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失くして掴んだ、知らない世界

作者: 極月シンヤ

 水平線の彼方に、オレンジ色の太陽が沈んでいく。

 日の光に彩られた空は朱色から青へのグラデーションを描き、反対の空ではゆっくりと夜の帳が降り始めている。

 そして沈み行く太陽を受け入れる大海原は、波のリズムに合わせて光を放ち、まるで僕を魅了するかのように瞬き躍らせる。

 岬から見ているこの風景は、時が経つにつれ姿を崩して消え去ってしまうだろう。

 だが僕は、この儚い一時の風景に感慨する事も心打たれる事も無い。その光景をただ見つめるだけ。呆然と眺めているだけ。

 僕の心は既に、綺麗なモノを綺麗だと捉えられなくなってしまっていたから。


 ――世界の九割は、敵意と悪意で満ちている――


 その真実を垣間見てしまった僕は、もうこの世の姿を素直に受け止める事なんて出来ないだろう。僕の事を見捨てた世界は、きっと死のうが生きようが構わないと判断するだろう。

 だから、僕はこの世との関係を断ち、この世から発つ。

 海へと誘うように吹く陸風に身を任せ、僕は彼女と繋いだ手を握りなおした。



 夕焼けに染まり始める空。目の前には漠然と広がる海。僕と彼女の間を吹き抜ける生暖かい潮風は、いったい何処へ向かうのだろうか。

 僕達はただ、何をするでもなく岬の先端で腰を落ち着かせて海と空を眺める。

 それはいつもと変わらぬ日常、いつもと変わらぬ時間、いつもと変わらぬたった二人だけの為にある場所。それは、世の中で傷つけられた部分を舐め合う特別な場所。

「……ねぇ、なんで私達はクラスの皆に虐められるのかな――」

 不意に、僕の隣で膝を抱えて座っていた彼女から溜息交じりの呟きが漏れる。

 彼女の問いかけは、クラスや学年、学校が変わっても虐められ続けてきた僕が、何度も思考し苦悩してきた問いかけと全く同じものだった。

 引っ込みがちな性格で自己主張の少ない僕は、社交性があまり無かったと言う自覚はある。人から根暗だと言われて、完全に否定出来ない事もわかっている。

 でも、何故皆はイジメの矛先を僕に向けるのだろう。皆に迷惑をかけている訳ではなく、皆に敵意や悪意、害を及ぼそうと企んでいる訳でも無い。クラス内でちょっと浮いているだけの、目立つ要素も突出した長所も無いただの人間なのに。

「……ねぇ、なんで私達がこんな辛い思いをしなくちゃいけないのかな――」

 彼女から放たれた消え入りそうな二度目の呟き。彼女も、僕と同じような悩みを抱えているのだろうか?

 ふと隣に視線を投げかけると、彼女は膝の上に置かれていた頭を起こし、僕に澄んだ二つの瞳を向けていた。

 わずかにクセのある短めに纏められた彼女の髪。淡く栗色に染められたその髪が、大人びた瞳とは不釣合いな幼い容姿を際立たせる。

 そんな愛らしい彼女のスカートから伸びる雪の様に白い太股には、痛々しいイジメの痕跡が青紫色の痣となって見え隠れしている。

 教師達に気付かれぬよう、常に露出している顔や脚には手を出さず、衣服に隠れる場所のみを殴打する。悪質で陰湿なイジメの常套手段。

 きっと彼女が身に着けているブレザーの下にも、沢山の痣がつけられているのだろう。


 僕はさりげなく、捲れ上がったスカートから覗く彼女の痣をそっと優しく撫でる。痛みが消える訳でも、痣が無くなる訳でもない無駄な行為。だが、僕と彼女がこの場所へ寄り添った時には必ずしていた、傷を舐め合う際の儀式。

 僅かに表情を和らげた彼女を横目に、僕は沈黙を打ち破る。

「クラスの奴等が僕達に暴力を振るうのは、きっと僕達を『人間』と認めていないから。僕達はこの世界に居ちゃいけない存在だと奴らは本能的に感じ取り、その本能のままに僕達を迫害しているんだと思う」

 僕の口から紡がれたのは笑ってしまうような戯言。それは明らかな妄言で、十中八九などではなく完全なる虚言。嘘か真かと問われれば、答えは火を見るより明らか。

 だが、そんな言葉を頼らなくてはいけないほどに僕自身が追い詰められていた。

 学校生活は言わずもがな。生徒の悩みを聞いてあげるべき教師は、僕が抱えるような面倒ごとを毛嫌いして話を聞こうとしてくれない。まだ成人しきっていない子供のより所となるべき両親ですら、僕の事など居ないかのように構ってはくれない。

