天国か地獄(2)
彼が歩いている周りにはかつて街があったらしい。けれど今は何もない荒れた場所になっていた。壊れた建物、電柱、車、標識。地面は殆どアスファルトはなく、雑草が生い茂っていた。
晴れた昼の日差しが彼にはまぶしく、そのせいであたり一帯は汗をかくほど暑く、彼の意識はそのせいでもうろうとしていた。政府都市に行くという目的だけが彼を突き動かしていた。
彼は途中で壊れた水道管を見つけた。急いで駆け寄って水道管から噴水のようにあふれ出てくる水をがぶ飲みした。顔と前髪が水で濡れたけれど彼にはそれが嬉しかった。暑くてしかたなかったからだ。
水を飲み終えた後、彼は頭を振って顔と前髪の水を頭をはらった。暑さがじわじわと戻ってくるのを感じた。
「あとどれくらい歩けばいいんだろう....」彼はそう思い始めていた。疲れと暑さのせいで記憶があいまいになっていた。
水のおかげで意識が少し戻ったのでまた歩き始めた。
「都市についてからの計画はもう既に頭の中にある....」彼は旅の途中頭の中で何度も何度もその計画を繰り返しリハーサルしていた。リハーサルしながら何度も何度も計画を調整し、完璧なものにした。
やがて彼は壊れた街を出た。
そこには、ある女の子がしゃがみこんでいた。