一瞬冬が好きになった。
「ちょっと!スミレ!早く起きなさい!」
あ゛〜だるい。寒い。布団から出たくない。
「はやく!」
お母さんは布団を放り投げ、あたしの手をひっぱる。
「ちょっと何?!」
「食パン食べながらさっさと行きな!」
へいへい。
着替え終わって
「行ってきます」
ドアを開けた。
「健?!どうして?」
健とは・・・隣の席の奴で、あまり好きではない。
いじめるし。
「別に・・・通りかかっただけ?」
「はぁ・・・。なんで?ついてんのよ」
その時、視線を感じたが、気にしなかった。
気のせいだ。
「許さないっ・・・。あいつ 健にベタベタしてんじゃねぇよ!本城スミレ」
気のせいだ。
――――――――――
「あっスミレ!」
学校に着くと、友達の紗雄がいた。
「大変なんだから!やばいよ」
紗雄も手をひっぱる。まるで今日の母さんじゃん。
ようやく教室につく。
「っ・・・!!」
「大丈夫?スミレ」
「んだよコレっ!」
あたしの机の上には、
「ブス・バカ・消えろ・ウザイ・死ね・男好き」
などの悪口が油性マジックで書かれていて、持ち帰るのを忘れていたノートなんてビリビリ。一枚も残ってないわ。
「ナァ、スミレって男好きなの?」
誤解されてる。
「今度遊ばね?」
「いやっ・・」
クラスメイトの男子が髪を触ろうとした。
「やめろよ」
「やめなよ」
健と紗雄が同時に言った。
「ありがとう」
「別に・・・ホカロンやる。紗雄も」
なんか一瞬冬が好きになった。
ここまで読んでくれた貴方は、カ・ミ・サ・マです!ありがとうございます。