 だから僕は逃げ口上を欲した。自身で打開する事を放棄し、誰かに助けを求める事を諦め、なるべくして一人ぼっちになってしまった僕を正当化できる言葉を。

 だが『世界の九割は悪意と敵意で満ちている』と、『僕達はこの世界に居てはいけない存在』とどれほど声高に叫ぼうと。所詮それらは虚偽で塗り固められた己の中だけの真実。そんな事は言っている自分ですら、十分すぎる程に分かっていた。

 だが、それを押し通さねば自分を保つ事が出来なかった。クラス内のイジメ、僕が抱える問題を見てみぬ振りをする教師達、僕の存在なんてそっちのけの両親。逃げ場の無い現実に立ち向かっては、潰れて息絶えるのが関の山。

 だから、僕は現実から目を背ける。虚言を放って自分の弱い部分から逃げ続ける。

「でも、僕はこの世界から一人で旅立つ勇気を持っていない。だからこの世界に居てはいけないと理解していても、僕はここに居続けるしかない。どんなに苦しくても、どんなに辛くても、幾つもの傷を体につけられても、敵ばかりの世界で生きていくしかないんだよ」

 撫でる手を離し、僕は自嘲気味に視線を夕焼けに染まる海へと向ける。

 この世界に居てはいけないと言いつつも、自決しようとはしない。結局は自身が妥協して現状を生きる。言い訳だらけのズルイ生き方に、嘲りの一つや二つも出てしまう。

 だが、そんな僕の内情を他所に耳を疑うような彼女の答えが鼓膜を打つ。

「――なら、私と一緒に、この世界から旅立とうよ」



 僕はその答えに目を見開き、彼女の方へと向き直る。虚偽に満ちた自身の妄論に同意してくれた彼女への驚きと焦りで頭が回らない。

 すると彼女は僕の頬を両の掌でそっと包み込む。そして、戸惑いを隠しきれない僕へと彼女は唇を寄せる――

 そう認識した瞬間僕の唇に感じる柔らかな感触。視界に入るのは薄っすらと瞳を開けながら唇を重ねる彼女の顔。そして、直に感じる彼女の暖かな体温。

 彼女の体温が乗り移ったかの様に僕の体は火照り、あれだけ混乱していた頭の中も靄がかかったかのように停止して、淡い痺れに身を任せるだけ。

 数瞬か、数秒か。はたまた十数秒か二十数秒かが経ち、彼女はゆっくりと唇を離して立ち上がる。

「一人が怖くて旅立てないのなら、私と一緒にこの世界から旅立とう? 私も周りから虐められ続ける存在――キミの言うこの世界に居ちゃいけない存在なんだから」

 夕焼け空に包まれ朱に染まった彼女は、柔らかな微笑みを浮かべながら僕の目の前に立つ。その表情と言葉はふざけている訳でも悪乗りをしている訳では無いと一目でわかる。真剣に、心の底から思い紡いだ言葉であると直感的に感じ取る。

「毎日毎日私の傍にいてくれた、辛い時も、寂しい時も私の事を優しく撫でて慰めてくれた――私の事を認めてくれる唯一無二の存在。私が一番大切に思っているキミと一緒なら、何処へでも旅立てる。だから――」

 遠慮がちに差し出される小さな掌。悪意と敵意に満ちる世界で見つけた、唯一の拠り所であった彼女から差し伸ばされたこの世界から逃れる術。

 だが、その手を掴んだ先に待ち構えるのはこの世界との決別――つまりは死。

 そう認識した瞬間、ゾクリと背筋に悪寒が走る。

 大きく脈打つ心音がやけに耳に付き、全身の汗腺からは気持ちの悪い汗がドッと噴出す。

 ――それは、初めて『死』を認識した事による恐怖。軽々しく『この世界から旅立つ』と口にしていた言葉の意味と、その危険性を今、この時初めて思い知らされる。

 僕は微かに身を震わせながらも、彼女から差し出された手を見つめて、再度顔色を窺う。

 彼女の表情は、全てを悟りきったような、全てを理解したような、全てを受け入れたかのような――彼女の綺麗な瞳には、もう揺らがない決意の色が見て取れた。それは、僕の妄論を疑う事無く信じ、二人で一緒に終わりを迎える事を受け入れているかのよう。

 そこで、僕は初めて彼女が皆から虐めを受けていた理由を悟る。

 見た目は愛らしい普通の女の子だが、皆はどんな嘘偽りでも疑わない純粋すぎる彼女の心を恐れたのだ。この様子だと、きっとどんな冗談、どんな悪ふざけ、どんな戯言でも彼女は信じて疑わなかったのだろう。

 全く相手を疑わずに信じる心は、狂気以外の何者でも無い。

 きっと彼女に『お前が死ななければ、全人類は不幸に見舞われて滅亡する』と事実無根の言葉を伝えたならば、なんの疑いも無く命を投げ出すだろう。僕が放った虚偽で塗り固められた妄論ですら信じる彼女だったら、本当にやりかねない。

