邪神のスカウトとふかふかベッド
邪神を名乗る少年は、仲間にならないか、と言った
「何故だ?」
「ただ、君に興味があるだけさ。」
「断る。何が好きで悪堕ちエンドを迎えなきゃならない。」
「アクオチエンド?何かの魔法かい?」
だんだん返答が面倒になってきたので少し嘘を吐く
「ああそうだ。俺は異世界の神の加護があってな、敵側に寝返れば世界が吹き飛ぶ、そうだな…邪神ですら滅ぶ断罪の焔が世界を燃やし尽くすだろうな」
「そうなんだ・・・じゃあボクも手を引くよ。んじゃ、面白い話を聞かせいてくれたお礼に魔王軍を倒してから帰るね~」
信じたかどうかは分からないが、一応諦めたようだ
「ん?魔王って仲間じゃないのか?」
「仲間だけど、ここにきている第8魔王は敵対してるね、ちなみに魔王は全部で16人いるよ。これを口実にすれば爺の説教も回避できるかもしれない」
なんて言う、邪神の呑気な声。
しかし、魔王が複数いるのは初耳だ。
「それじゃ、僕は帰るね!」
言いたいことだけ言って帰ってしまうようだ。
漆黒の翼をはためかせて魔王軍の方に行ってしまった。
約束は守るようだ。
その後、青い炎が魔王軍を包んだ。
ーー魔王軍全滅後ーー
「勇者殿、それは本当かね?」
今、勇者こと高遠 零夜は、王様と豪華な食堂で食事兼会議をしていた。
「そうですね、邪神と名乗る小年が現れて、仲間にスカウトしてきましたね。まぁ、ことわりましたが。それと、あの時の青い炎は邪神の魔法らしいです。奴曰く、第8魔王は敵対してるらしいですね」
そして、俺の言葉に王様ーーカイル王は、顎髭を撫でながら何か考えているようだ
「ふむ…邪神とな。邪神は今残っている歴史の初期に現れていて、魔王の良くて数倍、もしくは数十倍、数百倍の力を持つと言われているな。」
虚空から現れていたのも魔法なのだろうか
「王様、邪神が何もないところから出てきたんだけど、それは魔法なんですか?」
「ああ、そうじゃなぁ…確か、時空魔法に瞬間転移があったような…じゃが、もう使い手はいなくなってしまったのじゃ。膨大な魔力が必要じゃが、魔法陣でそのような物はあるがのぅ」
虚空から現れた正体の時空魔法。
興味深いな。魔法が、イメージ力が重要なら、現代知識がある分有利かもしれない。
『マスター、魔法については私が誰よりも詳しいはずです。魔法については私におまかせください。』
少し拗ねたような口調の叡智、もといアンドレアルフス、アンドレだ。
ソロモン72柱の悪魔、序列65位の大侯爵だ。
天文学に精通させてくれる他、幾何学を完璧に教え、弁論術、測量も教える悪魔だ。
叡智、要するに優れた知識という意味のスキル名だから、それに近い名称を俺のオタク知識総動員で考えた。安直だなんて言わないでくれ。
それと
(アンドレ、魔法ってどのくらいあるんだ?)
『基本的に属性魔法と呼ばれる、火、水、土、光、闇属性があり、無属性と呼ばれる物があり、その殆どが固有です。また、時空魔法や呪術、原初魔法なども属性外として存在します。そして、魔法にもランクが存在し、初級、中級、上級、極級、将級、王級、霊王級、災厄級、神級が存在します。過去に人間が到達できたランクは霊王級までです。』
多いな…
(俺のステータスには虚無魔法があったが、それも属性外なのか?)
『はい、そうです。過去に一人、使えた者もいるようです。空間を削除できる魔法のようです。もちろん、制約も存在します』
それってある意味最強じゃ…?と思ったが制約はあるようだ。まぁ、当たり前だよな。
「ーーと、話はここまでにしておくかの、勇者殿も疲れているようじゃしの。ゆっくり休むと良い。勇者殿の部屋は廊下に出てから右に進めば281番部屋があるから、そこを使うといい。それと、夕食は侍女に部屋に持って行かせるから、勇者殿は部屋で待っていると良い」
魔法のことについて聞いている間にしばらく経ってしまったらしい。
「はい、そうさせてもらいますね」
食事もちょうど終わったので、静かに椅子を引いて立ち上がり、食堂から出る。
「はぁ、初日から魔王やら邪神やらが来るなんて、めっちゃ疲れた…」
『それは災難でしたねぇ』
俺の愚痴に他人事のように言うアンドレ
「おい、そういうお前だって現場にはいただろ?実体は無いけど」
『そうでしたね、あらやだ、最近忘れっぽくて』
「はぁ、もういいや」
近所のオバちゃんみたいなことを言い出すアンドレに呆れるが、肝心の部屋が見つからない。
「部屋どこだっけ」
『……。6m後ろの281号部屋です』
「おい、今の間はなんだ、呆れたよな?ん?」
少し間の空いた不自然な、呆れたような間の開き方だったので文句を言うが、アンドレには惚けられてしまう
『私だって思い出す時間くらいありますよ?』
「ちっ、まぁ良いか、部屋は・・・ここだよな」
少し歩いたところに281番部屋と書かれたドアがある。ここだろう。
「おおっ、広い部屋だな。綺麗だし、ベッドもフカフカだぁっ!」
異世界にきてから、中世くらいの文明で生活するのか、と思っていた零夜だったが、王城だからか、思ったよりふかふかのベッドがあった。
『マスター、スキルの確認をしましょうか?』
アンドレの提案に俺は頷く。
だが
「ステータスって水晶がないと無理なんじゃないのか?」
『マスターならできます。ステータスオープンと唱えてください』
「そ、そうか。ステータスオープン」
すると、水晶に触った時のように、青白いホログラムが表れて、俺のステータスを表示した
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高遠 零夜
Lv.1→10 UP
HP:3000/3000→4500/4500 UP
MP:2500/2500→3500/3500 UP
(力)STR:200→400 UP
(器用さ)DEX:500→1000 UP
(丈夫さ)VIT:150→300 UP
(俊敏性)AGI:190→400 UP
(知力)INT:300→500 UP
(精神力)MND:50→130 UP
(運)LUK:10→9 DOWN
スキル
夢幻回廊Lv.1
愚者の夜会Lv.ー
調停者Lv.1
召喚術Lv.1
投擲術Lv.5→6 UP
気配察知Lv.9
気配隠匿Lv.9
高遠流体術Lv.10
高遠流剣術Lv.10
虚無魔法Lv.1
叡智 NEW
称号
勇者
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全体的に上がってはいるが、|LUK(運)が1だけ下がってる。
邪神に目を付けられたからか?
『災難でしたねぇ』
部屋に入る前に言ったセリフとほぼ同じことを言うアンドレ
「はぁ、それ2回目だぞ...ま、いっか。夕食が届けられたら起こしてくれ、んじゃ」
俺は装備を椅子に放り投げてからふかふかのベッドへ飛び込んだ。
ふかふかベッド、、、
低反発ですかね?
アンドレさんはきっちりした秘書みたいな感じですよ、ハイ。
彼女は怖さで言ったら邪神を上回ります。