わたしはネコになりました。

そばにいてもいい…？

「おかあさん、ネコなの。だからね、あたしもネコになるの。」

　杏奈の嬉しげな声に健と菫は、困惑を隠せないでいた。

　三週間ほど前に、交通事故で亡くなった杏奈の父母兄。

　菫の姉の子である杏奈を引き取ることを決めたのは健だった。

　杏奈と同じ７歳の息子がいるため、度々家族ぐるみで遊びに行ったりしていた。

　だから、杏奈のことを娘のように思っている自分たちが引き取るべきだと考えたのだった。

　杏奈は、活発な蓮に対して、寡黙な少女だったが、事故後は以前よりも感情を表すことが少なくなっていた。

　そんな杏奈を見て、健と菫はどうしたらよいのかと悩んでいた。

「そうか。お母さんがいたか。」

　杏奈が少しでも元気になるならば…と考えた健は、ひとまず杏奈の様子を見ようと考えた。

「うん。だからね、これから毎日お母さんのそばにいてもいい…？」