 僕の言葉を信じきってしまった彼女は、僕が手を取っても取らなくても、『この世界から旅立てば――要するに、この命を断てば、次の世界が私を待っている』と信じてこのまま身を投げるだろう。

 ――そして僕は、彼女と共に死を迎えるか、差し出された手を払って彼女の思いを裏切るかの二択しか存在しない。



 僕は二つの選択を前にして唾を飲む。心を落ち着かせるようにゆっくりと瞳を閉じる。

 どちらを選んでも、行き着く先は最悪の結果。だけど、臆病な僕にはこの選択肢しか考えられない。

 僕は閉じていた瞳を開けて顔を上げた――

「そうだね――僕も一人じゃないなら寂しくないし、怖くもない。だから、一緒にこの世界から飛び立とう」

 その言葉と共に僕は彼女の手を取って立ち上がる。

 僕よりも背の低い彼女は、自身の死が迫っている事を理解していないような無邪気な笑顔で僕を見上げる。

 夕焼け色に染まる彼女の笑みは、今まで見てきた中で一番の輝きを誇っており、溢れんばかりの幸せに満ちていた。本来ならばその笑顔で癒されるのだろうが、僕の心はズキリと握り潰されたかのような鈍い痛みが駆け抜ける。

 ――僕達はこの世界に居ちゃいけない存在――

 僕のこんな妄言で、彼女の命を死へと誘ってしまった。それは心の拠り所の無い僕の傷を舐めてくれた彼女を、死へと追いやった事となんら変わりは無い。

 ――世界の九割は、敵意と悪意で満ちている――

 それが妄言ではなく、自分の中では破る事のできない絶対なる真実であったからこの道を選ぶ他なかった。

 世界の九割を占める敵意と悪意、そしてそれらに含まれない残りの一割。その残りわずかな世界の一部である彼女の事を、一緒にこの世界から旅立ってくれると言ってくれた彼女の事を、僕はどう足掻いたって裏切れるはずがない。

 こんな笑顔を向けてくれる彼女を、敵意と悪意の側にまわしたくなかったし、何より彼女を追い詰めたくは無かった。

 だから僕はこの結末を受け入れようと彼女と共に手を取りながら、真っ赤荷染まった大海原へと歩みを寄せる。



 後悔が無い訳ではない。もっと違う形で彼女と出会っていれば、こんな結末を迎える事は無かったのかも知れない。もっと仲良くなれて、二人で支えあって、クラスの虐めなんかに負けず、それなりに楽しい学校生活を送れたのかも知れない。

 でも、こんな結果を招いたのは全て僕の責任。きっと、自身で行動を起こさず現実逃避に走ってしまった僕へ、神様が下した罰なんだと思う。

 だったら、僕は甘んじてこの罰を受け入れます。僕を信じて巻き込んでしまった彼女への償いと一緒に、全ての罰を一身に受けて命を断ちます。

 僕達は遥か目下に揺れる海面を前に一度立ち止まり、どちらからでもなく抱き合った。

 それはお互いの存在を確かめ合う抱擁であり、二人は何処に行っても一緒だと確かめ合う抱擁。

 僕達は、強く、強く抱きしめ合いながらこの世から飛び立つ。

 その瞬間襲い掛かる浮遊感、そして耳元で鳴り響く風を切るような轟音と、腕の中に在る確かな温もり。


 それらを感じながら、僕は強く、強く願った。

 もしも、本当に新しい世界へと降り立つ事が出来たのなら、その時はまた彼女と出会いたい。

 その世界も九割が敵意と悪意に満ちていたとしても、僕が彼女を守る残りの一割になりたいから。

 ――そして今度こそ。目の前に広がる世界を、二人で一緒に歩んで生きたいから――



 意識が朦朧としながらも、僕は薄っすらと目蓋を上げる。

 最初に視界へ飛び込んできたのは、薄暗い中ぼんやりと浮かび上がる木の天井。天井を這うように浮かんでいる木目は、幾年月を経てきている様でかなり黒ずんで見える。

 視界の隅には天井に吊るされた白熱灯が、温かみのある淡い光で薄ぼんやりと辺りを照らしている。

 僕は寝起きのまどろみを楽しむかのように、呆然と天井を見上げて深く深呼吸をする。

 全身へと酸素が十分に満たされたような感覚で、意識も視界もまどろみから解放される。そして、頭がようやく廻り始めたところでやっと異常事態に気が付いた。

「…………ここは一体何処なんだ?」

 この状況を把握する為、僕は身を包んでいた布団を跳ね除け身を起こす。しかし身を捻ったその瞬間、全身に鈍器で殴られたかのような鈍い痛みが走り、息が詰まる。

 背中から手先、足先へと容赦なく自己主張を始める痛みに顔を歪め、歯を食いしばりながらもゆっくりと身を起こす。

 覚えの無い痛みに舌打ち、憤りを感じかけたその時、一人の女の子と一緒に岬から飛び降りた光景が脳裏をかすめる。

 彼女の儚い笑顔が頭を過ぎった瞬間、心臓が一際大きく跳ね上がる。

 しっかりと抱きとめていた彼女。僕は今ここに居る。しかし、彼女の姿は見当たらない。もしや途中で気を失った時に手を離してしまったのか。そして、僕達は海の中で生き別れて――

