は、神父さんとアーデルハイトさんに礼を言い、ベルリンへと長い道のりを車で移動した。
そして、約6時間後の午後3時。
俺は、ベルリンのシューネフェルト空軍基地に着いた。
用意の良いことに、豪華そうな部屋には軍服がトルソーに掛けられており、俺は下着諸々置いてあったのでそれに着替えた。
旅行用の大きなスーツケースには、下着と平時の服の他、予備の軍服も入っていたのですぐにケースを閉じた。
着替えてから、ほどなくして部屋のドアが叩かれたので覗き穴から覗くとそこには、スタイリッシュな眼鏡をかけた黒髪の軍服を着た少女が居た。
俺は、ゆっくりとドアを開けると彼女は自分の靴を空いた隙間に差し込んだ。
「はじめまして、長篠中尉。」
「あっ、どうも…。」
「私は、Eva・Einhornです。武器をお届けに参りました。」
「それは、ありがとうございます。後は、自分で…。」
「いえっ、使い方をお教えしますので行きましょう!」
「ああ、そうなんだ…少し用意をしてもいいかな?」
「ダメです。」
「なんで!」
「行きますよ!」
「部屋の鍵が…。」
「私も持ってます!」
「えぇ…。」
そんなわけで、基地の射撃場にやって来た。
かの有名な野戦服ではなく、現代特有の量産に適した…ようするに、日仏露連合、ローマ帝国で用いられているタイプの戦闘服だった。
色は、灰色ではあるがだいたい同じ防弾チョッキも装備した。
なお、エヴァはれっきとしたイケてるドイツの野戦服だった。
「それじゃあ、支給する装備を紹介しますね。」
「ああ、そのアインホルンさん、眼鏡は?」
「普通に見えますよ。」
「…そうなんだ。」
「伊達メガネではなくて、魔術アイテムですけどね。」
「なるほど…。」
彼女の瞳は、青色をしていた。
確かに、見えているようではある。
「では、銃器を紹介します。ドイツ3国では重機関銃にM2重機関銃、MG08、MG42-7.62を使用しています。これらは統一計画によりNATO弾の規格で日本、イタリア共に生産されており、アメリカでも使用されています。」
「NATOって?」
「北大西洋条約機構軍のことです。」
「…冷戦時代からの同盟か…でも、なんでその規格に?」
「史実でのドイツの敗戦後、NATO及びEUの主力を担うことになったドイツ軍はアメリカや他の国々からの支援を受ける一方で兵器の規格化がNATO全体で問題になりました、その後NATOの規格する弾薬に合わせドイツの銃器も変化しました。ですが、それなら当時でもそれは出来るはずです。」
「…技術の先取りってこと?」
「はい、そうです。」
「だから、この国にもこれがあるんですよ。」
彼女は、そういうとM1911を取り出した。
「…どこにでもあるのか、ガバメントは。」
「ええ、これからはもっと地獄になりますよ。日本でもピックアップトラックが生産されて、戦艦大和の技術を使った巨大タンカーが開発されています。核開発は抑えていますが、弾道ミサイルの完成は近いです。」
「史実通りに…第二次世界大戦後の冷戦までたどり着けそうなんだ…。」
「そうです…ですが、私達は総力戦による大量の死者が出ることを望んでいます。」
「…酷い言い方だね。」
言いたいことはわかる、仮想戦記というやつでもし、富嶽や震電が出来ていたらというようなもしもの世界を実際にやっているのだろう。
地形は違えど、そうかもしれない。
ただ、こうなるともう俺の手には負えないのは確かだと思った。
「まあ、それは置いといて装備の話をしましょう。兵器はすぐにお届けしますので待っていてくださいね。」
「ああ、弾薬多めで…。」
「はい、まずはMP40ですね。MP18、MP28、MP35、MP41、EMP35、予備ストックのMP3008、EMP44が生産されていますが、MP40を支給します。それと、M1911とエンフィールド・リボルバーですね。」
「MG42は?」
「まだ、渡しません。」
「あった方がいいとは思うけど…。」
「ダメです。」
「けち。」
「どうせ、ぶっ壊すんでしょ?」
「撃ってたら、内部も壊れるだろ?」
「日本軍、自衛隊は銃器を大事にする組織と聞きましたけど?」
「カチューシャ、ジャンヌ、桜は銃は消耗品だから交換して使って、弾はいくらでも使えって言ってたよ。」
「…その通りですね。Kar98kはあげますから。」
「stg44は?」
「…まだ、早いです。」
「あれ、結構良かったんだけどなぁ。」
遠回しに欲しいアピールしたが貰えなかった。
Stg44は、アサルトライフルの祖先と言うべき存在でAK47、M16などのその後の突撃銃に影響を与えている名銃の一つだ。
だから、かなり戦場でも重宝するはずである。
「まだ、あなたには早いですよ。」
「そう?ところで、そのアインホルンさんはどんな武器を?」
「エヴァでいいですよ。…私は普通のですけど?」
「対戦車ライフルか、機関銃?」
「そうですよ。」
「その…君も魔法が使えるの?」
「使えますよ、教えませんがね。」
「そっか…ところで、このシガレットケースの中の毒針入り?」
「自決ようではありません。ただの嗜好品です。」
「そっか…それじゃあ…。」
「私の前では吸わないでください。」
「…彼女でもないんだし。」
「むぅ…。」
「よく言った冗談だって…吸わないから…ああ、でも咥えちゃったし…。」
「仕方ありませんね。よっ、っと…。」
俺から葉巻を取り上げると水たまりにエヴァは葉巻を投げた。
「…もったいない。」
「他にも、ありますよ。」
「それはありがたい…。」
「この国にいる間は、娼館に行くのは禁止ですよ。」
「約束はできないかなぁ…いやっ、そもそも未成年だし…ローマ帝国だったから、行かないようにするよ。」
「約束ですよ。」
「破ったら?」
「拷問します。」
「…約束するよ、絶対に行かないって…。」
「出来ればここで、指輪を嵌めたいですね。」
「ここじゃ、花嫁は呼べないよ。」
「花嫁候補でもいるんですか?」
「…いないよ。元の世界に帰ってからかな…可愛い娘がいいって、痛っ!」
何か気に障ったのかエヴァは俺の脚を蹴った。
「幸せそうで良かったです。」
「痛いって…。」
「それじゃあ、ジャンヌとカチューシャ、桜だったら誰を選びます。」
「う~ん、その3人だったらカチューシャ…ん?何で、その名前を?」
「魔女ですもの。」
「そっか…じゃあ、君に乗り換えようかな?」
「魔女の嫉妬は手痛いものですよ?」
「…それは嫌だな。」