羅伊戦争Ⅵ スエズ運河の墓標
ローマ帝国 ローマ
3月11日
「お待たせ、少年。」
「あっ、はい。皇帝陛下。」
「ん?どうかしたのかい?」
「いえっ、何でもありません。」
俺は、ネロの母親から貰ったエメラルドのブローチのことは言いつけ通りに離さないでおいた。
ネロの後ろに、俺の大事な3人娘が連なっていた。
全員がズボンを履いており、その上にドレスのように布地が長く、大きくパーツごとに分かれている緑色で色気のなさそうな戦闘服のような物を身にまとっていた。
軍服よりかはボタンを閉めたトレンチコートに4か所腰までの切り込みを入れたという方が正しくはある。
そして、紅はその切れ目から日本刀が見えていた。
「…。」
「主殿?どうかされましたか?」
「ああ…何でもないよ。」
「ご主人様?何かおかしな所がありますか?」
「…そうじゃないよ、ステラ。」
「本当でございますか?」
「ああ。」
「ふふっ、ご主人様…もしかしてこの前のヒラヒラをめくりたいんですか?」
「こらっ、ミア…皇帝陛下の前で…。」
「我は構わない、存分に楽しむと良いぞ。」
「ご主人様♡はやく、はやくぅ♡」
「ああ、もう…。」
紅とステラからものすごく冷たい視線を感じながら、ミアの前のヒラヒラを持ち上げる。
当たり前だが、そこにはベルトの金具があった。
「ああん、もう…ご主人様…。この続きは家に帰ってから…。」
「うわあ…。」
「ご主人様…最低でございます。」
「…。」
なぜか、してやったりなネロが気になったが正直どうすればよかったのやら。
少し頭が痛くなった。
「それでは、少年…良い戦果を…。」
そう言い残し、ネロは格納庫を後にした。
「ああ、そうだ…ステラ、ミア、紅…あそこに居るのはボブとカールだ。」
「知っています。」
「…えぇ?」
「だって、ミア達はネロ様の力で動いているわけだから他の個体とのデータのやり取りもできるし…。」
「主殿の部隊に、拙者達も配備されたのでそれくらいおちゃのこさいさいです。」
「そう…武器の方は?」
「用意できていますよ、予備の物の輸送も手配してありますし、家に持って帰る武器も車に積んであります。」
「それじゃあ、帰りましょうか。」
「ああ…。」
その後は、アレッシアの家に帰った。
帰宅してすぐに、マリーノ家に軍から武器が届いた。
武器は、俺やステラ達の物だけではなく、イレーネやロザナ、アルノルド、ヴァレンティーナ、レオニダ、アレッシアの分も届いた。
武器は、カルカノライフルはもちろん、Villar PerosaM1915やWinchester Model 1897などが届けられた。
普通に、銃撃事件くらい引き起こせそうな量の兵器だというのは言うまでもない。
今日、3月11日にはローマ帝国とイタリア王国の開戦記念日だった。
明日から、忙しくなるのは言うまでもないが…今日は今日で忙しかったというわけだ。
そして、この日の夜…。
「あの…ミア…一体何しに?」
「夜這いです。」
「…ステラも紅も居るのに?」
「《自主規制》しましょう、主殿。」
「今日しかないんですよ…ご主人様…。」
「それが、わかるけど…。」
「さあさあ…。」
若干の眠気を感じながら、俺は寝室に居た。
寝るつもりだが、寝るつもりなのだから、寝るのだ。
…ちなみに、レオニダは彼の彼女の所へ夕食を食べに行ったきり帰って来ない。
男たるもの据え膳食わぬは男の恥とか、地で行くタイプではないが…基本はそうする。
しかし、なんていうか…若干気乗りしなかった。
それが、この2択だった。
まず、今日俺はネロに戦場を見せてもらった。
軍人として遠くの味方を思うのは当然であり、慎むのが正しいと思う。
だが…。
「なっ、ステラ…。」
「いいじゃないですか…ご主人様…。」
ステラがベッドに腰を掛けた俺を後ろから抱いてくる。
「主殿…いい匂いがします。主殿の男の匂い…もう紅の癖になっております。主殿は、紅のうなじが好きでありましたしね。」