薄暗い部屋のせいなのか、悪い想像ばかりが頭の中に充満していく。

 体中が痛む原因は彼女と一緒に飛び降りた際、海面に叩きつけられた時に負ったものだと気が付いたが、今はもうそんな事どうでもいい。

 胸の中に膨らむ焦りと、全身から吹き出る嫌な汗。それらを感じながら、周囲を慌てて見渡し、無作為に自身の周りを手探る。

 この世界で一番大切な人。僕のことを『一番大切に思える人』と微笑みかけてくれた彼女。僕の妄論を信じてこの世界と決別してくれた彼女――初めて苦難を共に乗り越えて生きたいと思えた彼女。

 ――そんな彼女は、僕の焦りを他所に静かな寝息を立てていた。

 燈台下暗し、とでもいうのか。僕は呆気ない幕引きに思わず苦笑いを浮かべて肩を落とす。

 何かの夢を見ているのか、幸せそうな微笑みを浮かべて眠る彼女を確認した瞬間、少々の呆れもあったが、深い安堵の息を吐き出す。

「よかった。僕達は、まだこの世界で生きている」

 彼女がまだ健在である事も分かり、僕は改めて自身を取り囲む環境を見渡す。

 辺りは見覚えの無い古めかしい和室。客間として使われているのか、タンスや棚等の家具は無く、ただ部屋の端にちゃぶ台が立てかけられているだけの何も無い部屋。

 そして僕の服装。学校指定の制服を着ていたはずだが、いつの間にか自身の服装は藍色の作務衣になっている。

 きっと僕達が心中を図って、飛び降りたところを助けてくれた人が着替えさせてくれたんだろうけど――

 僕は眉を潜めて、この先に待ち構える状況を予測する。

 学校生活と同じく悪意と敵意に満ちた世界ならば、彼女を叩き起こしてでもこの場から離れなくてはいけない。

 今この部屋に居るのは僕と彼女の二人だけ。僕の体は痛みが走って動きづらくはあるが、鞭打てば彼女を抱えて逃げる位のことはできるだろう。

 だが、そうする事に一抹の不安が過ぎる。

 ――もしも、僕達がこの世界から飛び立つ事に失敗したと彼女が知ったら、もう一度命を断とうと言い寄ってくるのだろうか?

 その可能性は限りなく高いような気がした。『早くこの世界から逃げ出そう』そう詰め寄ってくる彼女の姿を安易に想像する事ができてしまう。

 だが、今の僕はそんな事を望んじゃいない。

 僕の妄論が、彼女を死へと誘ってしまったのは重々承知している。その上で、僕は『まだ死にたく無い』と自己中心的な答えを声高に叫ぶ。このまま命を投げ出してしまうのは嫌だと、生きる事に執着してしまっている。

 そんな利己的で矛盾した思いが出てきたのも全て、隣で眠る彼女と一緒に居られる未来を大切にしたいから。そんな思いが自身の中に芽吹いた事を実感してしまったから。

 だが、僕の思いで彼女の心中願望を抑える事が出来るだろうか。妄論を吐いていた僕の言葉で、彼女を説き伏せる事ができるだろうか。

 そして、生きる為に必要な衣食住を全て失った僕達が、悪意と敵意に満ちたこの世界で生きていけるのだろうか。

 今彼女の手を取り逃げ出したとしても、まだまだ若い僕達には生きていく事すら難しいこの世の中。

 そんな目先の事を考えただけで、彼女の手を取る事を躊躇ってしまう自身の臆病加減に嫌気が差し、僕は布団から身を起こした姿勢のまま見知らぬこの部屋で途方に暮れてしまっていた。



 呆然と辺りを見回していると、廊下を軋ませてこちらへ向かってくる足音に気が付いた。

 僕は緊張によって身が強張りながらも、息を殺して注意深く襖へと視線を向ける。

 自分達を気遣ってなのか、遠慮がちに開かれる襖。そこから現れたのは、顔に多くの皺を刻みこんだ老人の姿。

「よう、坊主の方はもう起きてたのか。なんなら話が早ぇ。色々聞かなきゃならねぇ事と、聞きてぇ事があんだ」

 僕と同じ藍色の作務衣に身を包んだ老人は静かに襖を閉めて、僕の隣へと腰を下ろす。

 年老いて尚、やせ細る事無いまだまだ逞しい老人の二の腕は、その顔と同じく太陽により焼けており常に外で仕事をしている事を連想させられる。

 そんな老人は顔の皺を一層深くするように楽しそうに笑みを作る。声はしわがれているが老人とは思えぬ程ハリがあり、その表情と共に元気が漲っている。

 そんな老人の姿を僕は警戒心を剥き出しにしつつ身構える。

「オィオィ、そんな怖い顔するもんじゃねぇ。なぁに、聞かなきゃならねぇ事ってのなぁ、坊主の体調の事だよ。で、どうだ。手足が痺れたり、視界が二重になったり、頭痛、吐き気がしたりってなぁねぇか?」

 おどけた老人の調子に拍子抜けしてしまったが、僕は言われた症状が出ていないか自身の体を気にしながら、手足を少し動かしてみる。痛みは走るがどの箇所も痺れて動かないなんて事は無い様だった。

「いえ、痛みはありますけど痺れたりって事は無いです。痛いのは背中から手足にかけてで、頭が痛かったり吐き気があったりって事は無いです。もちろん、視界もいつもどおり普通です」

「そぉかいそぉかい。あんな高いところから落ちたってぇのに、骨折も外傷も無く打撲だけってか。カッカッ――命が助かっただけでも強運なんだろうに、坊主は俺達たぁ違って、よっぽど神様に愛されてると見える」

「……僕達は神様なんかに愛されていませんよ。今生きているのが神様の意志なのだとしたら、きっと僕に科された罰。せいぜい苦しみながらこの世界を生き抜いて、その後に朽ち果てろって事でしょう」

 目の前の老人は、軽口のつもりで『神様に愛されている』と口にしたのだろう。

 だがその言葉を受けた事で、僕の胸中を暗く澱んだ感情が占める。

 別に目の前の老人が気に食わない訳では無い。だが、僕が今まで受けてきた周囲からのイジメ、その光景を見て見ぬ振りをし続ける先生、僕を我が子とも親達の態度。

 そんな理不尽な境遇を思い返してしまうと、溢れんばかりの苛立ちが鎌首をもたげる。それを僕が我慢できずに吐露してしまい、あたかも八つ当たりしているような格好になってしまう。

 『世界の九割は敵意と悪意で満ちている』そんな世界を作り上げた神様。そんな神様に愛されたところで、幸運など訪れるはずも無い。

 訪れるのは九割の敵意と悪意。幸運などせいぜい世界と同じで一割程度に違いない。

 彼女と共に歩みたいと願ってはいるが、この世界に対する思いが変わったわけでは無いのだ。



 口走ってしまった僕の言葉を怪訝に思ったのか、老人は胡坐をかいた膝の上に肘を突いて僕の顔を覗きこむ。

 その瞳は、僕を品定めしている様な妙に湿った粘り気のある視線。

 僕はその視線によって作り出された居心地の悪い空気に耐え切る事ができず、身じろぎして睨み返す。

「なんですか? 別に貴方を責めている訳じゃないです。ですから、そんな目で僕を見るのは止めてくれませんか。見られているこっちは溜まったもんじゃないんです」

「カッカッ――そう邪険しなさんなって。ただ、坊主の言葉が本心だったみたいで驚いていただけだ。坊主みてぇな若ぇモンが、自暴自棄でなく、冷静にそんな言葉を吐くもんだから、ちょいと珍しくってねぇ」

 実に愉快そうに語る老人。その瞳は先の湿り気を一切含んでおらず、この状況を楽しんでいるような感じさえする。

「さぁて――そんな坊主だからする質問だ。始めに言った『聞かなきゃならねぇ事』と『聞きてぇ事』――これの『聞きてぇ事』の話になんだが、大真面目な話になるからしっかり考えて答えてくれ」

 先ほどとは一転して浮かべていた笑みを消し去り、真剣な表情と視線を向ける老人。

 僕は老人の口から紡がれる言葉を、息を殺して待つ――一呼吸置いた後、老人の口から出てきたのは意外過ぎる突飛な言葉。

「坊主、それからそこで寝ている譲ちゃんも。これから行く当て、帰る当てが無いってんなら、この島で暮らしちゃくれねぇか?」

 唐突過ぎるその言葉に、僕は二の句を出せずに頭の中が真っ白になって呆然としてしまう。

「勿論、この島での仕事をこなして貰う事になるが、馬車馬みてぇにこき使うって訳じゃねぇ。それに、仕事さえしてくれれば衣食住全てを整えてやる。俺は坊主と譲ちゃん二人が、この島で働いて暮らしてくれりゃぁ文句は言わねぇ。なにか困った事がありゃぁ、俺が手を貸すし、仕事を探すならいくらでも紹介してやる。だから、頼む――」