「紅…。」
紅は俺の右側から俺の右腕を掴み、身体を寄せてきた。
そして、ミアはというと…。
「ご主人様の膝の上に座ってしまいました。…出来の悪いメイドにはご主人様がお仕置きをするのが常識でございます。…ご主人様…大変ですねぇ…。もう3人に身動きを封じられては動けはしないでしょう。…もっとも、力づくですとご主人様がネロ様に私達に暴力を振るったことが伝わって、戦時中だというのに処分されてしまいますね。」
「お仕置きなら…大丈夫じゃないのか?」
「ええ、だから…お仕置きをしてください♡ご主人様。こんな、ご主人様を求めてしまう私達3人にどうかご主人様の強さを教えてくださいませ!」
その後、俺は彼女たちにお仕置きをした。
どういうお仕置きをしたのかは言わないが、少なくとも俺は童貞である。
そして、後にも先にも童貞だ。
翌朝
寝不足のような感じで、若干頭が回らない中…部隊の訓練を行った。
訓練場はどこも予備役や学徒、新たな志願者で全て埋まっている為、ロボットの演算機能を使いシュミレーションを行った。
シュミレーションと言っても、3Dゲームのような大層なものではなく、プレステ2くらいの3Dポリゴンが行動をするのを指示するだけだった。
エフェクトも低出力だが、人体の破損箇所はゴムのように覆われたガラスが砕け散るような感じで、血のようなものが流れるのを見ることができた。
結論から言うと、人類の関節とか既に判明しているので動かす分には何も苦労はしていないのだろうと思った。
そして、今度俺はローマ南部に向かう。
元の世界のイタリア南部、シチリア島のカタルーニャという都市の方だ。
この場所は、地中海の島でローマ帝国では北にあるコルス島、サルデーニャ島の防衛線の位置づけでローマ帝国内海艦隊と共に防衛線が敷かれることになっていた。
ローマを離れた、俺は南部の防衛線であるカタルーニャまで船に乗り、列車に乗り、シチリア島カタルーニャに着いた。
そして、そこから他の兵士はマルタ島、チェニス方面に向かった。
シチリア島には、俺とアレッシア、紅、ステラ、ミア、イレーネの6人だった。
レオニダ、アルノルド、ヴァレンティ―ナ、ロザナはスイスのベルンの方へ向かった。
事実上の北部最後の砦であり、そこを超えられればローマ帝国は滅亡すると噂されていた。
3月13日、ローマ帝国の偵察機が水の魔女アンジェラを発見。
海域への増援部隊を要請され、水上艦艇がジブラルタル方面へ移動を開始。
ラジェス航空基地からの連絡が途絶え、奪還作戦の為の陸上部隊が各地の港に集結。
3月14日、元の世界のスロバキアBardejovに海中を侵攻していたイタリア王国軍による上陸作戦が行われた。
これに、続き海岸付近で敵の電撃上陸作戦が行われ、イタリア王国によりカイロへの占領を許したものの他の地域では防衛に成功した。
カイロへの攻撃に際して、ローマ帝国はスエズ運河の封鎖を決める。
これにより、予備戦艦計6隻を含む大型艦艇30隻を自沈させ完全に封鎖した。
そして、最後の奉公とばかりにイスマイリヤの港で艦を横倒し半陸上砲台と化した標準戦艦のロユエラの305mm砲が南に向けられていた。
そして、砲撃後、艦を自沈させた。
スエズ運河は封鎖されたが、陸上に上がってしまったイタリア王国軍に対して、ローマ帝国は敗走、ドイツからの使者であるErwin Johannes Eugen Rommeがこの上陸作戦の際に参加していると皇帝ネロに判断され、アレクサンドリア近海に肉薄し内陸への戦艦による無差別砲撃と、侵攻予測地点への280mm列車砲、305mm列車砲等の制圧砲撃を行い一時的に侵攻を遅らせるなど防衛線を張り、戦闘を行ったが、イタリア王国軍の進軍を完全に止めるには至らなかった。
3月16日、イタリア王国によりローマ帝国艦隊の敗北が両国民に知らされた。