 矢継ぎ早に老人の口からはこの島での生活保障を述べ、この島での生活を推し進めてくる。さらには頭まで下げられてしまう始末なので、僕は慌てふためきながらも何とか言葉を紡ぎだす。

「ちょ、ちょっと待って下さい。話が突飛過ぎてついていけない。イキナリこの島に住まないか何て聞かれても、おいそれと答えを出す事なんて出来ません。それに、僕達は完全に余所者ですよ? 身の上も何も話していない僕達を、どうしてそんな簡単に受け入れようとするんですか?」

 老人は下げていた頭を上げて一呼吸を置いた後、語り辛そうに口を開く。

「余所者とか、身内だとか――そんな事を言って居られないほどにこの島は切羽詰まってんだよ。

 坊主は知らねぇかもしれねぇが、この島は過疎化と高年齢化が進んでよ。若ぇモンが誰一人として居ねぇんだ。若ぇ奴等はみぃんな手前の家業なんか放り出して、島を出て都会暮らしに走っちまってる。まぁ、満足のいく娯楽も買い物する場所も無いこの島にゃぁ、住みづらくてしょうがないんだろうよ。

 だが、このまま若ぇ奴等が住み着かなくなっちまったら、この島も終わりだ。いや、島の終わりももう目前って言っても過言じゃねぇ。もうこの島は若者に――神様に見捨てられちまってるんだよ」

 諦めや絶望の入り混じった重たい言葉。そんな言葉を語る老人には先ほどまで漲っていた生気が失われ、歳相応の弱々しさが滲み出る。

 だが、そんな雰囲気も一瞬の事。僕を見据えた老人の瞳に力強い光が帯びて、僕の双肩を掴み口調を強める。

「だから坊主。俺はお前達若者がこの島で暮らすことで、俺は島のモンに活気や笑顔が戻ってくれればって思ってる。まだこの島は終わっちゃいねぇ、朽ち果てるにゃぁまだ早ぇって、この島のモンに教えてやって欲しいんだ。

 だから頼む。俺ぁお前達二人の素性を根掘り葉掘り聞くつもりも、詮索するつもりもねぇ。ただ、この島で働いて暮らしてくれるだけでいい――俺ぁ、それだけでいいんだよ……」

 縋りつくように肩を揺さぶる老人の瞳は、様々なことを物語っているように見えた。

 この朽ちかけた島に、再び活気を取り戻そうと躍起になる老人。そして、その老人の背後には守りたい島での生活、そして島の住人達。誰しもが島の行く末に絶望を抱き、現状を打開する術を欲して頭を悩ませる、そんな生活。

 僕はそんな重苦しい、瀬戸際に立たされた世界を見るのは初めてだった。僕の知る世界は、ただ僕一人が悩み、もがき、苦しむだけの世界だったが、この世界はどうだろう。

 この島の住人全員が運命共同体のようで、目の前にうな垂れる老人一人の双肩にすら、島の行く末と言う大きな運命が圧し掛かっているように見えた。

 だから、僕はおいそれと答えを出せずに居た。元居た世界ですら『世界の九割は悪意と敵意で満ちている』と逃げて生きてきた僕に、この世界を生き抜くことができるのだろうか――

「あぁ、すまねぇな。こんな老いぼれがしなだれ掛かっても、坊主にとっちゃ面白くもなんともねぇわな。それじゃぁ、俺はちょいと席を外すよ。もし、目が覚めたら俺が坊主に聞いたみてぇに眩暈がねぇかどうか聞いといてくれ――それと、俺が言ったこの島に暮らす事。それも坊主なりに考えといてくれ」

 僕が戸惑っていた事に気が付いたのか、老人はバツの悪そうな笑みを浮かべて腰を上げる。

「あ、あの――言うのが遅くなってしまいましたけど、助けてくれてどうもありがとうございました。僕も、彼女も、きっとあの場で死ぬ事を良しとしなかったでしょうから」

「いやいや、良いって事よ」と老人は寂しさや、悔しさが滲む淡い笑みを残して、この部屋から立ち去った。

 そして残された僕と、未だに眠りから覚めていない彼女。

 老人が去った事により、夜独特の静けさが舞い戻る。そして、突きつけられた現状が頭の中で順番に廻り始める。

 整理して片付けるには膨大すぎる問題の量。

 彼女がまだ自殺願望を持っている可能性。衣食住と仕事を提供する『神様――若者――に見捨てられた島』、そこから逃げ出しても宿の無い僕達、島に住むことになっても、先の見えない島の行く末。

 だが、実際にはその問題全てに対する答えは既に持っている。何故なら答えは至ってシンプルで、その答え以外今の僕には出せそうに無いから。

 後は、自身が決断するだけ。

 ――だが、そう決断するには僕は余りにも弱く、余りにも意気地なしだった。



「――ぁ、よかったぁ、キミと離れ離れになったら、どうしようかと思ったよ」

 僕の目の前で横になっている彼女は、目が覚めて開口一番に僕と一緒に居られたことを喜んでくれた。勿論、幼い子独特の無邪気な笑みを添えながら。

 僕とは違い小豆色の作務衣に身を包んだ彼女に、老人に問われたのと同様、具合の悪い箇所が無いかを事務的に問う。

 やはり彼女も僕と同じように体が痛む程度で、頭や首には特に異常は無いようだったので、とりあえず一安心。

 そんな僕の表情を見取ってか、彼女も口元に笑みを浮かべて表情を緩ませる。

「ねぇ、これで私達は『悪意と敵意に満ちた世界』から抜け出せたんだよね? 私達の居るべき世界に渡ってこれたんだよね?」

 浮かれ気味な彼女の口調を受けた瞬間、僕の笑みは凍りつき、その問いに対する答えにつまって沈黙してしまう。

 きっと僕が出した答えを彼女に伝えれば、きっと彼女は混乱し、錯乱し、目も当てられない位に取り乱すだろう。今から告げる答えは、彼女の信じる僕が教えた妄論の大部分を否定し、彼女に伝えた気持ちすら裏切るような答えなのだから。

 だから、僕は逡巡してしまう。この『神様に見捨てられた島』を新天地と称し、彼女に捻じ曲がった事実を教えてこの場を凌ごうかと。

 だが、そんな事をすれば僕の心には『彼女をまた騙した』という後悔が植えつけられてしまう。それは後々彼女と僕の関係を脅かす事実に様変わりする可能性も秘められているので、なんとか避けて通りたい。

 まったく対極の思案が僕の脳裏を右往左往し、答えを出そうとする僕の心を惑わし続ける。

 だが、彼女はいつまでも僕の答えを待ってはくれない。

 答えを出さずに黙ってしまう僕を心配してか、不安げに揺れる瞳が気遣うように向けられる。

「ねぇ、私達は新しい世界に逃げてこられたんだよね? もう、私達をイジメる人達は居ないんだよ――ね?」

 それは彼女の願望であり、僕の唱えた妄論が示した『敵意と悪意に満ちた世界』から逃げる為の手段。そしてその手段が生み出すべき結果。

 だが、その結果どおりに行かなかった事を、僕は伝えなければいけない。

それがたとえ、彼女の心を壊してしまう答えであったとしても、彼女への裏切り行為だったとしても。

 そうする事が、彼女を妄論で惑わせてしまった僕の責任だと思っていたから。

「――いいや、僕達は逃げられなかったんだ。『悪意と敵意に満ちた世界』から逃れる事も、旅立つ事も、その世界から消え去る事だって出来なかった。僕達はこの世界で生きていくしか、もう方法が残されていないんだよ」

 その言葉を伝えた瞬間、僕は思わず目を伏せたくなる。この場から逃げ出して、一人蹲って大地と同化してしまいたい衝動に駆られる。

 もしそうなる事ができたら、こんな彼女の姿を見ずに済んだのだから。

 彼女は虚ろな瞳を僕に向けながら、布団の中から這い出す。

 そして彼女は虚空を彷徨っていた両の手で僕の胸を掴み、潤んだ瞳を否定するように頭を振り、無理やり笑顔を貼り付けて僕にしな垂れかかる。

「ねぇ、ウソ――でしょ? キミの言っているのは悪い冗談だよね。そう――そうだよね、そうなんだよね、そうに決まってる、そうに違いない、そうじゃなきゃありえない、そうじゃなきゃ信じない、そんな事あるはず無い――ねぇ、キミも何とか言ってよ。黙ってないでさぁ、キミもこんなのはウソだって言ってよぉ!」

 彼女の小さな体躯では納まりきらない激情が、口を突いて次々と溢れ出す。

 彼女の悲痛な叫びに、逃げ出そうと小刻みな震えとなって訴えかける僕の体。今すぐにでも、彼女の言葉に耳を塞ぎたくなるが、僕は歯を食いしばって彼女の言葉を一身に受ける――これは、僕に与えられた罰だから。ちゃんと受け止めてあげないと、彼女もきっと苦しみ続ける事になってしまうから。

「ねぇ、もし失敗したんならさ、もう一度この世界から逃げてみようよ。もう一度この世界から飛び出そうよ。そうじゃなきゃ、そうしなきゃまた――またあいつ等が来ちゃう、また私を痛めつけに来ちゃう! もう、あんな痛い思いするのは嫌なのに、あんな辛い思いをするのは嫌なのにぃッ――だから、ねぇ、お願いだよぉ、私を連れて一緒に逃げて。逃げてよぉ!」

 体を震わせ、止め処なく零れ落ちる涙が僕の胸を濡らし、彼女は全てを否定するように何度も何度も額をこすり付ける。

 この世界から逃げようと僕の妄論を信じ続ける彼女。また、同じ過ちを繰り返そうとする彼女。また、現実から逃げ出そうと苦しむ彼女。


 だが――また同じ過ちを繰り返そうとしているのは、彼女だけなのだろうか?

 僕の妄論にそまった彼女を受け入れた僕と、新たな世界へと旅立てず泣き叫び、まだ妄論を投げかけ続ける、彼女の言葉を受け止めているだけの僕。

 どちらも受身で、どちらも彼女の言われるがまま――


 ――また同じ過ちを繰り返そうとしているのは、僕も一緒じゃないか!

 僕は両拳を硬く握り、歯を食いしばる事によって震えの止まらない体を何とか抑え込む。

 ――僕は、あの岬から彼女と共に飛び降りたとき、何を感じて、何を願った!

 目の前の現実に怯え、震える小柄な彼女をもう一度見据える。今にも折れてしまいそうな、 弱々しい彼女の背。僕を一番に思ってくれているたった一人の女の子。

 そして、僕は心の中で誓った。もう迷わないと。もう同じ轍は踏まないと。もう、彼女を受け止めるだけの存在にはならないと――

 そう心に決めた僕はいても経ってもいられずに、彼女のか弱い体を抱きしめる。

「もうお前は怖がらなくていいんだ。もう、イジメに怯えて生活しなくてもいいんだよ。ここにはもう、お前をイジメる存在はいない。ここは元居た場所とは、生活環境も生活習慣も全てが違う場所。だから、イジメる奴等から逃げなくても――この世界から逃げなくても――命を断とうとしなくても良いんだよ」

 いつの間にか彼女は大人しくなり、その身を僕に預けてくれていた。彼女は泣き叫ぶのを止めて身じろぎ一つせず、僕の言葉に耳を傾けてくれていた。

 彼女の温もりが多少名残惜しかったが、肩を掴んでゆっくりと身を離す。

 だが、彼女と交わった視線は離さない。涙で濡れた彼女の眼差しを受け止め、受け入れ、ゆっくりと心の中に留めてあった言葉を紡ぎだす。

「それに、これからは僕がお前を守ってやる。お前を虐めようとする奴等からも、この『敵意と悪意に満ちた世界』からも。だから――」

 心音が徐々に大きくなり、自身の耳にまで入ってくる。彼女の肩を掴む手に熱がこもり、頬が赤くなっているのも実感できるほどに温かい。

 だが、その温かさは不快じゃない。多少もどかしく、恥ずかしく、胸の高鳴りは増すばかりであったが、それでも全く不快じゃない。

 だから、僕はこの思いを言葉に変えて彼女に送る。この温かさが、彼女にも伝わるように。僕の抱いた気持ちが、少しでも彼女に伝わるように――

「だから、僕と一緒にこの世界で生きていかないか? 新しい世界を求めるんじゃなく、今僕達が生きているこの世界で、共に明日を切り開いていかないか?」



 ――僕の気持ちが彼女にちゃんと伝わったのかは分からない。

 けど、彼女は返事をしてくれた。

 この世界を共に生きようと。この敵意と悪意に満ちた世界を共に歩んでいこうと。

 その時に見せた彼女の笑顔は、あの岬で見せた笑み以上にキラキラ輝いていて、やはり僕にとって、とても眩しくとても尊いものに感じた。

 だけど、あの時感じた後ろめたさは全く無く、ただ単純に目の前の少女が愛おしいと、これから先も共に在りたいと素直に思えるようになっていた。


 僕達が出会って、傷を舐めあい、僕の妄論を信じ、共に死を求めて行き着いたこの状況は、身を投げた時に願った姿そのもの。

『世界の九割は敵意と悪意で満ちている』と諦めていた世界。その残り一割に秘められた掛け替えのない『幸せ』がここにあった。

 僕はもう、この残された一割を――目の前で微笑む彼女を手放さない。これからもずっと守り続けて生きていこう。

 そんな力強い決意を胸に――僕は優しく微笑みを返した。

 ハッキリ言って、自分は『イジメ』と言う物を間接的にしか知りません。

 友人に聞いたり、テレビで見聞きしたり、噂で聞いたり――

 自分はそんな生ぬるい人生しか歩んでいないので、イマイチ心が掴めません。


 ですから、もっともっと『イジメ』について試行錯誤していきたいと思っています。傷つくこと、傷つけること――様々な事を知って、考えないと、それらの人に手を差し伸べる事なんて出来ないと思いますから。

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